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2027年までに記録的猛暑で観測史上初の「気温が産業革命前から1.5度上昇」が起きると世界気象機関が警告


世界各国は、フランスのパリで2015年に採択されたパリ協定に基づき、世界の平均気温の上昇を「産業革命前から1.5度」に抑えることを目標に掲げています。しかし、2027年までにこの基準を上回ってしまう年が出る可能性が高いことを、世界気象機関(WMO)が発表しました。

Global temperatures set to reach new records in next five years | World Meteorological Organization
https://public.wmo.int/en/media/press-release/global-temperatures-set-reach-new-records-next-five-years


Global warming to bring record hot year by 2028 – probably our first above 1.5°C limit
https://theconversation.com/global-warming-to-bring-record-hot-year-by-2028-probably-our-first-above-1-5-c-limit-205758


WMOは2023年5月17日のプレスリリースで、「2023~2027年までの5年の間に、世界の年間平均気温が産業革命前に比べて1.5度以上高くなる年が出る可能性が66%ある」と発表しました。また、今後の5年間のうち1年以上、あるいは5年間の全てて観測史上最高気温がたたき出される可能性は98%に上るとしています。

WMOのペテリ・ターラス事務局長は「この報告書は、パリ協定で定められた1.5度の目標を永久に超えてしまうことを意味するわけではありません。しかし、一時的に1.5度を超える頻度が高まることに、WMOは警鐘を鳴らしています」と話しました。

特に、2023年には気温を大きく上昇させるエルニーニョ現象が発生し、これが人為的な気候変動と合わさって「地球の気温を未知の領域に押し上げる」とターラス事務局長は危機感を示しました。


パリ協定は長期的な温暖化の抑制を目指すものであるため、努力目標である1.5度を一時的に超えたからといって、取り組みが頓挫するというわけではありません。しかし、このまま地球温暖化に歯止めがかからない状況が続けば、本来の目標である2度も維持できない可能性が高くなります。

これまでで最も年間の平均気温が高かったのは、記録的なエルニーニョ現象が発生した2016年です。その後は、寒冷化につながるラニーニャ現象の発生でわずかに温暖化が抑制されていましたが、それでも2022年は1850~1900年の平均気温を約1.15度上回っています。

しかも、気温上昇を抑えていたラニーニャ現象は2023年3月に終息してしまい、今後数カ月以内にはエルニーニョ現象が再び発生すると予測されます。一般的に、エルニーニョ現象の影響は翌年に現れるため、本格的な気温上昇の到来は2024年になる見通しです。


オーストラリア・メルボルン大学の気候学者であるアンドリュー・キング氏は、非営利の独立報道機関・The Conversationに寄稿した記事の中で「温室効果ガスの排出量削減や気候変動への取り組みが不十分だったために、私たちはすでに1.2度以上も地球を温暖化させてしまいました。このまま行動を起こさないという選択肢は、考えるべきではありません。もし行動を起こさなければ、今後数十年、あるいは数百年にわたり記録的な猛暑が続き、気候変動の影響がさらに深刻化するからです」と述べました。

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in Posted by log1l_ks

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