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頭の中で人物や風景を思い描けない「アファンタジア」でも明るく鮮明な映像を見る方法とは?


頭の中で人物や風景を思い描くことができない「Aphantasia(アファンタジア)」という状態は、人口の約2~5%ほど存在すると言われています。アファンタジアは目を閉じても景色や何かの姿形を思い浮かべることができず、ただ真っ黒な空間しか見ることができません。しかし、そういったアファンタジアの状態にある人でも、心的イメージを鮮明に見られるようになる他、クリエイティブな思考法や頭の回転を高めることにも役立つトレーニング方法が提案されています。

How to See Bright, Vivid Images in Your Mind's Eye
https://photographyinsider.info/image-streaming-for-photographers/


Image Streaming: Think Faster, More Visually, and More Fluidly
https://sourcesofinsight.com/image-streaming/


エクセター大学、ヘリオット・ワット大学、エディンバラ大学が発表した合同研究によると、ほとんどの人は簡単に頭の中に慣れ親しんだ風景や動物などのイメージを思い浮かべることができますが、一部の人たちは自らの想像やイメージを視覚化できないことがあるとのこと。研究ではその状態を「アファンタジア」と呼んでいます。その後の研究では、アファンタジアは記憶力に問題を抱えていることが影響しているという指摘や、アファンタジアの人は目の瞳孔反応が違うという論文など、さまざまな分析が進んでいます。

頭の中で人物や風景を思い描くことができない「Aphantasia(アファンタジア)」とは? - GIGAZINE

By Alice Popkorn

写真や写真家に関する記事を掲載するメディアのPhotography Insider Infoを運営するジェームズ・サマセット氏は、30歳近くまで頭の中に映像を想像することができなかったと話しています。例えば目を閉じて「象」を思い浮かべようとしても、大きな耳や長い鼻がイメージとして描かれることはなく、ただ赤みがかった暗い空間があるだけとなるそうです。写真の構図や合成を考えるとき、他の人が心の中で鮮明な画像を想像して撮影の計画をしたり構図を変更したりしている一方で、サマセット氏は想像の中で組み立てることができず、実際に被写体を動かしながらスケッチブックを使ってアイデアを書き留めていく必要がありました。

サマセット氏は「私が『アファンタジア』という言葉を知ったのはつい最近で、私の症状が正式にアファンタジアと診断されたかどうかは分かりません」と述べつつも、アファンタジアと同じ症状を感じていたと語っています。しかし、サマセット氏はあるテクニックを実践するようになって以来、目を閉じてイメージを思い浮かべられるようになったり、アファンタジアの人が見ないとされる「夢」も見た上で鮮明に覚えていることを体験するようになったとのこと。


サマセット氏はロンドンで行われた写真家の研修コースに参加した際に、講師のマイケル・ニール氏から、「イメージストリーミング」という技術を教わったそうです。イメージストリーミングとは、教育学や知力研究の世界的権威として知られるウィン・ウェンガー博士が考案したもので、視覚的な思考能力と言語をすらすら想起する力を高めるために使用できるテクニックです。

イメージストリーミングを行うためにはまず、余計な情報を遮断するために目を閉じることが重要です。そして、例えば「海水浴場の景色」を想像する場合に、「どこの海岸にいる」という大まかな情報ではなく、「砂浜の厚さを感じる」「波の音が聞こえる」「潮の匂いがする」というように、感覚的な細かい情報を口に出して説明していきます。これを次から次に口に出していくことで、思考および言葉の選択が素早くなり、目にしたものの説明がうまくなるほか、想像力もアップするとされています。


ウェンガー博士は「私たちが『Ten/Ten Test』と呼んでいるように、1日あたり10分のイメージストリーミングを10日間続けてみてください。これで何も変化が得られない場合は、代わりに何か別のことをする方が良いです。もし何らかの変化を感じることが出来たら、トレーニングを継続することで、さらに良い結果を感じることができるはずです」と実践について述べています。実際に、サマセット氏はイメージストリーミングを1日1回10分間継続して行った結果、約1か月かかって良い結果を得ることができたそうです。そのため、最初は想像を口に出して説明するのがたどたどしかったり、そもそもうまく具体的な想像ができなかったりと詰まってしまうとしても、諦めずに繰り返し実践することが重要だとサマセット氏は指摘しています。

イメージストリーミングはアファンタジアの状態から改善するためのアイデアとして提案されている他、より素早くクリエイティブな思考を行うための方法としても考えられています。マイクロソフトでデジタルビジネスのディレクターなど25年間のキャリアがあるJ・D・マイヤー氏は自身のブログであるSources of Insightの中で、「もっと早く、より視覚的に、より流動的に考える事ができたらどうなるでしょうか。自分のアイデアをもっと良い方法で言語化できたら、新しいアイデアを思い描いてそれを詳細に説明できたら、ボキャブラリーを増やして新しい創造的なアイデアを思いつくことにつなげることができたら、どうなるでしょうか。このために『イメージストリーミング』が役立ちます」と語っています。

アメリカの掲示板型ニュースサイトのRedditには「CureAphantasia(アファンタジアの治療)」というサブカテゴリがあり、イメージストリーミングを含むさまざまなアイデアが紹介・議論されています。27年間アファンタジアの状態だったがイメージストリーミングにより視覚化に成功したというユーザーのApps4Life氏は、「ウェンガー博士の方法はアファンタジアの人を想定して書かれていないため、当初は間違った方向のトレーニングにつながりました」と指摘した上で、より望ましいテクニックについて解説しています。


Apps4Life氏によると、目を閉じたときに浮かぶ像には、普段見えている映像をリフレインしただけの「暗いノイズ」と、思考から生まれる「明るいノイズ」があるとのこと。このうち明るいノイズに注意を向けて集中することが重要で、「特に、リラックスをして、経験的な知覚からくる『アナログ思考』を排除するプロセスが重要です」とApps4Life氏は述べています。

Apps4Life氏は独自の解釈を加えた4段階のトレーニングプロセスについて提案しています。まず、以下の図形を0.25秒程度、ちらっと見る感覚で認識します。その後目をそらして図形の形や色を詳細に思い浮かべます。これを非常にリラックスした状態で6つの図形全てで行うと、精神的な集中が高まります。


図形から目をそらしても0.5秒程度はくっきりとした像が頭の中で保持できるようになったら第2段階に進みます。Apps4Life氏が「画像連鎖」と呼んでいる2番目のプロセスでは、よく知っているマンガのキャラクターなどの画像を少なくとも5作品から選んで20枚準備します。キャラクターの画像のうち、頭や足など特定の部位に注目してから目をそらし、そのイメージが消えるまで思い浮かべます。イメージがおぼろげになったら画像に戻り、キャラクターの他の部位を注目して目をそらし思い浮かべる、ということを繰り返します。これにより、脳内でビジュアルを連鎖させることが可能で、視野を広げて集中力と脳内で像を結ぶ能力が高まるそうです。

さらに次のステップとして、キャラクターの部位に注目するのではなく、複数の部位を認識した上で目をそらして画像全体を思い浮かべます。これは「短期記憶からの投影」にあたります。それがうまくできるようになったら、そのキャラクターが登場するマンガやアニメの、別のキャラクターを思い浮かべます。これにより、「長期記憶からのビジュアルの投影」を訓練することができます。


短期記憶、長期記憶ともにビジュアルを投影できるようになったら、最後のトレーニングに移動します。ここでは、知っているマンガやアニメのキャラクターを100人リスト化し、そのうち50人分の画像を保存しておきます。リストのうち最初の50人は、画像と合わせて名前を確認し、リストから目をそらした上で名前を一文字ずつ思い浮かべます。後半の50人では、画像を検索することなく文字だけ確認し、同じように目をそらしてキャラクターの名前を思い浮かべます。ここでも、短期記憶と長期記憶の両方にアクセスし、文字情報から資格情報を素早く思い浮かべることにつながるとのこと。

ウェンガー博士およびサマセット氏が推奨するトレーニングプロセスと異なり、Apps4Life氏は「思い浮かべるために目を閉じる誘惑に駆られるかもしれませんが、このトレーニングでは全ての部分で目を閉じないで行う必要があります」と述べています。目を開けたまま思考を投影する能力を獲得することで、集中力やパフォーマンスが高まる「プロファンタジア」に到達できるとApps4Life氏は主張しています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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