顧客のカメラ映像を従業員が勝手に見ていた問題でAmazon傘下の監視カメラ企業Ringが8億円超の和解金支払いへ
Amazon傘下でセキュリティカメラ事業を行っているRingが、プライバシー侵害を巡る連邦取引委員会(FTC)との訴訟で、580万ドル(約8億円)を支払うことで和解に合意したと発表しました。この訴訟では、顧客の設置したカメラ映像を従業員がのぞき見ていたことが指摘されています。
FTC Says Ring Employees Illegally Surveilled Customers, Failed to Stop Hackers from Taking Control of Users' Cameras | Federal Trade Commission
https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2023/05/ftc-says-ring-employees-illegally-surveilled-customers-failed-stop-hackers-taking-control-users
Ring’s Response to Our Recent Settlement With the FTC - The Ring Blog
https://blog.ring.com/about-ring/rings-response-to-our-recent-settlement-with-the-ftc/
Amazon to pay over $30 million in Ring, Alexa FTC privacy settlements
https://www.cnbc.com/2023/05/31/ftc-sues-amazon-over-ring-doorbell-privacy-violations.html
Amazon's Ring used to spy on customers, FTC says in privacy settlement | Reuters
https://www.reuters.com/legal/us-ftc-sues-amazoncoms-ring-2023-05-31/
Ringはセキュリティカメラやスマートドアベルなどのホームセキュリティ製品を扱う企業で、2018年2月からAmazonの傘下に入っています。
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FTCは「業務に必要がない場合でも、サードパーティの請負業者に顧客のカメラへのアクセスを許可し、顧客情報を漏洩した」とRingを告発しました。
そもそもセキュリティ意識が低い具体的な事例として、Ringの従業員が勝手に顧客のカメラ映像を閲覧していたことも指摘されています。この事例では、当該従業員は少なくとも81人の異なる女性顧客を対象に、「主寝室」「主浴室」「スパイカメラ」など特に私的な空間に設置していることがうかがえるラベルの付与されたカメラの映像数千件を閲覧していました、回数は2017年6月から8月の2カ月間で数百回、1日に少なくとも1時間に上ったとのこと。
当該事例は、不適切な閲覧だとして別の従業員が報告したことで発覚しましたが、当初、上司は「エンジニアが監視カメラの映像を見るのは『普通』のこと」と説明していました。しかしその後、上司は問題の従業員が閲覧していたのが「かわいい女性」の映像ばかりだと気付き、不正行為であるとして報告を上げ、最終的に当該従業員は解雇されたそうです。
2017年9月からは、従業員による顧客映像へのアクセスには顧客の同意が必要になるというアクセス制限がかけられたはずでしたが、それでも数百人の従業員や請負業者がすべての映像にアクセス可能だったとのこと。
Ringは「FTCの主張には同意せず、法律違反を否定する」としたものの、和解によって問題は解決し、イノベーションに集中できると説明しています。
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