アニメ映画「BLOODY ESCAPE-地獄の逃走劇-」レビュー、少女連れの改造人間が吸血鬼とヤクザから逃げて逃げて逃げまくる痛快娯楽逃亡劇でさすが谷口悟朗監督と言うべき完成度
アニメ映画「BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-」が2024年1月5日から絶賛全国ロードショー中です。本作は「ONE PIECE FILM RED」や「コードギアス」シリーズを手がけた谷口悟朗監督が原案から担当しているメディアミックス企画の一翼を担う作品で、2022年春に関連作品としてTVアニメ「エスタブライフ グレイトエスケープ」が放送されていますが、TVアニメとは独立した作品として楽しめる1本となっています。
映画『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』公式サイト
https://bloody-escape.com/
映画『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』特報/24年初春公開 - YouTube
「BLOODY ESCAPE」や「エスタブライフ グレイトエスケープ」で描かれる世界は、種の繁栄のため「人類の多様化実験」が行われ、遺伝子改造によって常人・獣人・魔族などの「多様な人種」と、壁に囲まれた「クラスタ」と呼ばれる多様な街が生み出された遠い未来。
クラスタ間の移動は原則として禁止されていますが、中にはさまざまな事情によってクラスタの外へ出たい、あるいは別のクラスタへ移動したいという思いを持つ人々がいます。「エスタブライフ グレイトエスケープ」では、そういった人々を手助けして逃がす「逃がし屋」の姿が描かれました。
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「BLOODY ESCAPE」の主人公で改造人間のキサラギ(声:小野友樹)。
過去の因縁から、吸血鬼集団「不滅騎士団」の“裏切り者”として追われています。
キサラギが逃げ込んだ新宿クラスタで出会ったのが、「外」の世界に憧れる少女・ルナルゥ(声:上田麗奈)。
そしてルナルゥの兄で、ヤクザ「関八州連合」の情報屋をやっているお調子者の兄・クルス(声:斉藤壮馬)。
ヤクザが支配する新宿クラスタで女性が生きる道といえばほぼ水商売。
しかし、ルナルゥはもっと違う生き方や価値観、そして違う世界があるはずだという思いを抱いています。妹の思いを知っているクルスはキサラギにルナルゥのガードを依頼。キサラギはルナルゥとともに新宿を脱出することになります。
しかし、転法輪(声:山寺宏一)の率いる不滅騎士団がキサラギに迫ります。
さらに新宿ヤクザも追ってきて、改造人間、吸血鬼、ヤクザの三つ巴の戦いが勃発することに……。
「不滅騎士団」の一員・ザンザ(声:福山潤)は竜人。
同じく「不滅騎士団」の一員・ララック(声:ゆきのさつき)は「フリーダムな悪!」。
本作「BLOODY ESCAPE」を一言で表現するならば「痛快娯楽逃亡劇」。このメインテーマは一切ぶれることがなく、最初から最後まで通底して「逃亡」が描かれます。なぜ逃げるしかなかったのか、逃げるとしてどこへ逃げるのか、逃げた先で何が起きるのか、逃げ切ることは可能なのか、そもそも何から逃げるのか。そういった「逃亡」の一切合切が詰め込まれています。
特に改造人間であるキサラギを中心とした戦闘シーンは、一見するとよく見かけるようなシチュエーションでの戦いでありつつも、「改造」をフル活用することで過去に見たことがないような動きが繰り広げられます。谷口監督はパルクール的な動きを取り入れることを意識したそうです。
そして、追いかけられるという状況ゆえに、対集団の戦闘も多々発生。キサラギの戦闘能力がたとえ高くとも「さすがにこれは無理だろう、常識的に考えて……」という状況も訪れますが、なおも「そうきたか!」という対応で、容赦ない怒濤のアクションが連続。本当の意味で「まばたきしている暇がない」ほどの戦いになります。
アクションシーンに力の入った作品では「もっとアクションシーンが見たい、もう人間ドラマ部分はいい」となることもありますが、本作ではアクションシーンが一段落したからといって安心できるわけではありません。戦闘を終えたからといって状況が改善していないどころか、むしろ刻一刻と悪化しているぐらい。そして次のアクションが待ち構えているので、絶妙の緩急で乗せられていき、見終わるころには「もう終わった」でありつつも「もっと長い間見ていた気がする」という、心地よい感覚が味わえます。
何よりも大事な点は、本作が時間軸ではTVアニメ「エスタブライフ グレイトエスケープ」のあとにあたる作品でありつつも、初見の人でも問題ないところです。もちろん、TVアニメを見ていたほうが「そこはそうなったか」や「これはどういうことなのか」ということを把握しやすい一面はありますが、TVアニメの主役だった「逃がし屋」たちは本作ではメインではないので、「逃がし屋」という仕事があるということさえわかれば、大きな問題はありません。「エスタブライフ」で最低限知っておいた方がいいことは、以下のティザームービーが短いながらも端的にまとまっています。
TVアニメ『エスタブライフ』ティザーPV<キャラボイス初公開!> - YouTube
本作を手がける谷口悟朗監督は、直近では「ONE PIECE FILM RED」を手がけたのが有名ですが、他に多数のオリジナルアニメを手がけてきたことでも知られます。その中でも「ガン×ソード」は徹底的な復讐物語なのですが、ああいうヤバい雰囲気の物語を求めているという人は本作もマッチするはず。
本予告映像は本編の雰囲気を徹底的に詰め込んだものとなっているので、見てなにかピンと来るところがあるなら、いますぐ直ちに見に行くべき。なお、キサラギはルナルゥのガードとして動きますが、ルナルゥは決して「足手まといになりがちな守られキャラ」ではないので、そういった点でも徹底的に「痛快な娯楽作品」。「今の閉塞した状況を打破する物語が見たい気分だが『なろう系』の『ざまぁ』展開にはもう飽きた、もっと違うパワーを体感したい」という気分にぴったりとフィットする内容で、スマホの小さい画面ではなく、映画館の大きなスクリーンと大音響で体感した方がよい作品です。
映画『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』本予告/24年1月5日(金)公開 - YouTube
なお、本編の冒頭約10分と合わせて谷口監督自身が巧みにネタバレを避けつつ解説した「公開直前スペシャル」がYouTubeで公開されているので、これも作品鑑賞の助けになるはずです。
【映画冒頭も特別に公開!】映画『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』公開直前スペシャル - YouTube
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映画「BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-」は絶賛公開中です。
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