eBayが批判的なブロガーへの報復に生きたゴキブリやクモを送った件で罰金約4億3500万円を支払う
インターネットオークション大手・eBayの元従業員7人が、批判的な記事を掲載したブロガーに対して組織的かつ陰湿な嫌がらせやストーカー行為を繰り返した事件で、刑事罰として300万ドル(約4億3500万円)を支払うことに合意したことが報じられました。
District of Massachusetts | eBay Inc. to Pay $3 Million in Connection with Corporate Cyberstalking Campaign Targeting Massachusetts Couple | United States Department of Justice
https://www.justice.gov/usao-ma/pr/ebay-inc-pay-3-million-connection-corporate-cyberstalking-campaign-targeting
Victim Impact Statement in United States of America vs eBay Inc.
https://www.ecommercebytes.com/C/blog/blog.pl?/pl/2024/1/1704995745.html
eBay Inc. Reaches Agreement with U.S. Attorney’s Office for the District of Massachusetts
https://www.ebayinc.com/stories/news/ebay-agreement-us-attorney-office-mass/
eBay to pay $3 million after couple became the target of harassment, stalking - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/feds-charge-ebay-stalking-scandal-ina-david-steiner/
eBayは2019年8月に、eコマースに特化したニュースブログ・EcommerceBytesを運営しているマサチューセッツ州在住のアイナ・シュタイナー氏とデビッド・シュタイナー氏に対し、生きたクモ、ゴキブリ、葬儀用の花輪、豚の胎児の標本、血まみれの豚のマスク、大量の宅配ピザなどを送りつけるストーカー行為を行いました。この件で、複数の幹部を含むeBayの元従業員7人が逮捕されました。
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by Kazuhisa OTSUBO
「eBayはまったく恐ろしい犯罪行為に手を染めました。一連のストーカー行為に関与した同社の従業員と請負業者は、彼らに関する報道を封じ込め、eBayブランドを守ることを目的とした身も凍るような活動で被害者を純然たる地獄に陥れました」と、マサチューセッツ地区連邦検事代理のジョシュア・レヴィ氏は述べています。
アメリカ司法省はこの事件でeBayを、州をまたいだストーカー行為2件、電子通信サービスによるストーカー行為2件、証人買収1件、司法妨害1件で刑事告訴しました。
eBayは起訴内容を認める代わりに起訴を見送る起訴猶予契約に応じ、その一環として前述の6件に対する罰金の最高額である300万ドルを支払うことに合意しました。これにより、eBayは3年間にわたり外部のコンプライアンス監視員を受け入れることになります。
eBayのジェイミー・イアンノーンCEOは、「2019年のeBayの行為は間違っており、非難すべきものでした。私たちはシュタイナー夫妻が耐え忍んだことについて、引き続き深く謝罪の意を表します」と述べました。
捜査当局によると、「テロキャンペーン」と称されるシュタイナー夫妻への報復計画は、2019年4月に立案されたとのこと。当時eBayのCEOだったデヴィン・ウェニング氏は、自分の年俸について書かれたアイナ氏の記事へのリンクを幹部に共有しました。これに対し、当時の最高コミュニケーション責任者だったスティーブ・ワイマー氏は「私たちはこの女をたたきつぶすつもりです」と回答しました。
ワイマー氏はその後、セキュリティー部門の責任者であるジェームズ・バウにメールを送り、その中でアイナ氏を「焼き殺される必要がある偏見に満ちた荒し」であると名指ししてから「灰を見たい」と指示しました。
これを受けて、バウらは2019年8月からシュタイナー夫妻に対する嫌がらせを開始し、前述のような物品を送る脅迫を行いました。また、宅配物による嫌がらせ以外にも、近所にシュタイナー夫妻の名前が載ったポルノ雑誌が配られたり、夫妻の家でバーゲンセールやセックスパーティーが開かれるという告知がソーシャルメディアに掲載されたりといった有形無形の悪質な嫌がらせが多数行われました。
葬式用の花輪や、配偶者を失った人の生き方についての本が送られてきた時のことについて、デビッド氏は「これは、誰かがアイナを傷つけて殺すつもりだということをほのめかした殺害予告でした」と振り返っています。
最終的に、尾行に気づいたデビッド氏が車のナンバープレートを控えて地元警察に通報したことで、バウらeBayの従業員7人が逮捕もしくは起訴され、全員が罪を認めました。ただし、ウェニング氏やワイマー氏は証拠不十分として立件されませんでした。
シュタイナー夫妻は司法省の発表を受けてEcommerceBytesに記事を掲載し、「私たちの命と暮らしを破壊することを意図した卑劣な犯罪の被害者として、私たちはこのようなことが決して他の人の身に降りかからないようにすることに全力を尽くすことが重要であると感じました」と述べました。
シュタイナー夫妻は引き続き法廷で事件を追及する考えで、2025年3月3日にはeBayと元従業員を相手にした民事裁判が予定されているとのことです。
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