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自動車メーカーが顧客の個人メッセージを保持するのはプライバシー法違反としてホンダやトヨタが訴えられていた件が棄却される


自動車メーカーが車載システムを使ってユーザーの個人的なメッセージや通話記録を傍受できる状態にあったとする集団訴訟が提起されていた件で、プライバシー法違反を訴えた原告の主張は適用基準を満たさないとして棄却されました。本件に関連してフォード、ホンダ、トヨタ、フォルクスワーゲン、ゼネラルモーターズの5社が訴えられていたのですが、すべて棄却されています。

This Week At The Ninth: Infotainment and Drydocks | Morrison & Foerster LLP - Left Coast Appeals - JDSupra
https://www.jdsupra.com/legalnews/this-week-at-the-ninth-infotainment-and-5201956/

2023年11月7日、ワシントン州の第9巡回区控訴裁判所が、ホンダトヨタフォルクスワーゲンゼネラルモーターズに対して提起されていた4件の異なる訴訟について控訴されていたものを、それぞれ棄却しました。4件の原告はいずれも自動車メーカーのプライバシー法違反を主張していて、自動車メーカーが車載システムを使い、原告の個人的なメッセージや通話を記録・傍受したと訴えていました。当初ワシントン州裁判所に出されていたこの訴えは一度棄却されていて、原告らが不服として控訴していました。

第9巡回区控訴裁判所は先の4件より前に棄却判決が出ていたフォードの判例を支持し、「関連する5件の訴訟は別々の自動車メーカーを相手取って起こされた集団訴訟ではあるものの、事実関係と法的争点はほぼ同じであるため関連性がある」と指摘。いずれの原告もワシントン州プライバシー法を盾に主張を展開していましたが、同法には「自分のビジネス、自分の人格、または自分の評判が脅かされていることを証明しなければいけない」とする適用要件が定められていて、原告は自動車メーカーがビジネス、個人、評判を傷つけたとは主張していなかったことから、その主張は失当であったと判断されました。


フォードの判例とは、自動車メーカーのフォードがワシントン州プライバシー法に違反して個人的な通信を録音したとして、マーク・ジョーンズ氏らが原告となってフォードを訴えていた件です。

フォードは、運転手や同乗者が運転中に携帯電話を使用できる「インフォテインメント・システム」を搭載した車を販売しています。インフォテインメント・システムは、携帯電話の通話記録やテキストメッセージをダウンロードし、保存するとされているものです。フォードを所有するジョーンズ氏はもう一人の原告であるマイケル・マッキー氏とメッセージを交換したのですが、この行為がフォードによって違法に記録されたとして、ワシントン州裁判所へ訴訟を起こしました。

フォードは集団訴訟公正法に基づき、この訴訟を連邦地方裁判所に移管しました。訴訟を引き継いだ連邦地方裁判所は、前述の「自分のビジネス、自分の人格、または自分の評判が脅かされていることを証明しなければいけない」とするワシントン州プライバシー法違反の適用条件を満たしていないとして、訴えを却下。ジョーンズ氏らは控訴しましたが、第9巡回区控訴裁判所は連邦地方裁判所の判決を支持し、棄却しました。


この判決に対し原告側は「連邦地方裁判所には(ワシントン州法に関する)管轄権がないため、本案で棄却するのではなく、ワシントン州裁判所に差し戻すべきであった」と主張しましたが、第9巡回控訴裁判所はこの主張を退け、原告は管轄権について定めた合衆国憲法第3条の規定が適用されるだけの主張を十分に行っていたため、管轄権には問題がなかったと指摘。棄却判決についての訴えを認めませんでした。

一連の審理により、フォード、ホンダ、トヨタ、フォルクスワーゲン、ゼネラルモーターズに大きな勝利がもたらされました。

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in Posted by log1p_kr

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