クリストファー・ノーランが「配信オンリーの作品は見られなくなる危険性がある」と懸念
by The Pop Culture Geek Network
映画監督のクリストファー・ノーラン氏が「オッペンハイマー(原題:Oppenheimer)」(2023年公開・日本未公開)などについて語るイベントに登壇し、ストリーミングサービスで作品が配信されることの難しさについて語りました。
Christopher Nolan talks streaming, actors and “Oppenheimer” - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/entertainment/movies/2023/11/17/christopher-nolan-oppenheimer-style-session/
ノーラン監督はロサンゼルスで開催された「オッペンハイマー」イベントに登壇。Blu-ray版について、劇場公開版と遜色ない映像体験になるよう注意を払って制作したと述べた上で、「映像と音声をみなさんが所有して棚に置いておけるバージョンで、邪悪なストリーミングサービスに盗まれないようにしています」と発言しました。
この発言は「クリストファー・ノーラン『オッペンハイマーのBlu-rayを買って、邪悪なストリーミングサービスを回避しよう』」という形で映画情報サイト・Varietyに取り上げられました。
Christopher Nolan: Buy 'Oppenheimer' Blu-ray to Avoid Evil Streamers
https://variety.com/2023/film/news/christopher-nolan-buy-oppenheimer-blu-ray-evil-streamers-1235790376/
後日、ノーラン監督は「オッペンハイマー」の舞台裏についての本を執筆したジャダ・ユアン氏と対談。上述の発言が記事になったことについて、「冗談として語ったのですが、ネットに転記されると冗談ではなくなってしまいます」と言及しました。
ただ、ノーラン監督がストリーミングサービスに対して厳しい目を向けているのは事実で、ユアン氏との対談においても「配信しかない作品は、突然見られなくなったり、また配信が始まったりする危険性がある」と、Blu-rayのように作品が自由に見られない点に触れたとのこと。
Varietyは実例として、Disney+配信のオリジナル映画「クレーターをめざして」の事例を挙げています。
Christopher Nolan: Streaming-Only Films Are a Danger, Risk Being Pulled
https://variety.com/2023/film/news/christopher-nolan-streaming-films-danger-risk-pulled-1235802476/
「クレーターをめざして」は2023年5月12日にDisney+で配信が始まりましたが、2023年6月30日に削除され、Blu-rayリリース前のため誰も見られない状態になりました。その後、2023年9月からAmazon Prime VideoやGoogle Playなどで配信が再開されています。
Prime Video:クレーターをめざして
https://www.primevideo.com/-/ja/detail0HKPI1UYEOZ5XURYPRMPNSU9VT
なお、ノーラン監督の発言には、「パシフィック・リム」や「シェイプ・オブ・ウォーター」などの作品で知られるギレルモ・デル・トロ監督が反応。「物理メディアはほぼSF小説・華氏451度ぐらいのレベルの義務です。もし愛する作品のBlu-rayや4K HD、DVDなどを所有しているなら、何世代にも渡る管理者です」とX(旧Twitter)に投稿しています。
Physical media is almost a Fahrenheit 451 (where people memorized entire books and thus became the book they loved) level of responsibility. If you own a great 4K HD, Blu-ray, DVD etc etc of a film or films you love... you are the custodian of those films for generations to… https://t.co/ETGUNhKNoL
— Guillermo del Toro (@RealGDT) November 20, 2023
ちなみに、ノーラン監督はこの対談の中で、アメリカテレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)と全米脚本家組合(WGA)が行ったストライキに言及。ストリーミングコンテンツからの収益が一定割合でSAG-AFTRA組合員に支払われる契約になったことで、「配信の時代」に対応した修正が行われたと評価しました。
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