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有名eスポーツ組織の一部が視聴時間減少に直面して利益を上げることができずスタッフの解雇・スター選手との契約終了・赤字でチーム売却などを実行し業界全体の将来が危惧される実態が判明


オリンピックeスポーツシリーズが2023年3月1日に開幕するなど、盛り上がりを見せているeスポーツですが、視聴時間の減少に直面しスタッフの解雇やスター選手との契約打ち切りなどを余儀なくされているeスポーツ団体も出ていることが報じられています。

The E-Sports World’s Future Is Uncertain as Growth Stalls - The New York Times
https://www.nytimes.com/2023/05/20/technology/e-sports-revenue-video-gaming.html


Reported offers for TSM's LCS slot fall well short of league's record sale price - Dot Esports
https://dotesports.com/league-of-legends/news/reported-offers-for-tsms-lcs-slot-fall-well-short-of-leagues-record-sale-price

eスポーツを専門とするデータ企業・Esports Chartsの推計によると、アメリカ最大のeスポーツリーグであるリーグチャンピオンシップ(LCS)シリーズの2023年春シーズンの視聴時間はのべ1480万時間を記録しましたが、これは前年比13%減、2021年比32%減の数字だったとのこと。

ゲームやeスポーツに詳しいアナリストであるロッド・ブレスラウ氏はThe New York Timesに「今は誰もが自分がなすべきことを自問自答しなければならない時期だと思います。誇大宣伝が多すぎた一方で、実際の価値があまりにも低すぎました」とコメントしました。


eスポーツ業界はこれまで、多くの投資家から巨額の資金を集め、eスポーツのトッププレイヤーは伝統的なスポーツの選手並みの年俸を稼いできましたが、eスポーツへの熱狂が沈静化しつつある中、岐路に立たされています。

例えば、高給のLeague of Legendsのプレイヤーの多くと決別したEvil Geniusesのようなeスポーツチームもあれば、従業員や上級役員を解雇している100 Thievesのような団体もあります。また、2022年に上場企業となったeスポーツ団体のFaZe Clanは、一時は20ドル(約2700円)以上で取引された株価が、記事作成時点では50セント(約68円)前後まで落ち込んでおり、Nasdaqから株価が1ドル台まで回復しなければ上場廃止するとの通告を受けて従業員の4割を解雇することを発表しました。


ほかにも、eスポーツ団体・Cloud 9のジャック・エティエンCEOは、所属する団体が参加するeスポーツリーグのほぼ半分から撤退し、約15リーグから8リーグへと減らすことでコストを削減すると述べています。

さらに、時価総額が最も高いeスポーツ団体のひとつであるTeam SoloMid(TSM)は2023年5月20日に、LCSシリーズの出場枠を売却することを発表しました。TSMは、北米のeスポーツ業界で最も古く最も著名なブランドのひとつであり、The New York Timesは「NBAやNFLから主力フランチャイズが離脱するようなもので、リーグにとって大きな打撃となります」と指摘しています。

by LoL Esports Photos

TSMは、希望価格を2000万ドル(約27億円)程度に設定し、発表の3週間ほど前から取引に関心を持つグループと協議を始めており、メディアや伝統的なスポーツ界を中心に、買い手候補を12社程度に絞り込んでいるとのこと。

TSMは、他の団体と同様にLSCの出場枠に一律1000万ドル(約13億7000万ドル)の買い付け手数料を支払っています。そのため、2000万ドルという価格はその2倍に相当しますが、「2019年に取引されたLCSの出場枠の相場からすると、かなり低い額」と、eスポーツ専門メディアのDot Esportsは指摘しました。

TSMのアンディ・ディンCEOは、アメリカリーグからの撤退は経済的な問題ではなく、世界選手権に出場したいという選手の思いが関係していると説明しています。League of Legendsのベストチームのほとんどは韓国や中国から来ており、北米地域は長らく、競技力においてそれらの地域に後れを取ってきました。そのためディン氏は、アメリカでの出場枠を売った後に他の地域での枠を購入する予定だと話しました。


LCSを運営するRiot Gamesのeスポーツ担当バイスプレジデントのジョン・ニーダム氏は、eスポーツ業界に問題があることを認め、「私たちが売っているものの大部分は夢であり、eスポーツの長期的な未来なのです。そして、チームを失い、その夢に基づく投資ができなくなったとき、私たちはそれを失敗と見なします。ですから、私たちは確かにプレッシャーを感じています」と述べました。

一方、業界のビッグネームであるTSMの撤退を好機と捉える動きもあります。eスポーツ団体・NRG Esportsのアンディ・ミラー会長は、「厳しい時代ですが、私たちの時代でもあります。既存のファンを大量に奪えるチャンスです」と話しました。

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in ゲーム, Posted by log1l_ks

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