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「刑務所内でのレイプを避ける方法」をまとめた動画、男性も女性も等しくターゲットになり得る過酷な刑務所内の環境が明らかに


超党派の非営利報道組織であるThe Marshall Projectが、PREA(Prison Rape Elimination Act:刑務所内レイプ撲滅法)に基づく連邦政府からの助成金によって制作された「刑務所内でのレイプから身を守る方法をまとめた動画」を独占入手し、YouTube上で公開しています。

‘Trust Nobody, and Proceed with Caution’ | The Marshall Project
https://www.themarshallproject.org/2015/02/20/trust-nobody-and-proceed-with-caution


The Prison Rape Videos: Three Out of Four Stars | The Marshall Project
https://www.themarshallproject.org/2015/02/24/the-prison-rape-videos-three-out-of-four-stars

動画を撮影したのは、刑務所内でのレイプを撲滅させるための活動を続けている人権活動家兼映画製作者のティモシー・J・パーセル氏。同氏も元受刑者であり、刑務所内でレイプされた経験があるという人物です。実際に刑務所内でレイプされた経験のあるベテラン受刑者が、自身の経験をベースに「刑務所内でレイプから身を守る方法」を説明するというドキュメンタリー調の映像になっています。

PREAの調査によると、2010年に刑務所職員による受刑者に対する性的暴行が最も多かったアメリカの刑務所11カ所のうち、3つがニューヨーク州にあるそうです。また、2009年以来、ベッドフォードヒルズにある刑務所だけでも3人の刑務官が受刑者に対してレイプを働き、その罪で起訴されています。


動画を監督したパーセル氏は、刑務所にやってきた初日に薬物を盛られ、空き独房の中で集団レイプされたと告白しています。他にも、数人の女性受刑者が刑務官の不適切な行動を特定するためのヒントを語りました。他にもウェイトリフティングのパートナーが性的な誘いを行ってくるか否かを見分ける方法や、シャワー室内での適切な振る舞い方など、実践的なアドバイスも語られています。

女性版動画では、刑務所内の社会的ストレス要因が、どのようにして受刑者をレイプの被害者にしてしまうかを強調しています。数人の女性受刑者は、刑務所到着のタイミングで「家族と離れることに対する罪悪感を感じる」ようになるとコメント。すると、自尊心が低下し孤独を感じていると察知した捕食者が、刑務所内での「母親」や「妹」になろうとすり寄ってくるそうです。

「刑務所内でのレイプから身を守る方法をまとめた動画」には男性向けの動画と女性向けの動画があり、以下が男性向けの動画。

New York State Prisons: How to Avoid Rape in Prison - Men's Orientation - YouTube


以下が女性向けの動画。

New York State Prisons: How to Avoid Rape in Prison - Women's Orientation - YouTube


これらの動画はニューヨーク州にあるすべての刑務所で新たに受刑者となるすべての人に見せられるものだそうです。女性版動画の中では「看守がレイプの加害者になり得る」と語られており、男性版動画でも「男性受刑者は、他の受刑者よりも職員から性的暴力を受ける可能性が高い」と指摘されています。

一方で、刑務所内レイプ問題の専門家であるブレンダ・スミス氏は、「刑務所内でのレイプから身を守る方法をまとめた動画」について「男性版と女性版の両方の動画の中で、受刑者と看守の間で合意の上での性行為など存在しないことを明確に強調すべきだった」と言及。加えて、男性看守だけでなく女性看守も性的虐待の加害者になり得ることや、受刑者同士での性行為は合意の上で始まるものの、次第に強制的なものに変わる危険性もはらんでいることを指摘すべきと、スミス氏は語っています。

動画の中で、ベテラン受刑者たちはレイプを行う人々を特定することを助けたり、性的暴行が行われた事実を報告したりすることは「密告ではない」と懸命に主張しており、刑務所内のレイプ文化を変えようと試みています。一方で、刑務所内に監視カメラを設置したり受刑者をレイプする職員を処罰したりするという刑務所を管轄するNYSDOCCS側の具体的なレイプ撲滅のための取り組みと結びつかない限り、実質的な意味はないと主張する人もいます。

ベッドフォードヒルズ女性矯正施設の元受刑者であり、刑務所内で男性刑務官からレイプされたというジェニファー・クームズ氏は、「受刑者の中にこのことについて話す人がいることに少し驚きました。私が受刑者だった時は、このことについて全く話したことはありませんでした。刑務官が私に初めて言い寄ってきたとき、私は『なんてこった、本当にこんなことがあるんだ』と思いました。私が刑務所に行った初日には、このようなことは予想すらしていませんでした。この動画は起こり得るいくつかの出来事について、人々に準備を促すためのものであり、これは素晴らしいアイデアだと思います。この動画があればこれから起こることに対してより良い準備ができたと思います。私は自分の身にこのようなことが起こった場合、誰に連絡すればいいのかという部分が好きです。これはとても恐ろしく、刑務官がすべてのコントロールを握っているのではないかと考えるため、女性受刑者は何も言えません。間違った相手に報告してしまえば、自身の身がさらに危険にさらされてしまうと考えるためです」とコメント。

動画内でレイプから身を守るための方法を解説した元受刑者のひとりであるサミュエル・ハミルトン氏は、「完成動画を見た際の最初の一言は『パワフル』でした。私は30年以上刑務所にいましたが、NYSDOCCSが私たち受刑者に問題解決の助けを求めるようなことはほとんどありませんでした。代わりに、彼らは常に犯罪学の学位を持った人にプログラムを設計するよう依頼するだけでした。一方で、今回の動画では我々を輪になって座らせ、性的暴行について新しい受刑者が知っておくべきことについて、『対話』するよう求めています。彼らは対話を許可してくれたんです。長年の総合的な経験を持つ人々に、解決策を考え出すよう依頼してみてはいかがでしょうか?」と述べ、これまでとは全く異なるアプローチを称賛しています。

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in 動画, Posted by logu_ii

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