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Appleが2023年内は「TSMCに3nmチップを製造してもらう唯一のメーカー」になる可能性


台湾にある世界最大の半導体受託製造企業であるTSMCは、顧客にAppleやIntel、Qualcomm、AMD、NVIDIAなど世界的なテクノロジーメーカーを抱えています。そんなTSMCはプロセスルール・3nmの次世代プロセス「N3」を2022年第4四半期に量産開始していますが、2023年にこのN3でのチップ製造を行うのはAppleだけになると報じられました。これまではIntelが2023年末にもTSMCで3nmチップの製造を開始するとウワサされていましたが、これが2024年まで延期されることとなったため、Appleが独占的にTSMCの3nmチップを製造することになる模様です。

TSMC foresees volume boost for 3nm chips with incoming Intel order
https://www.digitimes.com/news/a20230828PD223/3nm-intel-tsmc.html


TMSC 3nm chips exclusive to Apple this year, as Intel plan delayed
https://9to5mac.com/2023/08/29/tmsc-3nm-chips-apple/

Appleは2015年に発売されたiPhone 6sまでは、iPhoneに搭載されているSoCのAシリーズチップを、TSMCとSamsungの2社に分割して製造委託してきました。しかし、TSMCがプロセスルールの微細化を進め、チップ製造技術においてSamsungよりも大きくリードするようになっていきました。

これにより、Appleは2016年発売のiPhone 7に搭載されているA10 Fusionチップからは、チップの製造をすべてTSMCに委託するようになっています。iPhoneのAシリーズチップだけでなく、Mac向けチップのAppleシリコンも同様にTSMCが製造を担当しています。


Appleは2023年発売のiPhone 15 ProおよびiPhone 15 Pro Maxに搭載されることとなるA17 Bionicから、TSMCのN3を利用することになるとウワサされています。

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IntelはAppleシリコン搭載Macのパフォーマンスおよび電力効率に追いつくために、TSMCのN3で製造された3nmチップが必要であると考えているとされています。しかし、Intelの新型チップの設計が遅れているため2023年内に3nmチップの製造を開始することは不可能であるとDigitimesが報じました。これにより、TSMCのN3で製造される3nmチップは、2023年内はAppleの最新チップのみになるとのこと。

なお、プロセスルールの微細化によりチップ製造における問題は増加しており、TSMCでさえ2023年のA17 Bionic製造に必要な歩留まりを達成するのに苦労していることが報じられていました。実際、2023年4月にはTSMCが3nmチップの需要に追いつくことができていないことを明かしています。

ただし、2023年内のAppleのiPhone 15シリーズの生産台数が減少し、Intelの3nmチップ製造が2024年まで延期されることになったため、TSMCは2023年内分の3nmチップを問題なく供給できるようになったと目されています。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by logu_ii

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