Appleなどの要請を受けTSMCのアリゾナ新工場は5nmではなく4nmプロセスに切り替える方針
by 李 季霖
アメリカのアリゾナ州に建設中のTSMCの半導体製造工場では当初5nmプロセスで半導体が製造されると発表されていましたが、AppleやAMD、NVIDIAからの要請を受け、TSMCは生産ラインを4nmプロセスに切り替えたとBloombergが報じました。
TSMC Plans to Make More Advanced Chips in US at Urging of Apple - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-12-01/tsmc-plans-to-make-more-advanced-chips-in-us-at-urging-of-apple
Apple To Get 4nm Chips From TSMC's Arizona Plant in 2024
https://wccftech.com/apple-to-get-4nm-chips-from-tsmcs-arizona-plant-in-2024/
TSMCは2021年6月1日にアリゾナ州に新工場を建設する計画を明らかにし、2024年の稼働に向けて工事を進めています。当初TSMCはiPhone 12シリーズなどに採用される5nmプロセスの生産ラインを設けるとしていましたが、Bloombergによると、Appleやその他主要な顧客から要請を受けたTSMCは、これをより精度の高い4nmプロセスに切り替える方針だとのこと。TSMCの事情に詳しい関係者は、この情報は2022年12月6日に行われるTSMCの式典で正式に公開される可能性が高いと述べました。
AppleやAMD、NVIDIAといったファブレス企業はTSMCのチップ製造能力に大きく依存しています。アリゾナ州の新工場は当初月産2万枚のウェハーを製造するとされていましたが、当初の計画より増えるかもしれないと関係者は述べているとのこと。生産されるウェハーのうち、3分の1をAppleが使用することになるそうです。Appleは2022年に発売したiPhone 14に5nmプロセスのA15 Bionicチップを搭載しましたが、iPhone 14 Proシリーズには4nmプロセスのA16 Bionicを搭載したことから、今後は4nmプロセスを主流とし、TSMCにそのための協力を仰いだ可能性が指摘されています。関係者によると、さらに高度な3nmチップを製造する第2工場も近隣に増設されるとのこと。
サプライチェーンの混乱と中国との貿易摩擦、台湾で成長するテクノロジーを支配しようとする中国の動きが重なり、アメリカとヨーロッパに製造拠点を拡大する取り組みが加速しています。特にアメリカは国内での半導体製造工場の建設を奨励するCHIPS and Science Act(CHIPS法)を制定して補助金を用意し、TSMCに数十億ドル(数千億円)の資金を提供するともいわれています。
ただし、TSMCは高いとは言えない給料や台湾の厳格な労働体制から、アリゾナ州新工場の人員確保に苦しんでいるとも伝えられています。
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