サイエンス

何千人もの環境活動家などを対象とした大規模なハッキングキャンペーンが2017年から行われていたことが発覚、しかし誰が雇ったのかは謎のまま


2019年に逮捕されたイスラエル出身の私立探偵であるアビラム・アザリ容疑者は、2017年頃からアメリカを拠点とする環境活動家や政府関係者など数千人を標的とした大規模なハッキングキャンペーンを組織していたとされています。アザリ容疑者は自身のクライアントについて明らかにしていませんが、石油メジャーエクソンモービルに批判的な環境活動家グループを標的としていたことから、アザリ容疑者らによるハッキングキャンペーンに対してエクソンモービルの関与が疑われています。

Exxon’s Climate Opponents Were Infiltrated by Massive Hacking-for-Hire Operation - WSJ
https://www.wsj.com/articles/massive-hacking-for-hire-operation-infiltrated-exxons-climate-opponents-prosecutors-say-8ccfdba


Man Behind Hack-for-Hire Campaign That Targeted Environmental Activists Is Keeping His Mouth Shut
https://gizmodo.com/aviram-azari-hack-exxon-activists-protecting-clients-1850278300

イスラエル出身のアザリ容疑者は、2017年頃からアメリカを拠点とする環境活動家や金融会社、弁護士、政府関係者、ビジネスマンを標的とした違法なハッキングキャンペーンを行ったとされています。その中でアザリ容疑者は雇い主とハッカーの間の「仲介者」として行動したとされており、電信詐欺や個人情報の盗難、ハッキングの容疑で2019年にアメリカで逮捕されました。


アメリカの検察当局によると、アザリ容疑者らによるハッキングキャンペーンは偽のメッセージを送信して個人情報を聞き出し、個人アカウントへのアクセスを行う「スピアフィッシング」の手口を利用しており、標的となった対象者は数千人にも及ぶ可能性があるとされています。

2019年に逮捕されたアザリ容疑者は当初無罪を主張していましたが、2022年4月に一転して罪を認めました。しかしアザリ容疑者はこれまで自身を雇ったクライアントを明らかにしていません。

アザリ容疑者らによるハッキングキャンペーンの標的には、環境保全を訴えるロックフェラー財団の基金が含まれていました。この基金は「40年以上前からエクソンモービルは地球温暖化を予測していたにもかかわらずエネルギー事業を行っています」と主張し、「#exxonknew」というトピックでエクソンモービルを批判していたことから、今回のハッキングキャンペーンへのエクソンモービルの関与が疑われています。

40年以上前から地球温暖化について石油メジャーのエクソンモービルが正確に予測していたことが改めて定量評価により証明される - GIGAZINE


ロックフェラー財団の責任者であるリー・ワッサーマン氏は「アザリ容疑者が単独で行動していたのではなく、アメリカの企業関係者の下でキャンペーンを行っていたと考えられます」と述べ、アザリ氏を雇ったクライアントを明らかにすることを望んでいます。

またワッサーマン氏は「エクソンモービルとその支持者たちが環境問題に関する説明責任から逃れるために#exxonknewを掲げていた人物をハッキングした可能性があります」と指摘しています。


一方でエクソンモービルの広報担当者は「我々エクソンモービルはアザリ容疑者について何も知らず、ハッキングキャンペーンにも関与していません。また同社は環境保全に関する不正行為で告発されたことはありません」と述べ、ハッキングキャンペーンへの関与を一貫して否定しています。

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in サイエンス,   セキュリティ, Posted by log1r_ut

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