テスラ車のオーナーが「バッテリーが切れて高温になった車の中に閉じ込められた」と訴える
電気自動車メーカーのテスラが販売する自動車は、搭載されたバッテリーがディスプレイやドア、窓の開閉に対して電力を供給します。しかし、2023年6月にアメリカに住むオーナーが、「バッテリーが切れ、高温になった車の中に閉じ込められた」ことを報告しています。
Driver says he was 'trapped' in hot Tesla after battery died
https://scrippsnews.com/stories/driver-says-he-was-trapped-in-hot-tesla-after-battery-died/
2023年6月、アリゾナ州に住むリック・メギソン氏は、所有するモデルYのバッテリーが切れ、20分間にわたり車内に閉じ込められたことを報告しました。
メギソン氏によると、バッテリーが切れたモデルYは、ドアを開けることや窓を開けること、グローブボックスを開けることもできなかったとのこと。
メギソン氏が車内に閉じ込められた日は、日中の気温が37度を超える猛暑日で、メギソン氏は「車内に数時間閉じ込められると、熱中症などの危険がありました」と述べています。
最終的に、メギソン氏は自身の妹に助けを求め、助手席側の窓を割ってもらうことでようやく車外に脱出することができました。メギソン氏は「テスラはこの問題にすぐ対処する必要があります」と訴えています。
自動車に関する安全の専門家であるノーマ・ヒューベレ氏は「自動車のバッテリーの信頼性が低い場合や、何らかの理由でユーザーがバッテリーの問題を解決する方法を知らなかった場合は、安全性に問題が生じる可能性があります」と述べています。
ヒューベレ氏によると、テスラ車の場合、バッテリーなどの電気システムが故障した場合、自動車から脱出するための方法がマニュアルに記載されているとのこと。しかし、ヒューベレ氏は「メギソン氏をはじめとする多くのドライバーがその存在に気付いていません」と述べています。
消防士で救急救命士のポール・シューメーカー氏は「テスラのモデルYには、前方のドアハンドルの下に手動でドアを開けるためのラッチがありますが、助手席側の手動解除の方法は一見しただけでは見つかりません」と述べています。後部ドアの開け方についてシューメーカー氏は「後部ドアポケットからマットを取り外し、赤いタブを引く必要があります」と報告。一方で「テスラのマニュアルには、すべてのモデルY車両に後部ドアの手動解除タブが装備されているわけではありませんと書かれています」と述べています。以下の動画は電動でドアが開かない場合に運転席のドアを開ける方法を解説した動画です。
以下は後部ドアの開け方を解説した動画です。
シューメーカー氏は「ほとんどのドライバーはマニュアルを読んでいないため、緊急時に手動で降りる方法を知らないドライバーが多いです」と指摘。メギソン氏は「そのようなスイッチがあることを知りませんでした」と語っています。
アメリカ全土ではテスラ車の車内に閉じ込められる事故が多発しており、これまでに数十人のテスラ車を所有するドライバーが、アメリカ運輸省道路交通安全局にこの問題に関する苦情を訴えています。
メギソン氏は、車を修理に出した後でテスラからバッテリーの問題に関する案内を受けたことを明かし、「テスラはもっと早く伝える必要がありました。私がこの問題を広めることで、少しでも多くの人々の安全を守りたいと思っています」と述べています。
なお、この件に関してテスラはコメントを発表していません。
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