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生まれつき盲目の男性がAmazonでソフトウェアエンジニアとして働く


人間は五感を使ってさまざまな情報を得ますが、特に視覚情報に大きく依存しており、その割合は80%を超えるとも言われています。そんな視覚情報を一切得られないという生まれつき盲目の男性が、大手ECサイトのAmazonでソフトウェアエンジニアとして働いています。

Blind since birth, writing code at Amazon since 2013
https://blog.aboutamazon.com/working-at-amazon/blind-since-birth-writing-code-at-amazon-since-2013

盲目ながら、Amazonでソフトウェアエンジニアとして働いているというのがマイケル・フォルツァーノさん。以下のムービーではフォルツァーノさんが自身のこれまでの生い立ちや、「Amazonでソフトウェアエンジニアとして働くこと」について、インタビューに受け答えしています。

Coding without seeing the screen - YouTube


Amazonの小売アクセシビリティチームでソフトウェアエンジニアとして働いている、26歳のフォルツァーノさん。彼は遺伝性の「ノーリー病」により、生まれつき目が見えない状態でした。しかし、フォルツァーノさんは「私は目が見えないにもかかわらず、間違いなく普通の子ども時代を過ごすことができました。私の両親は普通の子どもがやることと同じことが私にもできるんだと私にわからせるように、常にいろいろなことを私に行わせました」と、自身の幼少期について回想します。


フォルツァーノさんは5歳で聴覚も失いはじめ、現在は人工内耳(蝸牛)インプラントで音を聞いているとのこと。青少年時代、フォルツァーノさんはオーディオベースのコンピューターゲームに興味を持ち、プログラミングについての勉強を始めます。プログラミングとの出会いについては、「高校生の頃にコンピューターに興味を持った私は、オンライン上にある盲目の人々によるコミュニティの存在を知りました。その中にはただの趣味ではなく、仕事としてプログラミングを行っているという開発者もいました。そんな開発者の中の何人かが私にプログラミング、特にゲームのプログラミングを教えてくれました」と語っています。特に、サウンドエフェクトを用いることで普通のゲームを盲目の人でもプレイできるようにする、というオーディオゲームのプログラミングに興味を持ったそうです。


その後、ビンガムトン大学へ進学し、大学時代はポップバンドでサックスを演奏しながら、コンピューターサイエンスの学士号を取得したというフォルツァーノさん。大学卒業後、フォルツァーノさんはAmazonのソフトウェアエンジニアになったわけですが、Amazonでは他の同僚と共に「障害を持つ人々がよりAmazonでの買い物を行いやすくなるようなコード」を書いているそうです。Amazonへの就職が決まった際のことについては、「私が母親に就職の内定をもらったことを告げたとき、彼女が電話ごしに泣き始めたことをよく覚えています」と語ります。


これがフォルツァーノさんが働く仕事場。


「僕がAmazonでソフトウェアエンジニアをしていると言うと、人々はみな驚きます」


仕事場ではぐったりとクッションの上で寝ている愛犬。


フォルツァーノさんは、画面の文字を音読するソフトウェアを搭載した標準的なノートPCを使って仕事をこなしています。


実際にどうやってコードを書いているのかは、以下のムービーで紹介されています。カーソルを合わせた行に書かれている既存のコードをソフトウェアが音読してくれるそうで、仕事をこなすうちに音読スピードが徐々に高速化してきたことや、理解度が高まってきたことが語られています。ムービーを見ると実際にフォルツァーノさんがコードを入力する瞬間も映っており、かなり高速でタイピングしていることもわかります。

How Forzano writes code - YouTube


同僚のエリック・ワンさんは、フォルツァーノさんについて「僕よりも速くコードを読み書きできるし、コード内の欠陥を見つけるための特殊な力を持っているんだ」と語っています。


この「特殊な力」についてフォルツァーノさんは、「コードの構造に関する精神マップ」を持っていると語っています。これにより素早くコードを書いたりコードの中の欠陥を見つけたりすることが可能となっているそうで、開発チームにユニークなフィードバックを提供する役にも立っていると語っています。


さらに、SoundCloud上で公開されているフォルツァーノさんのインタビュー音源の中では、「私の同僚は時々、『これがどう働くか教えてくれる?』と尋ねてきます。その理由は、私がコード構造や特定のコンポーネントがどこにあるのか、システム全体のアーキテクチャーについてわかる、精神マップを持っているからです」と語っています。この「精神マップ」は、通常のプログラマーがホワイトボードやダイアグラムに頼るようなコードの構造把握に大いに役立つものだそうで、「目の見える人は視覚的に学習することが多いですが、私は視覚がないので、頭の中で構造を把握する精神マップを構築できるようになりました」と語っています。

なお、フォルツァーノさんはAmazonでのコードを書く仕事について、「自分が所属している組織で正しい評価を得られているという純粋な満足感を得られる行為」だとしています。

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in 動画, Posted by logu_ii