ChatGPT上でコードを実行してデータ分析やグラフ化が可能な「コードインタプリタ」機能が追加、「誰でもデータアナリストになれる」時代の到来か
2023年7月上旬に、ChatGPT上でコードを実行したりアップロードしたファイルにアクセスしたりできる新機能「コードインタプリタ」が、ChatGPTの有料版であるChatGPT Plusのユーザー向けに展開されました。コードインタプリタを使用することで、コーディングの知識が少ない人でもデータを分析したり視覚的なチャートを作成したりできるようになり、「誰でもデータアナリストになれる」と評価されています。
ChatGPT — Release Notes | OpenAI Help Center
https://help.openai.com/en/articles/6825453-chatgpt-release-notes
Code Interpreter comes to all ChatGPT Plus users — 'anyone can be a data analyst now' | VentureBeat
https://venturebeat.com/ai/code-interpreter-comes-to-all-chatgpt-plus-users-anyone-can-be-a-data-analyst-now/
ChatGPT's Code Interpreter - Top 6 uses - chatgptguide.ai
https://www.chatgptguide.ai/2023/07/10/chatgpts-code-interpreter-top-6-uses/
ChatGPTを開発するOpenAIは7月6日のリリースノートで、ウェブのベータ版で展開中だったコードインタプリタを、翌週からChatGPT Plusの全ユーザーに展開すると発表しました。OpenAIのリリースノートには、「コードインタプリタではChatGPTにコードを実行させ、オプションでアップロードしたファイルにアクセスさせることができます。ChatGPTにデータ解析、グラフ作成、ファイル編集、計算などを依頼することが可能です」と記されています。テクノロジー系メディアのVentureBeatによると、ChatGPTはPythonでコードを記述し、ユーザーは最大500MBのファイルをアップロードできるとのこと。
フィンテック企業・Flutterwaveのリトアニア支社でGMを務めるLinas Beliūnas氏はLinkedInへの投稿で、「OpenAIはGPT-4以来最もパワフルな機能を全員に開放します。今や誰でもデータアナリストになれるのです」「データサイエンスの未来は永遠に変わりました」とコメントしています。
Beliūnas氏は実際にコードインタプリタを使用して、国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)によって公開されている国別国内総生産(GDP)のデータを基に、一瞬でGDPの大きい国ランキングのグラフを作成できたと述べています。
また、UFO目撃情報のデータセットを入力し、HTMLヒートマップを作ることもできたそうです。
ペンシルベニア大学ウォートン校のAI研究者であるイーサン・モリック准教授は、購読者向けのニュースレターでChatGPTのコードインタプリタに言及し、「私が使用したAIの中で最も便利で興味深いモード」であると評価しました。モリック氏は、コードインタプリタが「地球が丸いことを証明する」「スーパーヒーローの持っている力について分析する」など、さまざまなユースケースに適用できると主張しています。
ChatGPTのさまざまな使い方について解説しているChatGPT Guideは、実際にコードインタプリタを使用した6つのユースケースについて報告しています。
◆1:画像編集
コードインタプリタを使用すると、ChatGPTに画像をアップロードしてサイズを変更したり、回転または反転したり、ちょっとしたテキストを追加したりすることが可能だとChatGPT Guideは述べています。しかし、被写体を選択して背景を削除するように要求したところ、コードインタプリタは「この作業に必要なOpenCVライブラリを環境内で実行できない」として、作業を拒否したとのことです。
◆2:画像の動画化
ChatGPT Guideが、アメコミヒーローが集結した横に長い画像をChatGPTにアップロードし、パン(カメラを垂直または水平方向に移動させること)して動画化するように指示したところ、コードインタプリタは以下のような動画を作成しました。
Code Interpreter Example of Video Output - YouTube
ChatGPT Guideは、「パンは私たちが望むほど滑らかではありませんでしたが、ChatGPTにフレーム数を減らしたり増やしたりして、より遅く、滑らかな動画を生成するようにやり直させることができます」と述べています。
◆3:データの可視化
ChatGPT Guideはヨーロッパの主要サッカーリーグの2022~2023年シーズンにおけるプレイヤー統計をデータセットとして入力し、可視化するタスクを行いました。データセットは2500の行と120以上の列が含まれており、データアナリストが処理する最大のデータセットには及ばないものの、初心者が処理する程度のデータ量は十分にあったとのこと。なお、データはシーズンが終了する約3カ月前に収集されたものです。
データセットを基に「ゴール数の多い選手トップ10」のグラフを作成させてみたのが以下。1位がプレミアリーグで大活躍中のアーリング・ハーランド、2位が同じくプレミアリーグのハリー・ケイン、3位がセリアAのヴィクター・オシムヘンとなっており、問題なくグラフ化することができました。
ゴール数トップの3選手について、「ゴール数/シュート本数」の割合をグラフ化したものが以下。ChatGPTのコードインタプリタは多くのシナリオで問題なく動作しましたが、「プレイヤーの年齢分布グラフ」を作成した際には、特定の年齢だけなぜか抜けが発生するといった事例も確認されたとのことで、依然として人間によるチェックは必要なようです。
◆4:QRコードの生成
コードインタプリタに「ChatGPT Guideのショップページ(https://www.chatgptguide.ai/shop)にリンクするQRコードを生成する」というタスクを与えたところ、正しいQRコードが生成されました。しかし、「QRコードに電子書籍の画像を埋め込む」といった複雑なタスクには失敗したとのことで、すべてのタスクを完璧に実行できるわけではないとのこと。
◆5:巨大なPDFファイルの読み取りおよび分析
コードインタプリタのデータ取り込みスキルを調べるため、ChatGPT Guideは膨大なテキスト量を有する聖書とコーランのPDFファイルをアップロードしました。その上で、「Jesus(イエス)という単語が出てきた回数をカウントする」「聖書とコーランのスタイルの違いについて分析する」といったタスクを与えたところ、コードインタプリタは適切にPDFファイルを読み取り、タスクを実行したとのことです。
◆6:簡単なゲームプログラミング
ChatGPT Guideは、コードインタプリタがコーディングスキルの乏しい人にとって有用なのかどうかを調べるため、簡単なヘビゲームをコードインタプリタに作らせました。コードインタプリタとやり取りした人物は、「統合開発環境の構築」「ライブラリのインストール」「コードの実行方法」といった基本のみを取得しているものの、それ以上の高度なスキルを持たなかったそうですが、コードインタプリタは問題なくシンプルなヘビゲームを作成できました。
ChatGPT Guideは、コードインタプリタはコーディングの初心者だけでなく、上級者にとっても魔法のようなツールだと考えています。「コーディングが面倒な時があります。たとえば、適切なライブラリを探したり、ドキュメントを読んだり、デバッグしたりしている時です。コードインタプリタは、与えられたタスクに対し、どのライブラリを使うべきかを正確に把握しています。つまり、ドキュメントやフォーラムを延々とスクロールする必要がなくなるのです!」と、ChatGPT Guideは述べました。
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