LEDシネマスクリーンの普及で映画上映の形は変わるか
フィルム上映からデジタル上映への転換、3Dの導入、映像以外の演出を取り入れた「4D」など、映画上映の歴史上にはいろいろな進歩がありました。現在一部で導入が始まっている「LEDスクリーン」もひょっとすると映画の歴史に新たな一歩を刻む存在なのかもしれません。
How the New LED Cinema Screen Could Change Filmmaking and Moviegoing | Hollywood Reporter
https://www.hollywoodreporter.com/behind-screen/how-new-led-cinema-screen-could-change-filmmaking-moviegoing-1104745
Samsung Debuts World’s First Cinema LED Display - Samsung Global Newsroom
https://news.samsung.com/global/samsung-debuts-worlds-first-cinema-led-display
2018年4月20日(金)にカリフォルニア州チャッツワースにあるパシフィック・シアターズ・ウィネットカにLEDシネマスクリーンが導入され、「レディ・プレイヤー1」が上映がされました。
LEDシネマスクリーンは幅が約10.3mある巨大なテレビのようなもので、解像度は4K(4096×2160)。映画館に必須の映写機や映写室を必要としません。開発を担当したSamsungのスティーブン・チョイ副社長は「これまで映画館には人を集める新たな要素がありませんでした。観客は『ワオ』と言えるような新たな経験を求めています」と語りました。
1つ問題となったのはサウンド面。スクリーンであれば背後にスピーカーを設置することが可能ですが、LEDシネマスクリーンはディスプレイなのでスピーカー設置ができません。この点に関しては、Samsung傘下のハーマン・インターナショナルが、画面の真上にフロントスピーカー、前面に追加スピーカーを設置して、従来の映画館でのサウンド体験を生み出す7.1チャンネルサラウンドシステムを開発したとのこと。
もう1つの問題として考えられているのはコスト面。トップクラスのレーザープロジェクターは一般に15万ドル(約1600万円)~30万ドル(約3200万円)かかるそうですが、LEDシネマスクリーンの展開に必要なコストは50万ドル(約5400万円)~80万ドル(約8600万円)。チョイ副社長は、LEDシネマスクリーンは寿命が17年ほどあるなど、その他の利点があると主張。
パシフィック・シアターズはアメリカ初のLEDシネマスクリーンですが、すでにSamsungではロッテワールドタワーズ内のロッテシネマをはじめ、チューリッヒ、バンコク、上海へ展開を始めており、2018年夏までに10スクリーン、2018年末までには30スクリーンまで数を増やす予定です。
また、ソニーは「クリスタルLEDシネマスクリーン」を開発して2017年のCESに出展しており、2009年の映画「アバター」公開を1つのきっかけとして3D上映設備が全国で増加したように、何かをきっかけにLEDシネマスクリーンが一気に普及することもあるかもしれません。
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