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不法移民を取り締まる国家機関が車のナンバープレートの位置情報を入手していたと判明

by Steve Cadman

アメリカ合衆国国土安全保障省の傘下にある移民・税関執行局(ICE)は、アメリカ国内における不法移民の追放活動を行っています。そんなICEは移民追跡のために車のナンバープレートの位置情報を大量に入手しており、一部の地方自治体は法律で禁じられているにも関わらずICEと個人情報を共有していることが明らかになりました。

Documents Reveal ICE Using Driver Location Data From Local Police for Deportations | American Civil Liberties Union
https://www.aclu.org/blog/immigrants-rights/ice-and-border-patrol-abuses/documents-reveal-ice-using-driver-location-data

Report: ICE database tracks nearly 60% of US population without a warrant
https://thenextweb.com/politics/2019/03/13/report-ice-database-tracks-nearly-60-of-us-population-without-a-warrant/

ICEは移民による事件やテロ行為を調査するために設立されたアメリカ政府の機関であり、税関における物品や人間の出入りに関連する事件の捜査や、不法移民を逮捕して追放する役割を担っています。トランプ政権下では移民の排除活動を活発に行っており、アメリカ国内の移民の監視を強化しているといわれています。


移民を追跡するためにICEはあの手この手で人々の位置情報を収集しており、2018年には「ICEがFacebookのユーザーデータを利用して移民の位置を特定している」と報じられました。

不法移民を取り締まる国家機関「ICE」がFacebookのユーザーデータを利用している - GIGAZINE


そんな中、自由を擁護する目的で設置されたアメリカのNGO団体・アメリカ自由人権協会(ACLU)は、アメリカの情報公開法(FOIA)にもとづいて取得した(PDFファイル)文書によって、ICEがVigilant Solutionsという民間企業によって収集された車のナンバープレート認識(ALPR)データベースにアクセスしていたことを明らかにしました。ACLUによると、ICEは2017年にVigilant Solutionsと610万ドル(約6億7000万円)の契約を結び、9000人を超えるICE捜査官がアメリカの至るところで収集されたナンバープレートの位置情報にアクセス可能となったとのこと。

Vigilant Solutionsはアメリカにおける最も人口の多い50の地域において、保険会社や駐車場といった民間企業が設置したカメラによって記録された、車のナンバープレート情報を収集しています。Vigilant Solutionsがカバーしている範囲は、アメリカ全人口のうち60%に及ぶともいわれているそうです。すでにVigilant Solutionsのデータベースには、50億件を超えるナンバープレートの位置情報が含まれており、毎月新たに1億5000万~2億件の位置情報が追加されています。

by Tony Hisgett

また、ACLUによればICEはVigilant Solutionsが収集したデータベースだけでなく、地方自治体の法執行機関が収集したナンバープレート位置情報にもアクセスしているとのこと。10を超える州の80以上の法執行機関がICEとナンバープレートの位置情報を共有することに合意しており、中には法律に違反しているにも関わらず、ICEへの情報提供を行っている法執行機関もあるそうです。

カリフォルニア州では、地方の法執行機関がナンバープレートの位置情報および個人情報を、入国管理の目的で州外または連邦政府の機関と共有することを禁じています。この法律によって、ICEへ情報提供を行っている法執行機関は自らが法を犯していることになるとACLUは主張し、ICEとの情報共有をやめるべきだと求めています。

ACLUは「ICEは長い間テクノロジーを使って移民を標的にし、脆弱な移民コミュニティへの監視を強めてきました。私たちは自分自身の情報を取り戻し、地元の機関がICEへの情報提供を行っていないかどうか確かめる必要があります」と述べました。

by Elvert Barnes

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in メモ, Posted by log1h_ik

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