中国の病院でAlibabaのAIツール「PANDA」を使い18万枚のCTスキャン画像を再検査し医師が見落とした約24件の膵臓がんを発見

中国では、Alibabaの研究開発部門であるDamo Academyが開発した「PANDA(PANcreatic cancer Detection with Artificial intelligence)」というAIツールを用いて、医師が見逃しかねない致命的な腫瘍を特定する取り組みが進んでいます。このツールは、造影剤を使わない通常のCTスキャンから膵臓がんを検出するように訓練されており、早期発見が非常に困難で5年生存率が約10%とされるこの疾患に対し、有望な結果を示しています。
In China, A.I. Finds Pancreatic Cancer That Doctors May Miss - The New York Times
https://www.nytimes.com/2026/01/02/world/asia/china-ai-cancer-pancreatic.html
Hospitals Are a Proving Ground for What AI Can Do, and What It Can’t - WSJ
https://www.wsj.com/tech/ai/hospitals-are-a-proving-ground-for-what-ai-can-do-and-what-it-cant-60e4020c
PANDAの最大の特徴は、通常はがんの特定が困難とされる非造影CTスキャンから膵臓がんを検出できる点にあります。開発過程では、2000人以上の患者の造影CTで特定された病変部位を、アルゴリズムを用いて同じ患者の非造影CT上にマッピングすることで、詳細度の低い画像からでもがんの兆候を読み取れるよう学習しています。

寧波大学附属人民病院では実際に、PANDAが2024年11月から臨床試験の一環で運用されています。中国では非造影CTが年間検診に組み込まれていることが多く、寧波大学附属人民病院では保険非適用でも1回25ドル(約3750円)程度なので、特に非造影CTスキャンが積極的に活用されているとのこと。
PANDAはこれまでに18万件以上の画像を分析し、元々別の目的で撮影され異常が見逃されていた画像からも、早期の14件を含む約24件のがんを発見することに成功しています。例えば、元レンガ職人という57歳の男性は、糖尿病の定期検査で受けた非造影CTをPANDAで分析した結果、無症状の段階で腫瘍が発見され、手術での摘出に成功したそうです。
一方で、専門医の判断には及ばない点もあり、病院で発せられた約1400件のアラートのうち、実際に追加検査を要したのは300件程度に留まったとのこと。また、大量のデータを処理するために病院の旧式のコンピューターがフリーズするといったハードウェア面の制約や、がんを無症状で発見されることへの不信感から精密検査を拒む患者がいるといった社会的な問題も指摘されています。

PANDAはアメリカ食品医薬品局(FDA)から「画期的デバイス」の指定も受けており、市場投入に向けた審査が加速されています。同様のAI活用はアメリカの医療現場でも急速に進んでおり、ヘルスケアシステムの27%が商用AIライセンスを導入していますが、これは非医療現場で使用されるシステムの3倍です。
例えば、ある病院では、生成AIが放射線読影の草案を作成することで、医師のレポート確認時間を75秒から45秒へと短縮し、増加する画像診断の効率的な管理を支援しているとのこと。また、事務作業の効率化もAI活用の重要な課題で、あるAIツールは保険請求の拒否に対する不服申し立て文書を自動作成することもできるそうです。

アメリカ・ニューヨークにあるマウントサイナイ病院では、AIツールの導入により不服申し立ての承認率が3%向上し、年間で推定1200万ドル(約18億円)の追加収益を得る成果を上げています。さらに、カイザー・パーマネンテでは患者のバイタルを毎時間分析してリスクを予測するシステムにより、年間500人以上の命を救っているという報告もあります。
しかし、ChatGPTが実在しない医学論文を引用したり、マウントサイナイ病院が導入した患者へのメッセージ返答ツールが頭痛を訴える患者に脳腫瘍の可能性を提示して不安を煽ったりする事例も報告されているため、まだまだAIは決して万能なツールではないという点には注意が必要。医療機関はAIの利便性を認めつつも、スキルの低下や不正確な情報への懸念から、慎重な運用と人間による監視の重要性を強調しています。
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in AI, Posted by log1i_yk
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