ゲーム

100万円以上する超レアなアーケードゲーム機がゴミ捨て場から救出される


ゲームセンターに置かれるようなアーケードゲーム機は場所の確保やメンテナンスなどの維持の都合上、一般人が所有するのは困難であるため、アーケードゲームの筐体(きょうたい)で状態の良いものはなかなか残りにくいという問題があります。「世界で初めて全面的にCGを導入した映画」として話題になった1982年公開のSF映画「トロン」を題材にした超レアなアーケードゲーム機を、なんと道ばたのゴミ捨て場で偶然発見したエピソードを、アーケードゲーム関連のブログ「The Arcade Blogger」が紹介しています。

Environmental Discs of Tron Roadside Pickup! – The Arcade Blogger
https://arcadeblogger.com/2023/07/22/environmental-discs-of-tron-roadside-pickup/

映画「トロン」のアーケードゲームは2種類存在します。1つはピンボールメーカーとして有名なバリー=ミッドウェイが制作した「トロン」で、もう1つは同じくバリー=ミッドウェイが制作した「ディスク・オブ・トロン」です。前者の「トロン」は非常に人気を博し、リリースから1年で少なくとも3000万ドル(当時のレートで約36億円)の売上を記録したといわれています。

by Darth-Wiki-Man Wikimedia

一方で、2作目である「ディスク・オブ・トロン」は複雑で難度の高いゲーム性もあり、不人気に終わりました。2008年にはXbox Liveアーケードに移植されましたが、ゲーム批評サイト・Metacriticでは100点中44点というメタスコアを付けられています

「ディスク・オブ・トロン」の特徴はその筐体(きょうたい)で、当時としては珍しく箱形となっていました。これはプレイヤーがゲームに没入できることを考えたデザインで、暗い内部にはトロンをイメージしたバックライトが組み込まれており、当時としては非常に豪華な筐体となっています。


ゲームの歴史に詳しいライターのティム・ラペティーノ氏がシカゴ郊外に住む親戚を尋ねたところ、姪(めい)が「自転車で近所を走っている時に道ばたにトロンのようなものが置かれてるのを見た」と話したそうです。車ですぐに行ける場所だったので、ラペティーノ氏は話を聞いてすぐに駆けつけたところ、なんと「ディスク・オブ・トロン」の筐体がゴミ捨て場に置かれていたそうです。


箱形の筐体は大きな損傷がなく、かなり良い状態に見えます。


筐体内部のガラスにもほとんど傷や割れがなく、ボタンやスティックもそのまま。


ただし、筐体背面にある大きなガラスだけ欠けていたとのこと。ラペティーノ氏はすでに複製品を注文済みで、同時にオリジナルのパーツも探すつもりだそうです。


筐体は周辺住民が所有していたもので、ゴミ収集業者が持ち去ることを想定して歩道のゴミ捨て場に置かれていました。しかし、筐体があまりにも大きすぎたために業者は回収せず、そのまま放置されていた様子。以下は筐体に張られていたステッカーで、「Break Down(バラバラにして)」という業者からの手書きメッセージが残されていました。


ラペティーノ氏はこんなチャンスは二度とないと思い、そのまま友人に連絡し、回収を依頼しました。筐体を運ぶ準備が整うまでの間、ラペティーノ氏は筐体の持ち主だったであろう人の元を訪ねたところ、「ガレージに何年も置きっぱなしだった」とのことで、無料で筐体を持っていくことを許可してくれたとのこと。ただし、筐体をどこで入手したのかについては言葉を濁したそうです。

台車に載せて運ばれる筐体


ラペティーノ氏は知り合いを呼び、筐体の中身をチェックしてもらいました。基板はすべてオリジナルで、動作状態に問題はなかったとのこと。


動作させるとこんな感じ。映画「トロン」を意識したバックライトの演出と光るフライングディスクで戦うシーンを再現したゲーム場面。「ディスク・オブ・トロン」は不人気で数が少なく、状態の良いものがほとんど残っていないことから、バックライトも含めて完動状態のアーケード筐体はおそらく1万ドル(約140万円)以上の価値があるとみられています。


内部にあるクレジットカウンターを見ると「2663」を示しており、これまでのプレイ数は3000回にも達していないことがわかります。


筐体の内部からはゲームのテストレポート用の紙が見つかりました。ラペティーノ氏はゲームセンターで試験的に置かれていた筐体ではないかと推測しています。


ラペティーノ氏は「私は『トロン』の大ファンであり、ゲームも大好きなので、これはいつか所有したいと思っていたゲームでした。まさか私の親戚が住んでいる場所から数ブロック離れたところにあるなんて、私は偶然などというものをあまり信じていませんでしたが、これは本当に不思議な話です」と語っています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ストリートファイターIIをベースに当時のアーケード基板「CPS-1」の何が優れていたのかをエンジニアが解説 - GIGAZINE

世界初のアーケードゲーム「コンピューター・スペース」が失敗した理由とは? - GIGAZINE

タイトーの卓上ミニ筐体「EGRETⅡ mini」の収録タイトルをプレイしながら昭和と平成を駆け抜けたタイトーの歴史を追いかけてみた - GIGAZINE

世界初のスクロール型シューティングゲーム「ディフェンダー」のソースコードが公開中 - GIGAZINE

タイトーの名作STG「ダライアス」のアーケード筐体はどれだけ画期的だったのか? - GIGAZINE

in ハードウェア,   ゲーム, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article here.