GPUを使ってウェブ上のグラフィックスを改善するWebGLの後継API「WebGPU」がChrome 113ベータ版で利用可能に
WebGPUは、コンピューターグラフィックをレンダリングするために広く用いられているWebGLの後継として開発されている新たなAPIであり、デバイスのGPUに対するより高度なアクセスを提供することで3Dグラフィックスやデータの並列処理を改善します。Googleが、2023年4月6日にリリースしたChrome 113ベータ版で、WebGPUがデフォルトで利用可能になったことを発表しました。
Chrome ships WebGPU - Chrome Developers
https://developer.chrome.com/blog/webgpu-release/
WebGPU, one of the biggest additions to the Web platform is finally shipping in Chrome!
— Chrome Developers (@ChromiumDev) April 6, 2023
???? Many thanks to all Chromium contributors in making this possible.https://t.co/26vmxtQWi1 https://t.co/FKGC3M3FVD
WebGPUはデバイスのGPUを利用してレンダリングや計算処理を行うAPIであり、WebGLよりも高度なGPU機能へのアクセスを提供しているとのこと。ウェブプラットフォームを念頭に置いて設計されており、Java Script APIやPromisesとの統合、ビデオのインポートのサポート、優れたエラーメッセージによる洗練された開発者エクスペリエンスなどを備えています。
新APIであるWebGPUはWebGLのどんな部分が改善されているのかは、以下の記事を読むとよくわかります。
ウェブのグラフィック性能を大幅に引き上げるWebGPUではWebGLのどんな部分が改善されているのか? - GIGAZINE
WebGPUは年々向上していくGPUの性能をより引き出すため、GPUで計算を行う「コンピュートシェーダー」という機能を搭載しています。コンピュートシェーダーがどんな仕組みになっているのかは、以下の記事で説明されています。
Chromeの新API「WebGPU」ではどれだけパフォーマンスが改善されるのか? - GIGAZINE
WebGPUの開発にはGoogle・Apple・Mozilla・Microsoftを含むさまざまな組織が協力しており、2017年の初期設計から6年間かけて、ついに2023年4月6日にリリースされたChrome 113ベータ版で、WebGPUがデフォルトで利用可能になりました。また、FirefoxとSafariのサポートも進行中だとのことです。
WebGPUの開発に携わったGoogleのCorentin Wallez氏は、「WebGPUに6年以上取り組んできた結果、フラグなしの安定版がChromium 113でリリースされました!当初考えていた2年間よりも少し長くかかりました」とツイートしています。
This feels unreal! After more than 6 years working on WebGPU, it's getting released in Chromium 113, in stable and without flags! It only took a bit longer than the 2 year adventure we initially thought it would be ???? Read more about it here https://t.co/CohVQyYs1b
— Corentin Wallez (@DaKangz) April 6, 2023
今回のWebGPUのリリースは、将来的な更新と機能強化のための基礎として機能するとのことで、開発者から追加機能のリクエストを募っています。Chromeの開発チームは、「Chromeチームは、独自のシェーディング言語であるWebGPU Shading Language(WGSL)で、シェーダーコアへの深いアクセスを提供し、さらに多くの機械学習の最適化と人間工学の追加を計画しています」と述べています。
Chromium用のライブラリとFirefox用のライブラリはいずれもスタンドアローンのパッケージとして利用可能であり、すでにWebGLライブラリを使用していれば簡単にWebGPUを実装できるとのこと。すでにブラウザベースの3D作成プラットフォームであるPlayCanvasや機械学習ライブラリのTensorFlow.jsが、WebGPUのサポートを追加しています。
ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでも、WebGPUがChrome 113ベータ版で利用可能になったことが話題となっています。
Chrome ships WebGPU | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=35465729
開発者のFleetwood氏は、「これはとてもエキサイティングです」「WebGPUの実装はまだかなり未熟ですが、始めるには十分です」「私はあまり最適化せずに2億5000万パラメーターの大規模言語モデルをブラウザで実行しましたが、かなりうまく機能します」とコメントしています。
一方で、「WebGPUの実装によるウェブアプリケーションの進歩において、性能の低いモバイルGPUの存在がネックになる」というコメントや、「WebGPUがユーザーのフィンガープリントの収集に使われる懸念がある」といったコメントも寄せられました。実際に、WebGLを用いてユーザーに任意の計算を実行させ、その計算にかかった時間を計測することで、GPUを基にして個人を識別する方法も存在します。
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