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AIモデルのトレーニングデータを開示することを義務付ける法案が提出される


アメリカのカリフォルニア州選出の民主党議員であるアンナ・エシュー議員と、バージニア州選出の民主党議員であるドン・ベイヤー議員が、AIモデルのトレーニングデータに著作権で保護されたデータが利用されているか否かを明確にするために、トレーニングデータのソースを開示することを求める法案を提出しました。

AI companies would be required to disclose copyrighted training data under new bill - The Verge
https://www.theverge.com/2023/12/22/24012757/ai-foundation-model-transparency-act-bill-copyright-regulation


2人の民主党議員が提出した法案は、「AI Foundation Model Transparency Act(AI財団モデル透明法)」です。このAI財団モデル透明法は、連邦取引委員会(FTC)に対してアメリカ国立標準技術研究所(NIST)と協力し、AIモデルのトレーニングデータの透明性を向上させるためのルールを確立させるために提出された法案です。

AI財団モデル透明法では、AIモデルを作成する企業は「トレーニングデータのソースと推論プロセス中のデータ保持方法」「モデルの制限やリスクについての説明」「NISTが計画しているAIリスク管理フレームワークやその他の連邦基準にAIモデルがどのように整合しているかの説明」「AIモデルの学習と実行に使用される計算能力に関する情報」などを公開することが義務付けられます。

また、AI開発者は「医療や健康に関連する質問」「生物学的合成」「サイバーセキュリティ」「選挙」「警察」「金融ローン」「教育」「雇用」「公共サービス」「子どもなどの社会的弱者」などに関する不正確または有害な情報をAIモデルが提供しないようにするための取り組みを報告することも義務付けられます。


法案を提出した議員は、AI企業が著作権侵害に関する複数の訴訟に直面していることから、この法案のような「トレーニングデータの透明性の重要性」を訴えました。法案の中では具体的に、「Stability AI、Midjourney、Deviant Artに対するアーティストによる訴訟」や「Stability AIに対するGetty Imagesの訴訟」などが挙げられています。

画像生成AI「Stable Diffusion」と「Midjourney」に対して集団訴訟が提起される - GIGAZINE


画像生成AI「Stable Diffusion」開発元のStability AIがかつてGoogleを和解に持ち込ませたこともあるストックフォトサイトのGetty Imagesに訴えられる - GIGAZINE


画像生成AI「Stable Diffusion」をGetty Imagesが著作権侵害で提訴、これで2回目の法的手続き - GIGAZINE


法案には「AIへの公衆アクセスの増加に伴い、著作権侵害に関する訴訟や国民の懸念が増加しています」「AIモデルの公的な使用により、不正確あるいは偏った情報が公衆に提供されるという事例が無数に発生しています」と記されており、このような懸念に対処するためにAIモデルの基礎となるトレーニングデータの透明性が訴えられています。

なお、AI財団モデル透明法案はAIモデルの報告基準の確立に役立てるためにジョー・バイデン大統領が発令した「AIに関する大統領令」を補完するものになるとThe Vergeは指摘。なお、AIに関する大統領令はあくまで大統領令であり法律ではないため、AI財団モデル透明法案が可決されれば、同法律がより厳格な規制となります。

バイデン大統領がAIに関する大統領令を発令、AIを安全・安心・信頼できるものにするための法的規制が行われる - GIGAZINE

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in ソフトウェア, Posted by logu_ii

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