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Apple Watch Series 9とUltra 2のアメリカでの公式販売停止を政府が決定、Appleは判断を不服として上訴


2023年10月にApple Watch Series 9Apple Watch Ultra 2に搭載された血中酸素濃度測定機能が別企業の特許を侵害しているとの判断をアメリカ国際貿易委員会(ITC)が下したことに続いて、ITCは2023年12月26日にApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2に対してアメリカへの輸入禁止命令を下しました。さらに、アメリカのジョー・バイデン大統領はITCの決定を覆す「大統領拒否権」を発動しないことを発表しました。

USTR Statement on Section 337 Review | United States Trade Representative
https://www.ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/press-releases/2023/december/ustr-statement-section-337-review


Apple files appeal after Biden administration allows US ban on watch imports | Reuters
https://www.reuters.com/technology/biden-administration-allows-us-trade-tribunals-ban-apple-watch-imports-2023-12-26/

Apple is now banned from selling its latest Apple Watches in the US - The Verge
https://www.theverge.com/2023/12/26/24012382/apple-import-ban-watch-series-9-ultra-2

一連の騒動の発端となったのは、医療機器メーカーのMasimoが、2021年に「Apple Watch Series 6以降のモデルに搭載された『血中酸素濃度測定機能』が、自社が持つ特許を侵害している」と提訴したことです。

この訴訟では、2023年10月にITCがMasimoの訴えを認め、Appleに対して「この機能を取り除かない限り、アメリカへの輸入を禁止する」との排除命令を下しました。また、過去に輸入されたものについても、該当する機能を持つデバイスの販売を停止するようにAppleへ命じています。

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その後、ITCによる販売停止命令の判断を受け、バイデン大統領による60日間の審査期間が設けられました。

ITCは販売停止命令の発効日を2023年12月26日に設定していましたが、Appleは「判決に従う措置を先制的に講じる」として現地時間2023年12月21日から、Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2の販売を停止していました。

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ITCの命令にバイデン大統領が拒否権を行使した場合、ITCによる販売停止措置は無効となります。しかし、2023年12月26日、アメリカ通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は「慎重に協議を重ねた結果、政府はITCの判断を覆さないとの決定を下しました」との声明を発表しました。

今回の決定によって、Appleは正式にアメリカでのApple Watch Series 9およびApple Watch Ultra 2の公式販売が禁止されます。ただし、AppleはITCの判断を不服として、2023年12月26日に連邦巡回控訴裁判所へ上訴しました。

Appleの広報担当者は「AppleはITCの判断とそれに伴う排除命令に対して強く異議を唱えます。アメリカでのApple Watch Series 9およびApple Watch Ultra 2の販売をできる限り早急に再開するため、あらゆる手段を講じていきます」と述べています。


Appleは連邦巡回控訴裁判所に対し、Masimoの特許を侵害しないように製品の再設計を行うことを報告し、それで特許侵害を回避できるかどうかアメリカ税関および国境警備局による判断が下されるまで販売停止措置を保留するように求めています。なお、アメリカ税関は2024年1月12日に決定を下すとみられています。

Masimoの広報担当者は「今回のITCの決定は、アメリカの特許制度の正当性を示しただけでなく、アメリカの消費者にとっての勝利をもたらしました」と語りました。

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in ハードウェア, Posted by log1r_ut

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