Steam Deckの開発元が「今後数年間は次世代モデルの登場はない」と発言
携帯型ゲーミングPCの「Steam Deck」を開発するValveが、パフォーマンスが向上した次世代モデルのSteam Deckが登場する可能性について、「今後数年間はいかなるパフォーマンスのアップグレードも期待できない」と発言しました。
Valve: don’t expect a faster Steam Deck ‘in the next couple of years’ - The Verge
https://www.theverge.com/2023/9/21/23884863/valve-steam-deck-2-refresh-upgrade-cpu-2025
No Steam Deck performance upgrade "in the next couple of years" says Valve | Eurogamer.net
https://www.eurogamer.net/no-steam-deck-performance-upgrade-in-the-next-couple-of-years-says-valve
人気PCゲームプラットフォーム・Steamの運営元であるValveが開発した、いつでもどこでも手軽にPCゲームを遊べる携帯ゲーミングPCが「Steam Deck」です。日本では2022年12月に発売されましたが、アメリカやヨーロッパなどでは一足先の2022年2月に発売されています。Steam Deckは発売から1年以上が経過した2023年9月時点でもSteamのトップセラーリストで11位にランクインしており、ゲームコミュニティから絶大な支持を得ています。
そんなSteam Deckについて、Valveの開発者が次世代モデルが「数年後に登場する」と発言し話題を呼んでいました。
「Steam Deckのハイスペック版が数年後に登場する」と開発元のValveスタッフが発言し話題に - GIGAZINE
Steam Deckのデザイナーであるピエール・ルー・グリファイ氏が海外メディアThe Vergeのインタビューに答え、Steam Deckの次世代モデルが登場するのは2025年後半かそれ以降になる可能性があると語りました。次世代モデルの登場に数年の時間がかかる理由は、「バッテリー寿命に重大な影響を与えずにパフォーマンスの改善を試みるため」だそうです。
グリファイ氏は「我々にとって、Steam Deckが開発者に固定のパフォーマンス目標を提供し、顧客にシンプルなメッセージを提示し、すべてのSteam Deckで同じゲームをプレイできることが重要です。そのためには、パフォーマンスレベルの変更は軽視するものではなく、大幅な向上が見込まれる場合にのみ行われるべきです。また、パフォーマンスの向上により電力効率やバッテリー寿命が大幅に犠牲になるようなことも望んでいません。今後数年間でそのような飛躍が可能になるとは予想していませんが、我々は依然としてアーキテクチャと製造プロセスの革新を注意深く監視し、物事がどのような方向に向かうのかを確認していきます」とThe Vergeに語りました。
グリファイ氏は東京ゲームショウ2023の中でも、CNBCに対してSteam Deckの次世代モデルについて「我々はこの業績目標(Steam Deckの次世代モデルの開発)を今後数年間の安定した目標として検討しています」と発言しています。
LIVE from the Tokyo Game Show - the power of PC gaming, in your hand. We spoke to one of the brainchilds of the Steam Deck, Valve's Pierre-Loup Griffais on the challenges, as games get bigger.@willkoulouris @Valvesoftware @Plagman2 #TGS2023 @CapcomUSA_ @Capcomasia @OnDeck pic.twitter.com/Adz34dMqf3
— CNBC's Street Signs (@StreetSignsCNBC) September 21, 2023
これに対して、The Vergeは「今後数年間という期間は思っていたよりも長いものになるかもしれません。Steam Deckは技術的にはまだ最新のPCゲームをプレイできますが、The Last of Us Part Iのような最低要件の厳しい、あるいは最適化が不十分な最新タイトルのプレイは難しくなります。これにはRedfallやStarfieldも含まれます」と述べ、次世代モデルがすぐに登場するわけではないことを残念がっています。
ただし、The Vergeは「そうは言ってもValveがパフォーマンス面は同じまま、新しいSteam Deckを開発している可能性は十分にあります。ゲームメーカーが同じハードウェアのよりコンパクトで軽量で電力効率の優れたものをリリースするということはよくあることです。任天堂はNintendo Switchを2度アップデートしていますが、1度目はバッテリーを改善し、2度目は画面を改善しています」と記し、次世代モデルとは異なるマイナーアップグレードが施される可能性を指摘しています。
また、ゲームプレイ時のフレームレートの向上は、内蔵チップをアップグレードしなくてもディスプレイを新しいものに変更すれば実現できる可能性があるとのこと。実際、ASUS ROG AllyとAYANEO GEEK 1SでStarfieldをプレイしたところ、どちらも同じプロセッサを搭載しているにもかかわらず、ASUS ROG Allyの方が優れたフレームレートでのゲームプレイが可能だそうです。この理由は、「可変リフレッシュレートに対応したディスプレイであったため」だそうです。そのため、Steam DeckもCPUやGPUをアップグレードせずにフレームレートを向上させることができるとThe Vergeは指摘しています。
なお、Steam Deckがどんなゲーミングデバイスになっているのかは以下の記事を読めばわかります。
いつでもPCゲームをプレイできる携帯型ゲーミングPC「Steam Deck」外観レビュー - GIGAZINE
セットアップ手順は以下の記事の通り。
Steam公式携帯ゲーミングPC「Steam Deck」セットアップ編、LinuxベースOS搭載でUIはこんな感じ - GIGAZINE
ゲームをプレイするうえで気になるバッテリー消費や発熱について調べたのが以下の記事。
携帯型ゲーミングPC「Steam Deck」は本当にいつでもどこでも遊べるのか?温度とバッテリー消費を測ってみた - GIGAZINE
Steam Deckは記事作成時点で「動作対応確認済み」のタイトルだけでも8000以上あります。また、2022年に登場したエルデンリングのようなそこそこのスペックが求められるようなゲームでも問題なくプレイすることが可能で、少し古いAAAタイトルならレイトレーシングを有効にしてのプレイも可能です。
エルデンリングや塊魂をいつでもどこでも遊べる「Steam Deck」でいろんなゲームをプレイしてみた - GIGAZINE
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