メモ

450万人超の住民が45度以上の灼熱の中で20日以上暮らしており停電になりエアコンが使えなくなれば人口の半数が入院することになる可能性


アメリカ・アリゾナ州フェニックスでは、日中の気温がカ氏122度(セ氏50度)に達し、夜になってもカ氏90度(セ氏32度)を下回らないという猛暑が続いています。

In Phoenix, 4.5 million residents are living in hell: this is life at 113 degrees for more than 20 days | International | EL PAÍS English
https://english.elpais.com/international/2023-07-22/in-phoenix-45-million-residents-are-living-in-hell-this-is-life-at-113-degrees-for-more-than-20-days.html


アリゾナ州最大の都市であり、アメリカで5番目に人口の多い都市でもあるフェニックスでは、2023年7月になって日中に街路や大通りを歩く人はほとんど見られないそうです。その理由は単純明快で、フェニックスでは20日以上連続で平均気温がカ氏110度(約43度)を超えているため。平均気温がカ氏113度(セ氏45度)を超える日も少なくないとのこと。さらに、夜間の気温もセ氏32度を下回らない日が多く、4カ月以上にわたって雨が降っていないそうです。

そのため、フェニックスを訪れるとほんの数分で唇がひび割れ、口の中と皮膚が乾燥し始め、頭痛に襲われることもしばしばだそうです。あまりの暑さに、スマートフォンを充電すると熱がこもるという問題も起きる模様。また、あまりにも乾燥しているためほとんど汗をかくことがなく、脱水症状がわかりづらいという問題もあるそうです。

地元のニュースでは「炭酸飲料だけでなく水を飲みましょう」「涼しい場所で生活しましょう」「屋外で運動しないでください」などの猛暑対策が繰り返し流れており、市議会は市民に警告を発し、体調を崩した人に対応するための特別な部門として、「暑さ対策・軽減局」を設置しています。


フェニックスに5年間暮らしているという地元住民のジェラルドさんは、フェニックスの夏について「夏が好きな人は誰もいませんが、働かなければいけません」とニュースメディアのEL PAÍSに語っています。同氏は5年間暮らしてもフェニックスの猛暑に「まだ慣れていない」と語っており、そもそもセ氏50度という猛暑での生活に慣れることは「誰にもできない」とコメントしました。

アメリカ国立気象局(NWS)の気象学者であるジェラール・エストゥピニャン氏は、フェニックスの猛暑の原因は都市の特異性に起因しているとして「フェニックスはそれほど標高の高い都市ではなく、海抜約980フィート(約300メートル)しかありません。山々に囲まれており、植物はなく、岩があり、強烈な太陽光が絶え間なく降り注ぎます。そして、建物や道路、セメントなどが多くあります」と言及。

アリゾナ州立大学地理学部のランディ・サーベニー学部長は、フェニックスの暑さを悪化させる4つの原因があると説明しています。ひとつはフェニックスの近くにあるソノラ砂漠で、この砂漠が非常に高い気温を引き起こしているとのこと。2つ目は、フェニックスが人口約500万人の都市であるため、建物や道路から多くの熱が発生しているという点。3つ目は、アメリカ南西部には非常に強力な気圧がかかっているという点。4つ目は、夏の嵐が起きる時期がいつもより少し遅くなっているという点です。

以下は2023年7月20日、フェニックスの屋外に駐車された自動車の車内に温度計を置いて撮影したもの。湿度はわずか10%ながら、気温はセ氏59度を記録しています。


このような猛暑を過ごすには、エアコンなしでは睡眠は不可能だそうです。そのため、エアコンを持っている家庭は常に電源をオンにする必要があるとのこと。フェニックス政府のデータによると、この街の電力消費量は日々過去最高記録を更新しているそうです。

その結果、フェニックスの電気料金は平均12%上昇している模様。フェニックスのレストランで2年間働いているというカイル・トカシーさんは、猛暑になって客足が通常時の半分以下に減少したと説明しています。しかし、電気の使用料は通常時の2倍に膨れ上がっているそうです。また、猛暑によりバチェラー・パーティーや卒業パーティーの予約はほとんどなくなっているとのこと。

また、アメリカ化学会が2023年5月に発表した報告書によると、電力不足は都市によっては死刑宣告につながる可能性がある模様。これによると、この猛暑の中で停電が発生するとフェニックスの人口の半数が医療費を必要とする治療を受けることになる可能性があるそうです。アメリカでは人口の8.6%に相当する約2700万人が健康保険に加入していないため、停電が発生すれば多くの住民が危険な状況を迎える可能性があります。

フェニックスには2022年時点で約3100人のホームレスが確認されており、ホームレスの人口は年々増加しているとのこと。こういった住居を持たない人々のために、フェニックスの隣町であるスコッツデールでは暑さ緩和ネットワークが構築されています。具体的には、公民館や住宅、図書館、教会などが暑さ対策センターとして、エアコン付きの軽食の場や水分補給ステーション、休憩所、食料・飲料水・衣類を提供する場所などに変わっているとのこと。これらの施設は室温が常にカ氏77度(セ氏25度)以下に保たれており、無料で誰でも好きなだけ滞在することが可能です。一方、フェニックスにはこの種の避難所がほとんど存在しないとのこと。


また、電気代を払えない高齢者が家に閉じ込められたまま危険な状況に陥っているとのことで、実際、フェニックスのあるマリコパ郡では熱中症による死亡者数が2022年に339人を記録しており、これは2021年の数よりも5%、2020年の数よりも70%増加しています。

なお、「人間は一体どの程度の気温まで耐えられるのか」と「高温時にも人体を安全に保つ方法」の2つが以下の記事でまとめられています。

人間が耐えられる暑さは何度までなのか? - GIGAZINE

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in メモ, Posted by logu_ii

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