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iPhoneやAIチップ製造を目指すTSMCのアリゾナ工場が「人手不足」を理由に生産開始時期を延期


AppleやIntel、Qualcomm、NVIDIA、AMDなど名だたる企業を顧客に抱える世界最大級の半導体専業ファウンドリ・TSMCが、労働力不足を理由にアリゾナ州フェニックスの建設予定の4nmチップ製造工場の生産開始タイミングを2025年に延期することを発表しました。

TSMC delays Arizona factory set to build chips for iPhones and AI - The Verge
https://www.theverge.com/2023/7/20/23802107/tsmc-arizona-chip-factory-delay-q2-earnings-report


Apple Supplier TSMC Delays Production of 4nm Chips at Arizona Factory Due to Skilled Worker Shortage - MacRumors
https://www.macrumors.com/2023/07/20/tsmc-4nm-chip-production-delay/

TSMC Announces Q2 Revenue Fall, Expects Q3 Rebound Fueled by 3nm Tech
https://www.hpcwire.com/off-the-wire/tsmc-announces-q2-revenue-fall-expects-q3-rebound-fueled-by-3nm-tech/

Profits are down for TSMC but the iPhone 15 will help it rebound
https://appleinsider.com/articles/23/07/18/tsmc-profits-fall-but-the-iphone-15-will-help-it-rebound

TSMCがアメリカのアリゾナ州フェニックスに建設している製造工場は、2021年に建設が始まり、当初は2024年に4nmチップの生産を開始予定となっていました。同じ工場の敷地内には2026年に3nmチップの生産を担当する2つ目の工場が開設される予定となっています。


TSMCがアリゾナ州に建設予定の2つ目の工場について、Appleのティム・クックCEOは「Appleシリコンを製造する」と明言しています。

TSMCがアリゾナ州に3nmの半導体工場建設計画を発表しAppleのティム・クックCEOは「Appleシリコンをアリゾナ州で製造する」と明言 - GIGAZINE


そんなTSMCが2023年第2四半期(4~6月)の決算を発表しました。この中でマーク・リュー会長は、「半導体グレードの施設で機器の設置に必要な専門知識を備えた熟練労働者の数が不足しているため、課題に直面しています」と述べ、専門家不足により工場の生産開始が遅れていることを明かしています。

リュー会長はフェニックスの製造工場で現地の労働者を訓練するために台湾から一時的に技術者を派遣することを計画していることも明かしました。なお、2023年6月には日経アジアが500人以上からなる経験豊富な労働者からなるタスクフォースを派遣することを計画していると報じています。


なお、TSMCの2023年第2四半期決算報告によると、同期における同社の売上高は前年同期比で10%減の約154億ドル(約2兆1600億円)、純利益は前年同期比で23%減の58億ドル(約8100億円)となっています。

2023年第2四半期には5nmチップの出荷がウェーハ総収益の30%を占め、7nmチップが23%を占めています。つまり、記事作成時点で最先端技術とされる「7nm以上のチップ」は、ウェーハ総収益の53%を占めました。

TSMCのシーシー・ウェイCEOは家庭用電化製品の需要減少により、2023年の通年売上高も前年比で10%程減少することになるという予測を打ち出しています。ウェイCEOは「インフレと金利の上昇が、世界のあらゆる地域と市場セグメントの最終需要に影響をおよぼします」「近年、AI関連の需要の増加が見られますが、当社のビジネス全体の循環性を相殺するには十分ではありません」とも言及しています。

ChatGPTのような高度な生成AIの登場により、これらを実行するための高度なチップの需要が高まっています。TSMCは高度なチップの供給に苦戦しており、生産能力不足も認めていますが、ウェイCEOは「2024年末に向けて状況は改善する」という楽観的な見方をしています。

一方で、市場アナリストからは「電気自動車サプライヤーのほとんどが中国にあるため、台湾企業は電気自動車からの恩恵を受けていません。しかし、AIとなると話は別です。AIのサプライチェーン全体が台湾にあるため、TSMCはAIから最も大きな恩恵を受けることになるでしょう」と述べました。


TSMCの2023年の純収益は、66%が北米地域に拠点を置く企業からのものであり、中国(12%)やEMEA(7%)といった競合市場を圧倒しています。

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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