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AlphaGoなどを開発したDeepMindがChatGPT対抗の「Sparrow」と呼ばれる独自のチャットボットのプライベートベータ版を2023年中にリリースすることを検討中


囲碁チャンピオンを打ち負かしたことで大きな話題となった囲碁AIの「AlphaGo(アルファ碁)」などを開発したことで有名なAI開発企業DeepMindデミス・ハサビスCEOが、TIMEのインタビューの中でChatGPTの対抗となるチャットボット「Sparrow」を開発中であることを明かしました。DeepMindはSparrowのプライベートベータ版を2023年中にリリースすることを検討しているようです。

DeepMind CEO Demis Hassabis Urges Caution on AI | TIME
https://time.com/6246119/demis-hassabis-deepmind-interview/

Our founder and CEO @DemisHassabis talks to @TIME about DeepMind's mission to build AI responsibly to help solve some of the world’s toughest problems. ???? https://t.co/cVPDPwiHdk

— DeepMind (@DeepMind)


With AI's promise also comes peril.

It is in this uncertain climate that @demishassabis agrees to a rare interview with @billyperrigo, to issue a stark warning about his growing concerns https://t.co/b5GKLPDT6V

— TIME (@TIME)


ChatGPTは人間からの質問に自然な受け応えができるというチャットAIで、大学生レベルの試験の自由記述問題に合格可能であったり、ChatGPTが書いた論文の要旨を研究者は見分けることができないという報告が挙がっていたりと、その精度の高さが話題となっています。

そんなChatGPTと同じ独自のチャットAI「Sparrow」をDeepMindは開発しており、これのプライベートベータ版が2023年中にリリース予定であることが明らかになりました。Sparrowのリリース時期が2023年中と、ChatGPTよりもかなり遅れることになった理由は、ChatGPTに欠けている強化学習ベースの機能の開発にDeepMindが取り組んでいるためだと報じられています。


他にも、ハサビスCEOはTIMEのインタビューの中で、DeepMindの目標は従来の人工知能(AI)ではなく、人間のように思考する「汎用人工知能(AGI)」の開発にあると明言しています。ハサビスCEOはAGIについて「『電気の発明』のような時代を画する技術であり、人間の生活そのものを変えてしまうだろう」と述べています。なお、AGIとAIの違いについては以下の記事にまとめてあります。

アルゴリズムの枠組みの延長線上にあるAI研究が真の人工知能を達成できない理由は「アフォーダンス」の欠如が原因 - GIGAZINE


そんなAGIの開発を目指すDeepMindと同じようにAI開発組織として注目を集めるようになったのが、イーロン・マスク氏とピーター・ティール氏が立ち上げたAIスタートアップのOpenAIです。OpenAIはMicrosoftから巨額の出資を得てAIの開発を行っていますが、同組織のAGIに対するスタンスはDeepMindとは全く異なります。DeepMindはAIにゲームをプレイさせたり、強化学習を応用したりすることでAI研究を進めている一方で、OpenAIは教師なし学習やインターネット上から集めた情報をニューラルネットワークに流す手法でAIを研究しています。

DeepMindとOpenAIの違いは他にもあります。DeepMindがAI研究を秘密裏に進めているのに対して、OpenAIは研究成果を一般向けに公開することに積極的です。2022年には画像生成AIの「DALL-E 2」とチャットAIのChatGPTを発表しており、テスト版は一般ユーザーも利用可能となっています。ただし、TIMEは「いずれもインターネットからかき集めたデータでトレーニングしているため、構造的な偏りや不正確さに悩まされることになっています。例えば、DALL-E 2は『弁護士』を白人の老人、『客室乗務員』を若い美女として描写する傾向にあり、ChatGPTも誤った情報を自信を持って主張する傾向があります」と、OpenAIの取るAI開発手法の限界を指摘しています。

対話向け言語モデル「ChatGPT」発表、間違いを認めたり不適切な要求を拒否したりすることが可能に - GIGAZINE


DeepMindが2021年に発表した研究論文によると、ChatGPTやGPT-3のような言語生成ツールは誤った情報の拡散を加速させる傾向にあるとのことで、「政府の検閲や監視を容易にし、客観性を装って有害なステレオタイプを広める可能性がある」と指摘されています。OpenAIも開発するAIに偏りがあることを認めていますが、それを最小限にするための努力を続けているとしています。

この他、ハサビスCEOはインタビューの中でAIの進化速度を懸念しているとも語っており、競合他社に対して安全性により集中するよう促し、AI研究の成果をオープンに発表するというAI業界の文化を終わらせるべきタイミングが迫りつつあると示唆しています。

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in ソフトウェア, Posted by logu_ii

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