6GHz帯通信をAR／VRヘッドセットなどの超低出力デバイスにも認めるとFCCが発表

アメリカの連邦通信委員会(FCC)が、6GHz帯(5.925GHz～7.125GHz)を使用可能な無線機器に「超低出力(VLP：Very Low Power)デバイス」を追加することを承認しました。これにより、AR／VRヘッドセットやスマートグラス、車内接続システムで6GHz接続による通信が使用可能になります。

FCC Permits Very Low Power Device Operations in 6 GHz Band | Federal Communications Commission
https://www.fcc.gov/document/fcc-permits-very-low-power-device-operations-6-ghz-band

FCC greenlights superfast Wi-Fi tethering for AR and VR headsets - The Verge
https://www.theverge.com/2023/10/19/23923015/fcc-6ghz-approval-very-low-power-devices-apple-google-meta

FCCは2020年4月に、6GHz帯のうちの5.925～7.125GHzを無線免許がなくても使えるようにできる規則を承認しました。この承認によって、従来よりも高速で遅延の少ない「Wi-Fi 6E」が可能となりました。

6GHz帯の無免許利用をFCCが承認、高速な無線LAN新規格「Wi-Fi 6E」が使用可能に - GIGAZINE

ただし、免許不要での6GHz帯利用が解放されたのはWi-Fiルーターやスマートフォン、ノートPCなど。アンテナから放射されるエネルギー出力(EIRP)が小さいVLPデバイスについては、無線免許なしで6GHz帯を利用することはできませんでした。

2019年には、Microsoft、Google、Apple、Metaなど複数の企業がVLPデバイスでも6GHz帯へのアクセスを認めるようにFCCへ請願しました。いずれの企業もAR／VRヘッドセットやスマートグラス、車に搭載される接続システムなどを開発しており、VLPデバイスでもWi-Fi 6Eが使用できるようになることは、そうしたVR／AR関連の技術開発にも大きく役立ちます。

こうした動きを受けて、FCCのジェシカ・ローゼンウォーセル委員長は「柔軟性をさらに高め、免許不要の技術革新を促進する必要性を認識した」として、VLPデバイスが無線免許なしでも6GHz帯域のU-NII-5(5.925～6.425GHz)およびU-NII-7(6.525～6.875GHz)を使って通信をすることを許可する新しい規則を提案しました。この規則では、6GHz帯通信対応のVLPデバイスを周波数調整システムの制御下にない屋内・屋外のどこででも運用が可能になります。

FCCは「今回承認した新規則は、ウェアラブル・テクノロジーやAR、VRを含む最先端アプリケーションのエコシステムに拍車をかけ、仕事をサポートし、学習やヘルスケアの機会を増やし、新たなエンターテインメント体験をもたらすでしょう」と述べています。

Metaの北米政策担当ヴァイスプレジデントを務めるkevin・マーティン氏は、IT系ニュースサイトのThe Vergeに対して「私たちのような企業が次のコンピューティングの波を作るために新しい無線技術を使用することを認めたFCCの決定を称賛します。これは、政府の規制当局が未来に向けて早期に産業界と協力して構築していく輝かしい例です」とコメントしました。

また、Google Pixelも公式Xアカウントで「6GHz帯通信はワイヤレス接続の将来にとって非常に重要なものです。FCCによる承認は、Pixelユーザーやアメリカの消費者にとって勝利です。FCCのリーダーシップに感謝します」と述べています。

なお、日本では5.925～6.425GHzが6GHz帯と定義され、含めて2022年9月に認可されています。また、EIRP25mW以下のVLPデバイスに限っては、屋外での利用も可能となっています。

総務省 電波利用ホームページ｜その他｜無線LANの屋外利用について
https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/wlan_outdoor/