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Telegram創設者がハマス公式チャンネルの維持を表明、閉鎖は事態を余計に悪化させるという判断


メッセージングアプリ・Telegramの創設者であり最高経営責任者(CEO)でもあるパーヴェル・ドゥーロフ氏が、パレスチナのイスラム原理主義組織「ハマス」が運用する公式Telegramチャンネルについて、「チャンネルを強制閉鎖することはない」と宣言しました。

Amidst Controversy, Telegram Will Keep Hamas' Channels Open – Bitcoin News
https://news.bitcoin.com/amidst-controversy-telegram-will-keep-hamas-channels-open/


15年間にもわたりパレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織のハマスは、イスラエルの刑務所に収容されるパレスチナ人の解放を求め、2023年10月7日に同国に対して攻撃を仕掛けました。これ以降、イスラエル軍とハマスの衝突は続いており、ガザ地区では記事作成時点で2800人以上が死亡しており、イスラエル側でも少なくとも1400人が死亡したと伝えられています

緊迫した状況が続くイスラエル・パレスチナ情勢ですが、ハマスに対しては国際社会からも圧力がかけられており、ハマスの資金源と目される仮想通貨口座が凍結されたり、インターネット上でハマスのイスラエル侵攻に関する偽情報が拡散されないように、欧州連合(EU)が調査を開始したりしています。

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そんな中、ハマスが暴力的な戦争関連コンテンツを投稿するためにメッセージングアプリのTelegramを使用していることが注目を集めています。これまでの報道によると、Telegramのハマス公式チャンネルにはイスラエル攻撃時に撮影したと思われる125本以上の動画がアップロードされているそうです。この種の暴力的なコンテンツをハマスがTelegram上で取り扱えるままになっているという点について、一部のメディアや活動家からはTelegramに対する批判の声が挙がっていました。

Google傘下のシンクタンクであるJigsawのヤスミン・グリーンCEOは、CNBCに対して「この種のコンテンツがハマス支持者たちを組織し、さらなる暴力行為を促すのではないかと懸念しています」と語っています。また、海外メディアのRolling Stoneは、「Telegramは、X上でリークする未確認情報をまとめるためのハブとして利用されており、2つのプラットフォームが紛争に関するリーク情報と偽情報の二重奏を作り出している」として、XとTelegramを名指しで非難しました。

一方で、Telegramはハマス公式チャンネルや関連チャンネルを閉鎖する意向はないと発表しました。TelegramのドゥーロフCEOはハマスの公式チャンネルを閉鎖しない理由を以下のように説明しています。

「毎日、TelegramのモデレーターとAIツールは、何百万もの明らかに有害なコンテンツをパブリック プラットフォームから削除しています。しかし、戦争関連報道への取り組みが明確になることはほとんどありません。今週初め、ハマスはTelegramを利用してアシュケロンの民間人に対し、ミサイル攻撃に先立ってその地域から立ち去るよう警告しました。このような状況を踏まえると、Telegramの公式チャンネルを閉鎖することは人命救助につながるのでしょうか?それとも、より多くの命を危険にさらすことになるのでしょうか?感情的な衝動に従って行動したくなるのが常ですが、このような複雑な状況では、ソーシャルプラットフォーム間の違いも考慮した徹底的な検討が必要です。疑うことを知らない人々に衝撃的なコンテンツをアルゴリズムで宣伝する他のアプリと異なり、Telegram はユーザーが購読したコンテンツのみを受け取ることができます。そのため、Telegramチャネルがプロパガンダを大幅に増幅するために使用される可能性は低いです。代わりに、研究者・ジャーナリスト・ファクトチェッカーにとって、直接の情報を提供する独自の情報源として機能します。このような重要な情報源を破棄することは簡単ですが、そうすることで悲惨な状況をさらに悪化させてしまう危険があります。」


ハマスの情報が失われると、攻撃から一般市民が逃げる機会も失われることになるとドゥーロフCEOは述べました。

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by logu_ii

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