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自爆テロを受けてSNSをブロックしたスリランカ政府に賛否両論

by Pxhere

2019年4月21日にスリランカ最大の都市コロンボをはじめとした複数箇所で同時多発的に発生した自爆テロでは、日本人を含む300人以上の死者が確認されています。この事件を受けてスリランカ政府はソーシャルメディアを遮断。スリランカ国内では事件発生後からYouTubeやFacebook、その傘下のInstagramやWhatsAppなどが使用できなくなりました。

Social media shut down in Sri Lanka in bid to stem misinformation | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2019/apr/21/social-media-shut-down-in-sri-lanka-in-bid-to-stem-misinformation

Facebook ban: Sri Lanka shows why blocking social media is a 'blunt instrument' - CNN
https://edition.cnn.com/2019/04/23/tech/facebook-ban-sri-lanka-intl/index.html

キリスト教の復活祭の日にあたる2019年4月21日に発生した自爆テロは、主にキリスト教の教会や外国人が利用する高級ホテルを標的としたものでした。スリランカ政府は国内のイスラム過激派の犯行とみており、22日までにスリランカ国籍の24人が逮捕されたほか、事件発生から2日後の2019年4月23日にはISILが犯行声明を発表しています。

この事態を受けてスリランカ政府は、事件発生直後から国内のソーシャルメディアを遮断しており、スリランカ大統領顧問のHarindra Dassanayake氏は「ヘイトスピーチやフェイクニュースによるさらなる暴力のまん延を防ぐため、一時的に国内のソーシャルメディアブロックした」と発表しました。また、スリランカのラニル・ウィクラマシンハ首相も、「未確認の報道や憶測を拡散させないでください」とTwitter上で呼びかけています。Twitterはスリランカではあまり利用されていないため、今回の政府によるソーシャルメディア遮断の対象ではないとのことです。

I strongly condemn the cowardly attacks on our people today. I call upon all Sri Lankans during this tragic time to remain united and strong. Please avoid propagating unverified reports and speculation. The government is taking immediate steps to contain this situation.

— Ranil Wickremesinghe (@RW_UNP)


スリランカ政府によるソーシャルメディアの遮断はこれが最初ではなく、2018年3月にスリランカの中部州の州都キャンディでイスラム教徒と仏教との衝突し、暴動に発展した際も同様の措置が取られていました。スリランカ政府のこの対応をめぐり、インターネットやニュースメディアの反応は賛否両論に分かれています。イギリスのニュースメディアThe Guardianは「ソーシャルメディアの遮断は非常に良い考えです」と語る匿名のスリランカ市民の声を取り上げて、ソーシャルメディアを遮断しなければイスラム教徒への報復が助長されていたとの見方を示しました。

また、ブロガーや市民ジャーナリストらによる非営利団体Global Voicesのエグゼクティブディレクターを務めるイヴァン・シーガル氏は自身のTwitterアカウントで、「私たちはこれまで、ソーシャルメディアの遮断は違法な検閲だとみなしていました。しかし今では、脅威から私たち自身を守るために必要不可欠な義務だと考えています」との意見を表明しています。

A few years ago we’d view the blocking of social media sites after an attack as outrageous censorship; now we think of it as essential duty of care, to protect ourselves from threat. #facebook your house is not in order. #EasterSundayAttacksLK @globalvoices @groundviews

— Ivan Sigal (@ivonotes)


このような反応の背景には、2019年3月にニュージーランドで発生した銃乱射事件に対するFacebookの反応が遅かったことなどから、ソーシャルメディアへの不信感が高まっていることや、ソーシャルメディアの在り方をめぐる議論が活発化していることなどがあると見られています。

「Facebookはモラルが崩壊した病的なウソつきだ」とプライバシー委員が激しく批判


一方で、公的機関によるメディア規制に対する反発の声もあがっています。CNN Businessはスリランカ政府によるソーシャルメディアの遮断を脊髄反射的な措置に過ぎないと非難しました。また、「ソーシャルメディアの遮断をほめそやす声の大半はスリランカ国外からのもの。多くのスリランカ市民は家族と連絡を取り合う手段を断たれ、情報の入手先を政府の報道に頼ることを余儀なくされています」と指摘し、SNSを規制しても問題を解決したことにはならないと述べています。

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