TikTokはAmazonアカウントがポリシーに違反してもスルーしているとの報道、広告主へのゴマすりが浮き彫りに
多額の広告費を支払っているAmazonなどの大企業に配慮するため、TikTokが投稿の審査を担当するスタッフに対し、広告主のTikTokアカウントを削除したり問題を報告するタグを付けたりしないよう指示していることが内部資料から判明したと、イギリスの大手一般新聞・The Guardianが報じました。
TikTok staff told to avoid flagging problems with Amazon accounts | TikTok | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2023/dec/18/tiktok-staff-told-to-avoid-flagging-problems-with-amazon-accounts
TikTokは世界で10億人以上のユーザーを抱える中国発のショートムービーアプリで、扱われているコンテンツの内容は流行や文化、政治に関するニュースまで多岐にわたっており、特にZ世代の間では主要な情報源の1つとなっています。The Guardianによると、TikTokはイギリスで最も急速に成長しているニュースソースで、アメリカでは18~29歳の若者の約3分の1がTikTokで定期的に情報を入手しているとのこと。
The Guardianは、TikTokがデマや有害なコンテンツといった問題にどのように対処しているのかを明らかにするため、数カ月にわたる調査を実施しました。その結果、主にヨーロッパや中東、アフリカを中心とした地域の投稿を取り締まるモデレーターのチームが、TikTokの公式ガイドラインから逸脱している一部の動画やアカウントに「タグ」を付けないよう指導されていることがわかりました。
動画やアカウントにポリシー違反に関するタグが付けられると、For you(おすすめ)ページに表示されなくなったり、最終的にアカウントが削除されたりします。
一部のアカウントの問題を見逃すようにとのメッセージは、TikTokの社内コミュニケーションツールであるLark上で、モデレーターの連絡窓口でありモデレーターを統括する責任者でもあるチームリーダーから発せられたものでした。また、このメッセージが発せられたチャットには、サイト全体を監督する上級スタッフであるサイトリーダーも同席していました。The Guardianは、このメッセージが後に撤回された事実を確認していません。
優遇するよう指示されていたアカウントの筆頭はAmazonで、対象者リストには「Prime Video」「Amazon Music」「Audible」といったAmazonのサービスの公式アカウントが含まれていたほか、Amazon傘下のストリーミングサービスであるTwitchのアカウントなども含めて合計で60のアカウントが列記されていたとのこと。
Lark上でのやりとりの中で、TikTokのチームリーダーらは「AmazonがTikTokで最も高額な広告費を支払っていることの重要性」や「TikTokがAmazonとの関係を維持したいと望んでいること」などを示していました。
あるTikTokの従業員はThe Guardianに対し、「メッセージにはAmazonアカウントは管理しないで下さいと書かれており、Amazonのアカウントのリストも添付されています」と話しました。
The Guardianが閲覧した内部でのやりとりによると、優遇の対象者リストには名称が不明ながらAmazon以外の企業が他にもいくつか含まれているとのこと。このリストの存在により、一部のモデレーターは非公式の内部ガイダンスに抵触することを恐れて、他の大企業のアカウントの取り締まりにも萎縮するようになったとされています。
TikTok社内でのみ閲覧可能なポリシーカタログには、「タバコの宣伝」「危険運転」「未成年の疑いがあるユーザー」「社会的弱者などの保護対象グループに対する否定的な固定観念」「ニュースまたは架空の状況での暴力的な戦闘/専門的な状況での暴力的な戦闘」「危険な誤情報」などの話題に関するショートムービーでのガイドラインが掲載されていました。
TikTokの広告主がガイドライン順守を免除されるのかどうかは不明ですが、TikTokのコミュニティガイドラインには、「コンテンツモデレーションに対するアプローチでは、作成者が誰であろうと同じ基準を使用します」と書かれています。
TikTokの広報担当者はThe Guardianに対し、「TikTokのポリシーに関するこうした主張は間違っているか、誤解に基づいています」と述べて、記事の内容を否定しました。
・関連記事
TikTokがAmazonなどの外部オンライン通販サイトへのリンクを禁止する計画だと報じられる、TikTok独自の販売サービスを使わせるため - GIGAZINE
AmazonがTikTokスタイルで写真や動画を共有するフィード「Inspire」をアプリで展開、「いいね」や製品購入も可能 - GIGAZINE
AmazonがTikTokのようなフィードを表示する機能をテストしている - GIGAZINE
Amazonが従業員に「TikTokをスマホから削除するように」と通達するも間もなく撤回される - GIGAZINE
Amazonが同社の検出ツールを回避してInstagramやTikTokで偽造品を販売したインフルエンサー2人や業者を訴える - GIGAZINE
・関連コンテンツ