初代「シヴィライゼーション」を逆アセンブルしてオープンソース化するプロジェクト「OpenCiv1」
文明を発展させながら他国と外交したり戦争を仕掛けたりしながら勝利を目指すターン制のストラテジーゲームが「シヴィライゼーション」です。コンピューターゲーム版のシリーズ1作目は1991年にリリースされたのですが、この初代シヴィライゼーションをオープンソースに書き換えるプロジェクト「OpenCiv1」が有志により進められています。
Open source rewrite of Civilization 1 Source Code - OpenCiv1 Project | CivFanatics Forums
https://forums.civfanatics.com/threads/open-source-rewrite-of-civilization-1-source-code-openciv1-project.682623/
OpenCiv1では、1991年にリリースされたDOS版の初代シヴィライゼーションのバージョン475.05を、逆アセンブルすることでオープンソース化を目指しています。プロジェクトの公式ページでは、初代シヴィライゼーションをオープンソース化する理由は「このゲームは今でも非常に人気があり、簡単にプレイできます。しかし、DOSまたは16ビット版Windowsという時代遅れのプラットフォームでしかプレイできず、修正されないままのバグも複数あり、これらがゲームの人気を妨げているため」と説明されています。
OpenCiv1の成果はGitHub上で公開されており、アルファ版がすでにリリースされています。ただし、記事作成時点ではシヴィライゼーションのソースコードを完全に再現することはできていないため、OpenCiv1を使ってシヴィライゼーションをプレイするにはオリジナル版のシヴィライゼーションを所有することが法的に義務付けられます。なお、OpenCiv1のアセンブリコードの一部は仮想CPUでエミュレートされていますが、残りのコードはすでに著作権フリーの新しいコードに置き換えられているとのことです。
GitHub - rajko-horvat/OpenCiv1: Open source rewrite of the original Civilization Game designed by Sid Meier and Bruce Shelley in year 1991
https://github.com/rajko-horvat/OpenCiv1
初代シヴィライゼーションはマイクロプローズが発売したため、元々著作権を有していたのは同社でした。しかし、マイクロプローズからアタリが同作の権利を買い取り、さらにアタリはテイクツー・インタラクティブにシヴィライゼーションの権利を売却。その後、テイクツー・インタラクティブもシヴィライゼーションの権利をフィラクシス・ゲームズに売却しています。
テイクツー・インタラクティブが初代シヴィライゼーションの著作権を所有しているかは不明です。2006年にはテイクツー・インタラクティブがシヴィライゼーションの記念ボックスをリリースしており、これにはオリジナル版のシヴィライゼーションが付属していました。しかし、これはテイクツー・インタラクティブが一時的に出版権を取得したのか、著作権を有していたため発売できたのかは不明だそうです。
上記の通り、初代シヴィライゼーションの著作権および商標はかなり面倒な状況となっています。加えて、著作権を保有している可能性のあるゲームメーカーは大手ゲームメーカーであるため、シヴィライゼーションのオープンソース化を目指す有志によるプロジェクトを認める可能性はほとんどありません。そのため、「こういったプロジェクトの多くは目立たないようひっそりと進められている」とプロジェクトに携わる人物は記しています。
完全版のOpenCiv1は2024年半ばのリリースを予定しています。完全版では著作権で保護されたままのオリジナルのサウンド・画像・テキストデータが著作権フリーのデータに置き換えられる予定なため、オリジナル版を所持していなくてもゲームがプレイできるようになる予定です。
なお、OpenCiv1における最悪のシナリオは「GitHub経由でのDMCA削除通知が届くこと」だそうです。
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