最初に2nm半導体を量産するのはTSMCかSamsungかそれともIntelか?
半導体は微細化を進めるほど処理性能や電力効率が向上するとされています。記事作成時点ではTSMCが3nmプロセスルールの半導体量産化に成功してコンシューマー向け製品に3nmチップが搭載され始めているのですが、すでに半導体生産企業各社は2nmプロセスルールの量産化に向けて研究開発を進めています。そこで、大手半導体生産企業TSMC、Samsung、Intelの微細化の現状や経済紙のFinancial Timesが報じている各社の開発状況についてまとめてみました。
Semiconductor giants race to make next generation of cutting-edge chips
https://www.ft.com/content/e9be182f-ec9e-4426-9cd2-d5181fd64778
◆TSMC
TSMCは3nmプロセスルールの半導体量産化に成功しており、記事作成時点ではAppleに対して3nmチップを出荷しています。TSMCはIntelのチップの製造委託も請け負っており、3nmチップの製造も2023年中にTSMCに委託されると見込まれていたのですが、2023年9月には「Intelの設計の遅れから、2023年中に3nmチップの製造を発注するのは困難」と報じられました。このため、2023年中に市場に出回るTSMCの3nmチップはAppleがiPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Maxに搭載したSoC「A17 Pro」やMac向けのSoC「M3」シリーズのみになると目されています。
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TSMCは2nmプロセスルールでの半導体量産を2025年後半に開始することを目指して開発を進めており、2023年10月には開発が順調に進んでいることを報告していました。海外メディアのFinancial Timesが関係者から入手した情報によると、TSMCはすでに2nmチップの試作品をAppleやNVIDIAなどの提携企業に提供しているとのことです。
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◆Samsung
Samsungは2022年7月に3nmプロセスルールの半導体の製造を始めています。ただし、Samsungに近い関係者によるとSamsungの3nmチップの歩留まりは約60%で、顧客が求める歩留まりを達成できていないとのこと。SamsungはTSMCと比べて2~3年に相当する研究開発の遅れが生じていることを認めています。
Samsungが「5年以内にTSMCに追い付く」と宣言 - GIGAZINE
Samsungは2nm世代でTSMCを逆転することを目指しており、すでに「安価な2nmチップの試作品」をNVIDIAを含む提携企業に提供しているとのことです。
◆Intel
Intelはプロセスノードの面ではTSMCやSamsungに大きく差を付けられており、2024年前半に5nmプロセスルール「Intel 20A」の量産を始める予定。IntelやSamsungは、地政学的リスクから台湾のTSMCへの依存度を減らしたいと考えている潜在的な顧客からの利益に勝機を見いだしているとFinancial Timesは指摘しました。
Intelが業界最先端を狙うプロセスルール「Intel 20A」「Intel 18A」の開発を完了 - GIGAZINE
by Jernej Furman
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