AppleがTSMCアリゾナ工場で作った半導体の後工程をAmkorに委託し3000億円規模の新工場建設へ
世界最大の半導体ファウンドリ「TSMC」はアメリカのアリゾナ州に新たな工場を建設中であり、AppleはTSMCアリゾナ工場に半導体製造を依頼することを約束しています。新たに、AppleがAmkorとの提携を強化してTSMCアリゾナ工場で製造された半導体の後工程を担う新工場の建設計画を始動したことが明らかになりました。
Apple announces expanded partnership with Amkor for silicon packaging - Apple
https://www.apple.com/newsroom/2023/11/apple-announces-expanded-partnership-with-amkor-for-silicon-packaging/
Amkor Announces US Advanced Packaging and Test Facility | Amkor Technology
https://ir.amkor.com/news-releases/news-release-details/amkor-announces-us-advanced-packaging-and-test-facility
台湾に拠点を置くTSMCは日本やアメリカ、ドイツでの新工場建設計画を進めています。中でもアメリカのアリゾナ州で建設が進んでいる工場では4nmや3nmの最先端半導体が製造される予定で、TSMCの大口顧客として知られるAppleは自社の設計した半導体をTSMCアリゾナ工場で製造することを約束しています。
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半導体の製造工程はシリコンウェハ上に回路を形成する「前工程」とシリコンウェハを切り分けてチップを組み立てる「後工程」に分かれており、TSMCは前工程を担当しています。新たに、AppleはTSMCアリゾナ工場で製造した半導体の後工程をAmkorに委託することを発表しました。
AmkorはTSMCアリゾナ工場で製造された半導体の後工程を担うために約20億ドル(約3000億円)を投資して新たな半導体パッケージング工場を建設する計画を進めています。工場はアウトソーシング形態のパッケージング工場としてはアメリカ最大規模になる予定で、稼働時には約2000人の雇用が見込まれるとのこと。
Appleは2021年に「5年間でアメリカの経済に4300億ドル(約64兆円)を投資する」という計画を打ち出していました。Appleは今回のAmkorとの提携強化も計画の一環に位置づけており、「アメリカのサプライヤーに対する支出や設備投資によって、計画は目標を達成するペースで進んでいる」と述べています。
なお、TSMCの当初の計画では2024年にはアリゾナ工場での4nm半導体の製造が始まる予定でしたが、人員不足を理由に4nm半導体の製造開始時期を2025年に延期しています。
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