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X(旧Twitter)に対しEUが初のデジタルサービス法に基づく捜査開始、ハマスのイスラエル攻撃に関連した偽情報のホスティングを巡り


ハマスによるイスラエルへの武力行使をきっかけに、X(旧Twitter)上で拡散された違法なコンテンツやテロリズム・暴力に関する偽情報をめぐって、EUがXに対する調査を開始しました。

The Commission sends request for information to X under DSA
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_23_4953


EU opens probe into X over Israel-Hamas war misinformation | Financial Times
https://www.ft.com/content/a4ab23c7-977a-46b1-8d00-33923ceaee89


ハマスはパレスチナ・ガザ地区を支配するイスラム教系武装組織で、イスラエルの刑務所に収容されるパレスチナ人の解放を求め、2023年10月7日にイスラエルに対して攻撃をしかけました。当日はガザ地区に近い砂漠で音楽フェスティバルが開催されており、ハマスがイベント現場を武力制圧する様子や参加者が虐殺される動画がXに投稿され、拡散されました。

SNS上に掲載された投稿には一部虚偽や誤解を招く投稿も多く、EUはXやMetaに対して警告を発しました。

イーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグにEUが「SNSにパレスチナ・イスラエルの戦闘に関する偽情報が多数掲載されている」と警告して対応を求める - GIGAZINE


今回の調査は、デジタルサービス法が2022年11月に施行されて以来初となる正式な調査となります。EUのティエリー・ブルトン委員はXに対して公開書簡を出しており、Xの執行会長であるイーロン・マスク氏宛てに「Xが違法なコンテンツや偽情報の流布に利用されています」と調査が開始される24時間前に懸念を表明しました。


EUはすでにXに対して今回の調査に関する質問状を送付しているとのこと。さらにEUは、Xが今回のハマスとイスラエルの武力衝突のような有事の際にどう対応するのか、フェイクニュースや誤情報に対処するためにどういったプロトコルを用意しているのかも確認しています。Xは2023年10月末までに欧州委員会に回答を提出する必要があります。


もし質問状に対してXが回答しなかったり、不完全な情報や誤解を招くような情報を提出したりした場合、Xの全世界における1日当たりの売上高の最大5%が罰金として科される可能性があります。

Xのリンダ・ヤッカリーノCEOは、ハマスに関連する数百のアカウントを削除しており、数万件のコンテンツを削除あるいはラベル付けする措置を講じたことを2023年10月12日に明らかにしました。

X removes hundreds of Hamas-affiliated accounts since attack, CEO says | Reuters
https://www.reuters.com/technology/x-ceo-says-removed-hundreds-hamas-affiliated-accounts-messaging-platform-2023-10-12/


ヤッカリーノCEOは目まぐるしく変化する状況に対処するため、リソースを再配分し、社内チームの集中力を再調整したと述べています。また、ブルトン委員への書簡の中で「具体的な質問に対処するための会議を含め、あなたやあなたのチームとさらなる関わりを歓迎することを改めて申し上げたく思います。具体的なお答えを受け取ることを楽しみにしています」と返信しています。


なお、Xは公開書簡への返信で、EUから受け取った80件以上の削除要請には所定の期間内に応じており、プラットフォーム上の違法なコンテンツについてはEUの刑事機構であるユーロポールから何の通知も受け取っていないと述べています。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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