ネットサービス

イーロン・マスクが旧Twitterの従業員を違法に解雇したとして規制機関に訴えられる


Twitterを買収Xに改名したイーロン・マスク氏が、同社の従業員を違法に解雇したとして、全米労働関係委員会(NLRB)が申し立てを行っています。

Elon Musk’s X illegally fired employee who challenged RTO plans: NLRB
https://www.cnbc.com/2023/10/13/elon-musks-x-illegally-fired-employee-who-challenged-rto-plans-nlrb-.html


Musk's X illegally fired worker challenging office return, US labor board says | Reuters
https://www.reuters.com/technology/musks-x-illegally-fired-worker-over-tweet-protesting-office-return-nlrb-alleges-2023-10-13/

Elon Musk’s X (Twitter) Illegally Fired Worker Over Protest Tweet, NLRB Alleges - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-10-13/elon-musk-s-x-twitter-illegally-fired-worker-over-protest-tweet-nlrb-alleges

全米労働関係法(NLRA)に基づき、団結権・団体交渉権・不当労働行為の禁止など主要な労働関係法を執行するという、連邦政府の独立行政機関がNLRBです。そんなNLRBが、旧Twitterの経営陣によるリモートワーク廃止方針を批判した従業員を違法に解雇したとして、Xに対する最初の正式な告訴状を公開しました。

NLRBのサンフランシスコ支部は、「マスク氏が旧TwitterのCEOに就任した2022年10月下旬に、同社の主任ソフトウェアエンジニアを務めていたヤオ・ユエ氏を解雇し、NLRAに違反した」として、2023年10月13日(金)に申し立てしました。NLRBは、「旧Twitterが労働要件を急に変更したことに腹を立て、他の従業員を組織しようとしたユエ氏を違法に解雇した」と主張しています。


旧Twitterは2020年に、新型コロナウイルスのパンデミックが終息してからも永久に従業員によるリモートワークを認めると発表していました。しかし、マスク氏はTwitterを買収したのち即座にこの方針を撤回し、リモートワークを禁止したことが報じられていました。なお、マスク氏は電気自動車メーカーのテスラでも「オフィスに戻らないなら辞めろ」と従業員にメールで通達していたことが報じられており、根っからのリモートワーク反対派であることが明らかになっています。

イーロン・マスクが「収益の半分をサブスクリプションから得る必要がある」と述べる、社員のリモートワークを禁止しTwitter Blueを「最優先事項」に位置付け - GIGAZINE


NLRBによると、マスク氏はTwitter買収後に同社の従業員に対して「物理的にオフィスにたどり着くことができるのに姿を現さない場合、退職を受け入れたものとみなす」と述べ、リモートワークが原則禁止となることを伝えたそうです。

また、マスク氏は「リモートであろうとなかろうと、自分の部下が優れた仕事をしているだとか、与えられた役割が不可欠であるだとかを偽って主張するマネージャーは、解雇されます」と記したメールを従業員宛に送信していたことも明らかになっています。

しかし、Twitterの従業員の中にはリモートワーク廃止に対する「懸念と怒り」を表明する人も出ていました。その中のひとりがユエ氏で、同氏はTwitterの自身のアカウントで「辞めるのではなく、彼(マスク)にあなたを解雇させてください。辞職からは文字通り何も得られません」と投稿。また、同社のSlackチャンネル上では「解雇しないでください」というメッセージを投稿し、マスク氏の方針に反発していたそうです。


NLRBの告訴状によると、Twitterの同僚の多くがユエ氏のメッセージに返信したそうですが、マスク氏は誰を解雇すべきか特定するためにオンライン上の投稿やSlack上の投稿をスキャンするよう経営陣に指示していたとのこと。

ユエ氏はTwitter上でツイートしてから5日後に、同社を解雇されています。解雇理由は「不特定多数の会社規定に違反したため」と説明されたそうです。


また、告訴状には「ユエ氏は、Twitterが彼女を解雇の対象に選んだのは、彼女が同僚たちを解雇しないよう組織化しようとしたことに対する報復であり、そうすれば同僚たちはTwitterからの離職に異議を唱える法的な足場を固めることができなくなるためだと主張しています」とも記されています。

これらを踏まえ、NLRBは「NLRAに基づき、旧Twitterが従業員に保障された権利の行使を妨害・拘束・強制した」と主張しました。

なお、ユエ氏はTwitterを解雇された際に「驚くべき12年間と3週間の混乱を経て、私はTwitterから正式に解雇されました。こんなに長く留まることになるとは思ってもみませんでしたし、辞めてみるとこんなにホッとするとも思いもしませんでした」と投稿しています。


NLRBは「直接的あるいは予見可能な金銭的損害、被告による違法行為の結果被ったその他の損害について、ユエ氏を完全に救済すること」を求めています。この件に関する公聴会が2024年1月30日にアメリカのサンフランシスコで開催される予定です。

なお、XはTwitter買収直後に行った大規模解雇に端を発した一連の訴訟にも直面しており、この中では女性や障害を持つ労働者をターゲットに解雇を進めたことや、従業員に約束した退職金を支払っていないことなどが指摘されています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Twitterの買収を完了したイーロン・マスクがCEOに就任、テスラから集められた50人以上のエンジニアがTwitterのコードレビューに加わる - GIGAZINE

イーロン・マスクは仕事量が週に120時間以上に達し睡眠不足と「重度の背中の痛み」に襲われている - GIGAZINE

イーロン・マスクがTwitterの元従業員に支払われるはずだった退職金5億ドルを拒否したとして集団訴訟に突入 - GIGAZINE

Twitter本社の看板から「Twitter」の文字が撤去される、Twitterが青い鳥を捨てて「X」に名称を変更 - GIGAZINE

イーロン・マスクが「Twitter」から「X」に名称を変更した理由を語る、金融取引を含む包括的アプリになるため「Twitter」の名前はそぐわないと主張 - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.