カードの代わりに「サイコロ」でデッキビルディングするとんでもないゲーム「Astrea: Six-Sided Oracles」レビュー、ランダム・乱数・運まみれのダイスを戦略でねじ伏せ世界を救え
カードではなく「ダイス」でデッキを構築して敵を倒していくローグライクゲーム「Astrea: Six-Sided Oracles」が2023年9月22日に販売開始されました。このゲームは「強力なダイスデッキを構築できる」とのことですが、デッキ構築ゲームはただでさえ少なからず運要素が絡んでくるのに、運要素の塊とも言えるダイスをトッピングしたらどのような化学反応が起きてしまうのか想像もつきません。その実態を探るべく遊んで確かめてみると、意外にも戦略が重要なゲームであることがわかりました。
Steam:Astrea: Six-Sided Oracles
https://store.steampowered.com/app/1755830/Astrea_SixSided_Oracles/?l=japanese
「Astrea: Six-Sided Oracles」は、神秘の星「アストレア」と、その星を取り巻く六つの星の物語です。はるか昔、アストレアは六つの世界に生まれし子どもたちに「アストラリウム」と呼ばれるレリックを授けました。その子どもたちは「六面のオラクル」と呼ばれ、占星術をつかさどる文明を繁栄させていきましたが、アストレアが突如として沈黙し、その光を失ってしまったことにより混乱が起こります。
アストレアの心臓は第6世界の首都「アクエリアス」に墜落し、意志の弱いものたちの魂を次々に堕落させていきました。星々に散らばるレリックをもってすれば闇の力を「浄化」することもできたと思われましたが、肝心のレリックを操れる者はもはや存在しませんでした。しかし、魂の堕落が広がったことで、失われたレリックが呼び覚まされ、六面のオラクルの継承者たちが呼び寄せられます。継承者たちはすべての星々の運命をかけ、アクエリアスへと旅立つのでした。
プレイヤーは、六面のオラクルの継承者たちとしてゲームをプレイします。最初に解放されている継承者は「ムーニィ」というキャラクター。クリアすることで他のキャラクターもどんどん使えるようになっていきます。ムーニィでゲームスタートです。
「Astrea: Six-Sided Oracles」は、「Slay the Spire」や「Monster Train」、「Peglin」のように、ルート上で枝分かれしているマスを一つずつ踏んでいって、それぞれのマスでイベントや敵との戦いをこなしていくゲームです。
一つ目のマスは敵との戦いです。バトル開始直後はドローフェイズが始まり、自分のデッキから四つのダイスがランダムにドローされます。敵キャラクターは、それぞれ固有のダイスを一つずつ所持します。
そのまま自動的に全ダイスがシャッフル。
ダイスの出目が決まります。
ダイスの出目はさまざまで、単に数字だけが書かれている目が出ることもあれば、特殊な効果を持った目が出ることも。出目は大きく分けると「浄化」と「堕落」の2種類。青い出目が「浄化」、赤い出目が「堕落」です。浄化は味方を回復して敵にダメージを与え、反対に堕落は敵を回復して味方にダメージを与えます。以下画像の一番右のダイスは「浄化」の「1」が出ています。このダイスを味方にプレイすると体力を1回復し、敵にプレイするとダメージを1与えることが可能。
敵が持っているダイスには堕落の目が出ていることがわかります。堕落の目は敵のダイスだけでなく、自分のダイスでも出る可能性があります。
ダイスをプレイする場合、ダイスをクリックして、次に対象をクリックします。敵が攻撃を予定していることがわかっているので、今回はシールド効果のあるダイスを自分にプレイしました。これで自分にシールドが付与され、敵から受ける堕落を「1」ブロックすることができます。
場に出ているダイスは1ターンに全部使用することが可能なので、どんどん使ってしまってOK。次は「リロール」という効果を持つダイスを使います。リロールは、任意の対象のダイスを振り直せるという効果です。
ダイスがどんな目を持っているのかは、ダイスを右クリックすることで確認できます。先ほど一番右にあったダイスの目の一覧が以下。今回の出目は「1」でしたが、実は「2」や「3」が出ていた可能性もあったわけです。振り直すことで、6分の1の確率で「3」、3分の1の確率で「2」を引け、今よりもっといい目になるかもしれません。もしかしたら6分の1の確率で「堕落」が出るかもしれませんが、ここは確率を信じてダイスをリロールすることに。
「任意の対象のダイスを振り直す」ということは、当然敵のダイスも振り直せるということです。敵が強力な攻撃を予定しているときは、強制的にリロールしてしまうのもアリ。いい数字が出ることを祈っていざプレイ。
敵ダイスの出目は変わりませんでしたが、手持ちのダイスは出目が1から3へと変わりました。ラッキー。
3になったダイスを敵にプレイします。
3ダメージが入り、敵の体力ゲージが減少しました。
プレイしたダイスは廃棄され、ドローデッキが空になった時に再びドローデッキに戻ります。
残りのダイスもプレイし、やることがなくなったら「ターン終了」を押します。
次は敵のターン。敵がダイスの出目に応じた行動を取ります。このターン、プレイヤーができることはありません。
敵のターンが終わると再度ドローフェイズを経て自分のターンに。新たなダイスで戦略を考えます。
プレイヤーの体力ゲージが一定まで減ると、「徳義」と呼ばれる特殊能力が使えるようになります。ムーニィは、「ダイスを1個ドローする」「任意のダイスを2つリロールする」「敵に浄化4を与える」の三つに加え、「敵ターン終了時まで手札のダイスを1個反転する」という特別な徳義を一つ持っています。前者三つは体力ゲージが増えたり減ったりすることで「1ターンに何度でも」使えるので、なるべくすべて使い切ってからターンを終了するのが吉。特別な徳義は体力ゲージに関係なくバトルの最初から使えますが、1ターンに1回しか使えません。
というわけで、徳義を使って早速リロール。体力が減っていると「回復もしたいし攻撃もしたい」と迷うことになりますが、徳義はこの迷いを解決に導く強さを持っています。どれもピンチをチャンスに変えられる強力な一手です。
もう一つ紹介するダイスが「任意の浄化アクション値1を持つダイスの値を6にする」という効果「強化」を持ったダイスです。読んで字のごとく、1の出目を6の出目にするという効果で、手持ちのダイスに「1」の出目があるときにしか使えませんが、とにかく「1」であれば単体攻撃であろうが全体攻撃であろうが「6」になる強力なもの。
今回は「強化」を使い、「全体に浄化1を与える」というダイスの出目を「6」にしました。
浄化の効果で味方は回復、敵は大ダメージ。強い。
手持ちのダイスが出す目は「浄化」だけではありません。時には外れ出目の「堕落」が出ることもあり、さらに堕落の出目は「そのターンのうちに必ず使い切らなければならない」という制約があります。味方に使えば味方がダメージを負い、敵に使えば敵が回復してしまうという堕落の出目をいかに処理するか、ここがAstrea: Six-Sided Oraclesを「戦略ゲー」たらしめているポイントの一つです。
例えば、そのまま堕落をプレイするのは芸がないので、「リロール」してしまうのも手です。
この戦いの最初に使った「シールド効果のあるダイス」は「堕落をブロックする」という効果を持っているため、このシールドをあえて敵に付与して、敵に堕落をプレイしたときの効果を減少させることもできます。
自分にダメージを与えて徳義を使えるようにする、というのも実用的な戦略の一つ。とにかくさまざまなパターンが考えられます。
こうした戦略を駆使し、すべての敵を撃破したらそのマスはクリア。報酬を受け取ることができます。
報酬の一つは新しいダイス。すべてが浄化の目になる「セーフ」か、堕落の目が二つあるものの高い浄化の目を持つ「バランス」、堕落の目が四つもある代わりにとても高い浄化の目が二つある「リスキー」の三つの選択肢が用意されています。ここから一つピックし、デッキに追加できます。
報酬を受け取ったら次のマスへ前進。マスの中には、リソースのアップグレードなどに使用する「星のかけら」を得られるマスや、星のかけらを使ってダイスを作成・破壊・コピーする「鍛冶屋」マスなどさまざまな種類があります。
さらに、味方として自キャラクターを補助してくれる「センチネル」という存在も登場。
Slay the Spireで言うところの「レリック」、つまり自分にパッシブ効果をもたらすアイテムも手に入れることができます。
マスを進めて最後に出会うのはチャプターボスです。強力な攻撃と多大な体力で、一筋縄では対処できません。ボスと初めて戦ったときの様子を動画に収めました。
「ダイス」だけでデッキを構築するローグライクゲーム「Astrea: Six-Sided Oracles」レビュー - YouTube
ボスを撃破すると強力な報酬を受け取れます。この報酬で自身を強化し、次なるマップ「チャプター2:アストロポリスの遺跡」へと進んでいきます。
ダイスをプレイするゲームといえば「Armello」がまず頭に浮かびましたが、Armelloはカードの効果が多少なりとも影響するゲームであり、今回のAstrea: Six-Sided Oraclesとは毛色が異なります。ダイスのみというゲームになじみがなく、最初は「カードはなくてダイスだけ、というゲームはほぼ運任せのゲームになるのではないのか」という疑問がありましたが、確かにダイスの出目は運に左右されるものの、ダイスをどの順番でプレイするのか、そもそもどのダイスをデッキに加えていくかといったことなど、多くの点で運に頼らない綿密な戦略を練ることが必要とされるゲームだなという印象を受けました。
一番近いのは「ダイスフォージ」。途中の「鍛冶」、さらに一部の「イベント」やダイスの効果自体で永久にダイスの面を変更できるため、「とにかくデメリットを消す」とか、あるいは逆に「とにかくデメリットを反転させる」など、運を力でねじ伏せる「絶対必勝」のパターンのダイスを組むことが可能です。とは言ってもすべてのダイスを思い通りにできるわけではないので、そのあたりのリソースの配分は重要です。
Astrea: Six-Sided Oraclesは、Steamにて税込2800円で販売されています。無料のデモ版も公開されているので、気になった人はプレイしてみてください。
Steam:Astrea: Six-Sided Oracles
https://store.steampowered.com/app/1755830/Astrea_SixSided_Oracles/?l=japanese
◆途中で詰まってしまった人のための攻略メモ
約50時間かけてラスボスのさらに先にいる真のラスボスまで倒したGIGAZINE編集長による基本的な攻略方針のメモ。
・慣れないうちは「セーフ」ダイス重視
初期デッキで既にいくつか堕落が入っているので、最初から「バランス」「リスキー」を引くと大苦戦必至。慣れるまではとにかくセーフのダイスを引きまくって数を増やし、以下の「新月の光」と組み合わせるのが鉄板。序盤からセーフダイスを加えまくればラスボス到達時には30個ぐらいのセーフダイスをゲットできるので、凄まじい攻撃力となり、まさに一撃必殺。この「新月の光」自体もセーフダイスなのでカウントされるという最高のダイス。
あとこんな感じでスターターダイスとセーフダイスを優遇してくれる「星の祝福」もあります。
・ハートが3つあるなら「ハートを捧げる」で「星の祝福」を得る
ダイスと違ってほとんどの「星の祝福」は条件さえ合えば常に発動されるので、いっぱいあればあるほどウレシイ。
発動条件もできるだけゆるいのを選ぶのが最初は良い傾向があります。例えば「天使のサンダル」は「浄化を敵に8回与えるたび」なので、意識しなくても勝手に発動するので便利。
特にコレ、「ダイス鍛造ハンマー」は反則級の強さ。一度のターンでたくさんダイスを引かなくてもとにかく地道にダメージを重ねられるので強い。
「奇術師のステッキ」もリロールしまくるのであればお役立ち。敵のダイスをリロールするついでにダメージも与えるという優れもの。
ただしボス戦クリア時の「ブラックホールの祝福」はよく考えること。デメリットを相殺できる場合とできない場合があり、デメリットを消せる組み合わせが手元で実現できるのであればOK。例えば以下の場合、「蘇生」できるダイスや祝福があれば実はこのデメリットは意味がなくなります。なおかつ毎ターンダイスを2個追加で引くというのは凄まじい強力さ。キャラクター固有の徳義がうまく発動しないダイスになってしまったのであれば、ゲットする価値あり。
蘇生しまくることができるのは「警戒のカード」で、セーフダイスを8個プレイするたびに蘇生して徳義がすべて使えるようになるため、徳義を使いまくる場合には必須。
「呪われた玩具」も蘇生できます。
「双対原理」も蘇生OK。ただしこれは反転しまくるデッキを組んでいるのが条件。
・ダイスの種類に自キャラクター名が書いてあるダイスを多めに選ぶ
まず各キャラクターごとにある「徳義」に合わせたダイスを選ぶのがポイント。例えばムーニィの場合、堕落を浄化に反転できるため、下記のような「抱擁+」みたいにすべて「堕落」というダイスが実は強力な攻撃ダイスになる。徳義を使えるのは基本的に1ターンで1回なのですべてをこんな堕落まみれにすることはできないが、最初はセーフを多く集め、ある程度コントロールできるように感じてきたらこういう堕落まみれ、あるいは堕落の数値が大きくなる効果のあるダイスを選ぶとラク。
同時に、反転しまくるということは、以下のようなダイスが極めて強力。しかも「バトル中」なので、毎ターン必ず反転していれば、次のシャッフル時にはかなりつよつよダイスになっています。特にボス戦は長期戦になるのでこういうダイスがお役立ち。
「斜陽の印章」も反転と組み合わせるダイス。かなり即効性があり、オススメ。
コンボについては「エピックダイス」が大きなヒントになっており、一見すると「なぜこれがエピックなんだ……?デメリットばかりでは……?」という場合、実は強力なコンボができるダイスがよくよく考えるとある!ということです。なので、いろいろなエピックダイスを見て「こんなのがあるということは……」ということで考えると良い感じのダイスを組むことができます。独自のコンボを編み出すまではこの方式がオススメ。
同様に、「星の祝福」でも「儀式の羽」を見ればわかるとおり、明らかに「破滅」はムーニィにとっては有利。ということは、ブラックホールの祝福でもデメリットが「破滅」ならゲットすべき!というように判断できます。こういうのが各キャラクターごとにあります。
・「鍛造」は永久効果
強い効果のダイスは必ず堕落がいっぱいくっついており、鍛冶やイベントで潰すのにも限りがあるため、こういう「鍛造」効果のあるダイスがあればかなり効果的。手持ちのダイスだけでなく、呪われたときなどに出てくるダイスも変更できるので非常にオトク。
逆に言えば以下のような「鍛造不可」のダイスはどれもこれもかなりヤバいということです。
・「改ざん」は何を犠牲にしてでも手に入れる価値がある
「改ざん」は敵の堕落を浄化に変えるというとんでもない能力。もしも途中で見かけたら必須。残りのデメリットを全て叩き潰す価値あり。
デメリットが一切無い「改ざん」もあります。
・とにかく「神聖」を積む
祝福やダイスで「神聖」が得られるものが出てきたらコレも積極的にゲット。全堕落をブロックできるので、そのターンだけで一気に大逆転可能。手持ちの「ダイス」、それから「星の祝福」、さらに「センチネル」の3箇所から「神聖」を得られるようにしておくと安定したプレイが可能になります。
・真のギャンブルは「イベント」
こういうとんでもないものが混じってます。センチネルを最大レベルにアップグレードはスゴすぎ。
・「徳義」も増やせる
こんな感じで増やせる場合あり。見てわかるとおり、超強力。
・どうやって真のラスボスを倒せるのかさっぱりわからない人向け
GIGAZINE編集長が初めて真のラスボスを倒したときのデッキ・祝福・センチネルはこんな感じ。最後の攻撃パターンからの逆算で組んだデッキで、センチネルはおまけ。すべてのリソースをエピックダイスに振ってます。クリックするとモザイクが外れます。
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