ソフトウェア

「ロシア人に自宅を破壊されたので今後の保守は最低限」と高速インタプリタ「Wasm3」の開発者が発表


最速のWebAssemblyインタプリタをうたっているウクライナのオープンソースプロジェクト「Wasm3」の開発者が、自宅がロシア軍の攻撃により被害を受けたことを明かし、当面はメンテナンスを最小限にとどめると発表しました。幸い、開発者と開発者の家族は全員無事とのことです。

GitHub - wasm3/wasm3: A fast WebAssembly interpreter and the most universal WASM runtime
https://github.com/wasm3/wasm3

Wasm3のX(旧Twitter)アカウントは2023年12月18日に、「私の家が私の国に侵攻したロシア人によって破壊されたため、Wasm3はメンテナンスを最小限とする段階に入ったことをコミュニティにお知らせします」と告知しました。


Wasm3の開発と保守を行っているのは、ウクライナのプロダクトエンジニアであるウォロディミル・シャマンスキー(Volodymyr Shymanskyy)氏です。シャマンスキー氏は2022年9月に、個人のXアカウントからロシアの攻撃により自宅が半壊した様子を映した動画を投稿していました。


Wasm3の開発プロジェクトは規模を縮小しながら継続中で、GitHub上では「現時点では、新しい機能の開発を続けることができませんが、私はプロジェクトを存続させることに全力で取り組んでおり、受信したプルリクエストを積極的にレビューしてマージしています。この困難な時期における皆様のご理解とご支援に深く感謝いたします」とアナウンスされています。

告知の投稿には、記事作成時点で65件の返信や4451件の「いいね」が寄せられています。そのうちの1つである「あなたとあなたの家族が無事であることを祈ります」という見舞いの投稿に対し、シャマンスキー氏は「全員安全です!」と答えました。


また、ソーシャルニュースサイト・Hacker Newsに立てられたスレッドにはシャマンスキー氏本人が降臨し、安否を気遣う書き込みや応援の書き込みに応えています。例えば、「正直に言って悲しい知らせでした。Wasm3はネイティブのものより3~5倍、一般的なWasmインタプリタと比べても3倍高速な優れたWasmインタプリタだからです」と高性能なインタプリタの更新停止を惜しむコメントに対して、シャマンスキー氏は「ありがとう!」と返答していました。

なお、シャマンスキー氏は寄付を受け付けており、寄せられた支援金は自宅の修繕や防衛用機器の制作に充てられるそうです。

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in ソフトウェア, Posted by log1l_ks

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