YouTubeが新しく「無料で視聴できる広告付きストリーミングテレビチャンネル」をテスト中
YouTubeが、「FASTチャンネル」と呼ばれる、無料の広告付きストリーミングチャンネルをテストしていると報じられています。このFASTチャンネルはケーブルテレビやBSのようにいくつもの専門チャンネルをまとめたものとなっており、好きな時に好きなチャンネルを選んで再生するシステムとなっています。
YouTube Tests New Hub of Free Streaming Channels - WSJ
https://www.wsj.com/articles/youtube-tests-new-hub-of-free-streaming-channels-11673631048
YouTube is trialing a free ad-supported TV channel hub
https://www.xda-developers.com/youtube-testing-free-ad-supported-tv-channels/
YouTubeの2022年第3四半期(7~9月)の広告収入は71億ドル(約9070億円)で、同期におけるGoogleの広告収入全体の13%を占めています。しかし、YouTubeの広告収入は業績報告をするようになってきてから初めて減少。こうした背景もあり、YouTubeはFASTチャンネルサービス導入の準備を進めていると考えられます。
FASTチャンネルは「Free Ad-Supported Streaming TV」の略で、広告入りで無料のテレビ番組ストリーミングサービスです。NetflixやHuluのように任意の映画や番組エピソードを再生するのではなく、ケーブルテレビでチャンネルを色々と回して見るように、複数のチャンネルをインターネット上で好きな時に見られるようにするというサービスです。
市場調査企業のS&P Global Market Intelligenceによると、アメリカでは広告付きの無料テレビ番組ストリーミングプラットフォームが20種類以上あり、ストリーミング業界の中でも各社がしのぎを削りながら急成長している分野となっています。S&P Global Market Intelligenceによると、テレビ番組ストリーミングサービスからの広告収入は2022年で40億ドル(約5200億円)にのぼり、2026年には90億ドル(約1兆1700億円)にまで増加すると予想しています。
YouTubeは2022年末に「Primetime Channels」という新しいストリーミングサービスストアをアメリカで立ち上げており、視聴者がYouTubeを通じてParamount+やStarzといった有料ストリーミング・サービスに直接申し込むことができるようにしています。
また、月額65ドル(約8300円)で主要なケーブルテレビの番組をストリーミング配信で視聴できるYouTube TVも配信されています。このYouTube TVは記事作成時点で少なくとも500万人の加入者と試用アカウントを有しているとのこと。
ウォールストリートジャーナルによれば、YouTubeはすでにFASTチャンネルからの広告収入のうち45%をYouTube側が得る方向で、各コンテンツ制作者と契約を進めているとのこと。
また、YouTubeの広報担当者は、YouTubeが一部の視聴者にFASTチャンネルを視聴させる小規模な実験を行っていることを認めました。広報担当者は「私たちは、視聴者にとって最も重要なコンテンツをより簡単に発見し、視聴し、共有するための中心的な場所を視聴者に提供する新しい方法を常に探しています」と述べています。
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