警察による車のナンバープレートデータベースがついに第三者機関にアクセス権を与える
by BKD
電子フロンティア財団(EFF)とアメリカ自由人権協会南カリフォルニア支部(ACLU SoCal)は、ロサンゼルスの法執行機関と「警察によって収集された膨大な車両ナンバープレートのデータベース」に関する交渉でついに合意に達し、同データベースへのアクセス権を獲得しました。EFFはデータベースの利用方法や利用した機関について調査を行うとしています。
Victory! EFF Wins Access to License Plate Reader Data to Study How Law Enforcement Uses the Privacy Invasive Technology | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/press/releases/victory-eff-wins-access-license-plate-reader-data-study-how-law-enforcement-uses
アメリカでは車のナンバープレート自動認識(ALPR)システムが導入されており、パトカーに取り付けられたカメラや街中の特定箇所に設置されたカメラなどが、視界に入るあらゆるナンバープレートをスキャンしています。収集された膨大なナンバープレートデータは、警察などの法執行機関が捜査目的で利用しているとのこと。
ALPRによって収集されるデータはナンバープレートの数字だけでなく、ナンバープレートがスキャンされた正確な日付や時間、場所などが含まれています。ロサンゼルス市警察とロサンゼルス郡保安局は1週間あたり約300万枚ものナンバープレートをスキャンしており、数年にわたってナンバープレートのデータベースを保管しているそうです。
法執行機関がナンバープレートのデータベースを利用することにより、人々が過去のある時点でどの場所にいたのか、職場や生活範囲はどこなのか、親しい友人はどこに住んでいるのかといった情報を推測できるほか、信仰する宗教やどのような政治活動に参加したかまでわかってしまうとEFFは主張しています。
by Roberto Nickson
EFFはナンバープレートをスキャンされた車両の所有者のうち、99%は犯罪に関係していない無実の人々であると述べています。その一方で、法執行機関はALPRで収集されたデータを他の管轄区域の警察や国境警備隊、空港警備隊、大学警察などとも共有しているとのこと。
そして、ALPRのデータベースがどのように使用され、共有されているのかを調査するため、EFFとACLU SoCalはカリフォルニア州で裁判を起こしました。2017年にカリフォルニア州最高裁判所は、「ALPRのデータは、カリフォルニア公文書法の下で法執行機関が非公開にできる捜査記録ではない」と判決を下し、EFFとACLU SoCalがデータベースにアクセスすることを認めました。その後も交渉を続け、EFFとACLU SoCalは、ロサンゼルス市警察・ロサンゼルス郡保安局との合意に達し、ようやくALPRのデータベースにアクセス可能となりました。
EFFの監視訴訟ディレクターのジェニファー・リンチ氏は、「6年間の訴訟の後、EFFとACLU SoCalは数百万ものALPRデータベースにアクセス可能となりました。これにより、テクノロジーがどのように使用されたのか、どこで使用されたのか、人々のプライバシーにどのような影響が出ているのかを明らかにできます」とコメントしています。
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