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IMAX映画の上映現場では20年以上前のPDAが利用されている


現地時間2023年7月21日から公開されるクリストファー・ノーラン監督の映画「オッペンハイマー」は、近年のノーラン監督作品の例に漏れずIMAXフィルム撮影が行われています。その現場の様子を撮影した映像の中に、20年以上前に発売されたPalmのPDAのエミュレーターが写り込んでいるのが話題を呼んでいます。

Here’s why 70mm IMAX movies like Oppenheimer need a Palm Pilot to work - The Verge
https://www.theverge.com/23801118/imax-movie-palm-pilot-oppenheimer


問題の映像はコレ。映画「オッペンハイマー」の70mmフィルムプリントは長さが11マイル(約17km)、重さが600ポンド(約272kg)もあるということをアピールする映像です。

Constantly pushing the boundaries of film ????️. #Oppenheimer #Christoph... | Oppenheimer | TikTok


ついつい巨大なフィルムリールのほうに目が行ってしまいますが、左側の柱に固定されているタブレットの画面内に写っているのはPDAのエミュレーター。


映像はこのエミュレーターを写すのが目的のものではないため、あまり鮮明には写っていませんが、端末は2002年発売のPalm m130です。


フィルムは1つのリールに収められる長さに限界があるため、長い映画の場合、複数のリールを切り替えつつ映写を行います。上映用リールを収めておく棚はプラッターと呼ばれます。プラッターから次に上映するリールを受け取り、空いているプラッターに上映済みリールを渡すQTRU(クイックターンリールユニット)制御に、Palm m130は利用されていました。

トム・バーバー氏は「IMAXシアターで実機のPalm m130が不足した結果、マイクロコントローラーやPCやRaspberry Piを利用するのではなく、Palm OSのエミュレーターを使うことにしたようです」と笑いつつ、実際に制御用に利用されていた実機のPalm m130の写真をツイートしています。


ニュースサイト・The Vergeによると、関係者は「70mm IMAXが復活すればQTRUも更新されると思います。それまでは、『車輪が外れるまで乗り続ける』のが一番です」とコメントしたとのこと。デジタル上映が主流となった結果、よほどのことがないとQTRUを新たな仕組みに置き換える機会はなさそうです。


IMAXの70mmフィルムを上映するときに映写技師がどのような作業をしているかは以下の動画を見るとわかります。

#IMAX #70mm #Film #Projector #POV Film Thread & Run @The Maritime Aquarium - YouTube

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   動画,   映画, Posted by logc_nt

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