ネットサービス

UberとLyftを兼業するドライバーが無断で乗客の姿をネット配信していたことが判明、しかし法的には「問題なし」


自家用車に乗客を乗せて収入を得ることができるUberLyftのドライバーを務めていた男性が、車内の様子を常時カメラで撮影して乗客の姿をインターネットでストリーミング配信していたことが明らかになっています。乗客にとっては非常に気持ち悪い出来事ですが、ご当地の法律ではこの行為は違法ではないとされています。

St. Louis Uber driver has put video of hundreds of passengers online. Most have no idea. | Metro | stltoday.com
https://www.stltoday.com/news/local/metro/st-louis-uber-driver-has-put-video-of-hundreds-of/article_9060fd2f-f683-5321-8c67-ebba5559c753.html

Uber suspends St. Louis driver who broadcasts passengers on Twitch 
https://www.cnbc.com/2018/07/21/uber-suspends-st-louis-driver-who-broadcasts-passengers-on-twitch.html

乗客には一切知らせずに利用者の様子を配信していたのは、ミズーリ州セントルイスでUberとLyftのドライバーとして登録していた32歳のジェイソン・ガーガック氏。自身が所有するピックアップトラック「シボレー・シルバラード」の車内に乗客を含む全てが写るようにカメラを設置し、ライブストリーミング配信プラットフォーム「Twitch」上でその様子をリアルタイム配信していました。


ライブ配信中の様子はこんな感じ。後部座席に座る二人の女性の顔は、この件を報じたニュースメディア「The St. Louis Post-Dispatch」によって黒く塗りつぶされていますが、実際の配信時は全て顔がわかる状態になっていたそうです。


配信時には映像だけでなく音声も全てリアルタイムで流されていたとのこと。閉ざされた空間だと思っていた車内が、実はインターネットで世界中に配信されている空間だったとは、ガーガック氏以外は知る由もなかったはず。


客を乗せて走っている時には、ライブ配信のコメント欄に「その金髪の子は10点中7点、茶髪の方は5点だな」「女子の座り方じゃないな」「気持ち悪い子だ」といったコメントが寄せられていたとのこと。

ガーガック氏が配信していた映像の一部はこんな感じ。

St Louis Uber driver discusses livestream - YouTube


ガーガック氏はサービスに登録した2018年3月以降、700回以上にわたって乗客を乗せてきたとのこと。Twitchでは「JustSmurf」というIDで配信を行っていましたが、この一件を受けてアカウントは閉鎖されています。


ガーガック氏の配信はそれなりの人気を誇り、4000人程度のフォロワーがついていた模様。


実際にガーガック氏の車に乗り、配信されていたことが判明している女性はこの件について「プライバシーを侵害され、辱めを受けた気分です」「安全だからという理由で午前2時にUberに乗車したのに、後になって車内で話したことが全てオンラインで公開されていたことを知り、とても気持ちが悪いです」と語っています。

この件を知った乗客からは、UberやLyftに苦情が寄せられているとのこと。Uberは「被害」を受けた乗客に対して5ドル(約600円)のクレジットをユーザーアカウントに提供し、当初は「今後ガーガック氏の車が手配されないようにする」という対応がとられていました。しかし、その後UberとLyftはガーガック氏のドライバーとしての登録を抹消したと伝えられています。

当のガーガック氏はこの件について「特に悪いことはしていない」と考えているとのこと。ガーガック氏にとってこの配信は「お金をもたらしてくれるバーチャル人間観察」の一環であり、メディアの取材に対して「自分と乗客の自然なやり取りを捉え、LyftやUberの利用がどのようなものかを伝えるためのものだ」と語っています。


ガーガック氏の行為が違法ではないというのは、ミズーリ州の州法の規定にも根拠があります。ミズーリ州では、複数の当事者が自分たちの行動をカメラで撮影する際には、ヌードや一部のヌードではない限りにおいて、その人物の同意を取らずに撮影を行ったとしても、それは違法とはされない規定があるためです。

配信を始めた理由についてガーガック氏は「お金ではない」と説明しています。ガーガック氏はUberやLyft以外の仕事はしていない無職の状態ですが、当面の生活の面倒は妻がみてくれているとのこと。配信を始めた主な理由についてガーガック氏は「セキュリティ面」であると答えています。UberやLyftのドライバーとして稼働中に、もし自身の身に事故や強盗など何なかの事件が起こり、そのまま数週間も発見されなくなってしまう自体に陥ることを恐れたガーガック氏が、車内にカメラを取り付けたのが配信を始めた理由だと述べています。

The St. Louis Post-Dispatchによる90分にわたる取材を受けたガーガック氏は、最後に記者に対して「記事では本名のフルネームがわからないようにできるか」と尋ねてきたとのこと。「本名が知られるのは時間の問題だ」と答えた記者に対してガーガック氏は「可能な限りファーストネームだけにしてほしい。プライバシーの問題なので。だってほら、インターネットはクレイジーな場所だから」と述べたそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Twitterのライブ配信アプリで配信主が生放送中に飛び込み自殺をする事件が発生 - GIGAZINE

17歳の少女がレイプされる現場をTwitterのライブ配信アプリで生放送した友人の18歳少女が刑事告訴されて裁判に - GIGAZINE

ネットライブ配信中にオイルマッチで火事になるまさにその瞬間が海外でもニュースになる - GIGAZINE

誰でもスマホだけで世界中に生配信したり生配信を見たりできる「Periscope」を使ってみた - GIGAZINE

タイプミスで人生を台無しにされた男性の物語 - GIGAZINE

in ネットサービス,   乗り物, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.