メモ

過去40年で授業料のインフレ率が710%のアメリカでは4500万人が学生ローンを抱えている


ここ40年でアメリカの授業料は710%上がり、ローンを組むことによって学生1人当たりの負債も増加していることを、カリフォルニア州のシニアデータサイエンティストであるアルマン・マダニ氏が指摘しています。

The Student Debt Crisis, Explained.
https://statecraft.beehiiv.com/p/student-loan-debt-forgiveness


マダニ氏によると、アメリカ人の学生ローン残高合計は年々増加しており、2006年時点で5000億ドル弱(約70兆3000億円)だったものが2023年には1兆7800億ドル(約250兆円)にまで至っています。この数字は韓国やオーストラリア、石油大国であるサウジアラビアといった先進国のGDPを上回るものです。


その原因の1つは授業料の高騰にあります。1983年を基準としたとき、消費者物価指数のインフレ率は194%。しかし、授業料は710%と大きな差があります。


1兆7800億ドル分の負債のうち、93%にあたる1兆6500億ドル(約232兆円)が連邦政府の学生ローン。実に、4500万人のアメリカ人が連邦政府の学生ローンの借金を抱えた状態だとのこと。

マダニ氏によれば、高等教育機関へ入学する学生の数は2000年以降、一貫して増加しており、学位の需要に応じる形で授業料は急激に値上がりしています。特に、2008年から2009年にかけての景気後退期には、失業した人々が再教育目的で大学に入ろうと奔走した結果、私立大学への入学者数が増加しました。以下は上から営利の私立大学、非営利の私立大学、公立大学の入学者数割合を示したものです。


このうち、営利の私立大学入学者はデフォルト(債務不履行)率が高く、3年以内に借り手の16%がデフォルトに陥っていたそうです。

マダニ氏は私的な意見としつつ、学生ローン問題の解決策を提示しています。


まず、短期的な解決策として、学生に「リコース」、つまり償還が必要だとマダニ氏は述べています。学生ローンが返せなくなると、借り手は大学で出席証明書がもらえなかったり、信用スコアが低下したり、賃金を差し押さえられたりして、収入減少の連鎖につながる恐れがあります。特に、新型コロナの猶予期間後にデフォルトする可能性の高いローンがあることから、これらのローンの返済を免除するか、ローンをキャンセルできるようにすべきだというのがマダニ氏の主張です。マダニ氏の見立てではデフォルトが起きた場合、低所得・中所得の学位取得者に及ぶ影響の余波は、ローンをキャンセルするよりも大きな経済コストになってくるとのこと。

さらに、信用情報機関に報告する情報を管理し、一部を規制することにより、デフォルトによる所得への悪影響を減らせるとマダニ氏は述べています。

また、長期的には高等教育そのものの根本的なコストのコントロールが必要になるとマダニ氏は指摘しています。たとえば、カリフォルニア州ではコミュニティカレッジに通う州民に学費を無償提供するプログラムがあり、同種の仕組みを連邦政府が支援することで一部新卒者の負担を軽くすることができます。また、税収配分の見直しや新たな税収源を設けることで、資金不足の私立大学や公立大学で授業料を下げることができるかもしれないとのことです。

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in メモ, Posted by logc_nt

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