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eBay幹部らがゴキブリや血まみれのブタのマスクを送りつけた事件を起訴された元従業員が語る

by Danilo Urbina

2020年6月、インターネットオークションサイトを運営するeBayの幹部6人がジャーナリストに対して血まみれのブタのハロウィーン用マスク、ゴキブリ、葬式用花輪などを送りつけて脅迫したとして、逮捕・起訴されました。この事件で逮捕・起訴された元eBay従業員が、「なぜ社内で犯罪行為が行われるようになったのか」を語っています。

Inside eBay’s Cockroach Cult: The Ghastly Story of a Stalking Scandal - The New York Times
https://www.nytimes.com/2020/09/26/technology/ebay-cockroaches-stalking-scandal.html

EBay sent cockroaches, porn and a bloody pig mask to bloggers - CNN
https://edition.cnn.com/2020/09/27/tech/ebay-cockroach-pig-mask/

eBay幹部らが行った3部構成の脅迫の詳細は、以下の記事から読むことができます。

eBay幹部ら6名が「血まみれのブタのマスク」などをジャーナリストに送りつけた容疑で逮捕される - GIGAZINE

by Kazuhisa OTSUBO

一連の脅迫容疑で起訴されたのは、eBayのセーフティー&セキュリティー部門でシニアディレクターを務めていたジェームズ・バウ氏(45歳)、グローバルレジリエンシー部門ディレクターだったデイビッド・ハーヴィル氏(48歳)、グローバルインテリジェンス部門のシニアマネージャーだったステファニー・ポップ氏(32歳)、グローバルインテリジェンスセンター部門(GIC)のマネージャーだったステファニー・ストックウェル(26歳)、GICのインテリジェンスアナリストだったベロニカ・ジーア氏(26歳)、グローバルセキュリティーチームの特別業務担当部署のシニアマネージャーだったブライアン・ギルバード氏(51歳)の6人。

被害に遭ったのは、eコマース企業を対象とするオンラインニュースレターを発行していたアメリカ・マサチューセッツ州ネイティック在住のジャーナリストである、アイナ・シュタイナー氏とデイビッド・シュタイナー氏でした。2人はeBayに批判的な内容の記事を公開していました。


ニューヨーク・タイムズは2020年9月26日付けで、起訴された1人であるベロニカ・ジーア氏のインタビュー記事を公開しました。ジーア氏は大学で犯罪学を学び、23歳からeBayで契約社員として働いていた人物。ジーア氏は熱心に働き、すぐにインテリジェンス・アナリストに昇進し、セキュリティに関する仕事を任されるようになったとのこと。

写真の女性がジーア氏。


このセキュリティチームは元警察官や元セキュリティコンサルトで構成されているチームで、厳しい面々だったものの、メンバー同士は親密な間柄だったとのこと。起訴されたジェームズ・バウ氏やステファニー・ポップ氏は、ジーア氏の上司にあたる人物でした。

ただし、チーム内部ではバウ氏が「臆病者への警告」として椅子をナイフで刺したり、「役員の前で笑顔でなかった」と部下をしかったりと、ハラスメントが横行していたとみられており、離職率が非常に高かったそうです。しかし、「ロイヤリティ」を信条とするセキュリティ部門の中で、契約社員から正社員になるため、ジーア氏は働き続けました。

そしてジーア氏は2019年の夏、上司の上司のそのまた上司である、最高経営責任者が望むことを実行しました。

検察官によると、もともとバウ氏らの計画は、「シュタイナー氏に密かにいやがらせをし、嫌がらせを阻止するための支援をeBayが提供することで、シュタイナー氏の信頼を勝ち取ってeBayに有利な記事を書かせる」ことでした。そのためにジーア氏やバウ氏らは、これが「血まみれのブタのマスクやゴキブリを送る」「オンライン上で脅迫する」「被害者宅のストーキング」の3部で構成される、ハラスメントを実行。実際に、2人はシュタイナー氏が暮らすボストンまでファーストクラスで移動し、レンタル車でシュタイナー氏の家まで向かい、車にGPSを取り付けようとまでしました。ただし、車のガレージがロックされていたため、GPSの取り付けは叶わなかったとのこと。

加えて、セキュリティチームの面々は、「ジャーナリストへの嫌がらせが判明した」という内容のメールを送りあい、事実を隠そうと工作を試みたほか、スマートフォンの情報を削除したり、eBayの内部捜査チームを妨害したことも報告されています。しかし、車のナンバープレートが他のeBay従業員から追跡されていたなど、いくつかの点でミスを犯し、最終的に事件に関わったとされる6名が逮捕されました。

一方、今回の一件で起訴されているのはジーア氏を含む社員・幹部6人であり、元CEOのデビン・ヴェニグ氏や元役員のスティーブ・ワイマー氏は含まれていません。2人は脅迫への関与を否定しながらも、脅迫事件がニュースになった後の2019年9月にeBayを去っており、ヴェニグ氏にいたっては退職時に5700万ドル(約60億円)の退職金を受け取っています。


しかし、2人が脅迫されたジャーナリストであるシュタイナー氏を嫌っていたことは明白で、シュタイナー氏の記事が投稿された後にワイマー氏はヴェニグ氏に対して記事へのリンクとともに「私たちはこの女を握りつぶします」と送ったといわれています。

セキュリティチームは休暇を言いわたされ、ジーア氏はeBayを退職して別の会社に再就職しましたが、事件が公になると解雇されたとのこと。「『なぜeBayを離れなかったのか?』と問うのは簡単です。しかし、あのとき、私は恐怖し、身動きが取れなくなりました。本当に申し訳ないことをしたと思っています。たとえ小さな役割でも、私は自分のしたことを後悔しています。もしあの瞬間に戻ってシュタイナーさんをあのような経験から守れるとしたら、私はただちにそうします」とジーア氏は述べました。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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