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Mastodonの創始者オイゲン・ロチコ氏インタビュー、Twitterからのユーザー流出の中でMastodonはいかに成長を遂げているのか?


Twitterが、2022年10月にCEOに就任したイーロン・マスク氏の下で大きな改革を遂げつつある中、分散型ソーシャル・ネットワークの「Mastodon」が大きくユーザー数を伸ばしています。そんなMastodonの創業者であるオイゲン・ロチコ氏に、IT系ニュースサイトのTechCrunchがインタビューを行いました。

How Mastodon is scaling amid the Twitter exodus | TechCrunch
https://techcrunch.com/2022/12/23/how-mastodon-is-scaling-amid-the-twitter-exodus/

Mastodonの生みの親であり、Mastodon唯一のフルタイム従業員でもあるロチコ氏によると、Mastodonは記事作成時点で8600以上のサーバーで合計250万人の月間アクティブユーザー数を抱えているとのこと。サーバーのいくつかはMastodonが直接運営しており、その中でも最大の「mastodon.social」には目下88万1000人の登録ユーザーがいて、そのうち21万人がアクティブです。

しかし、ロチコ氏は「アカウントを登録してMastodonの世界と交流できる場所は他にもある」として、一時的にmastodon.socialへの新規登録を打ち切っています。


Mastodonユーザーが急増していることを踏まえると、人手不足でmastodon.socialの運営に手が回らなくなっているのが原因であるように思えますが、ロチコ氏によると、それは本当の理由ではないとのこと。

ロチコ氏は「登録が締め切られている主な理由は、今いるユーザー数を超えてスケールアップするのが、DevOpsにとって大きな負担になるからです。『ああ、ソフトウェアがスケールアップするのには人員が不十分だ』とは言いたくありません。それが本当の理由なのではなく、今のところDevOpsに専任の従業員がいないのが問題なのです。組織的なことなどを全てこなすことができないので、登録者数を増やすより、登録を締め切って既存ユーザーへの質を確保する方が簡単です。そして、私は夜通しでいろいろと修正するわけです」と話しました。

また、ロチコ氏は「Mastodonの非中央集権的な性質と、登録できるサーバーは他にたくさんあるという事実は、新規登録の停止が一種の『犠牲者なき決断』であることを意味します」とも話しています。


Mastodonはもともと非営利団体として設立されたもので、これまでのところ資金調達はロチコ氏のPatreonアカウントに寄せられる毎月3万1000ドル(約410万円)で賄われています。ロチコ氏への資金援助は、この1カ月間で7000ドル(93万円)から急増しました。

今後もMastodonを非営利のままにする予定のロチコ氏ですが、「分割モデル」として一部を事業化する案も模索しています。この構想についてロチコ氏は「Mozillaのように、オープンソースプロジェクトや非営利団体のままでコア製品に取り組む一方で、営利目的のサイドビジネスとして、まずは希望者にMastodonのホスティングを提供するSaaSを始めるかもしれません」と述べました。

このサービスでは、Mastodonはホスティングだけを行い、サーバーは顧客の管理下に置かれるとのこと。また、将来的にはデータを他のホスティングプロバイダーに移行したり、逆に他のホスティングプロバイダーからMastodonへと移行したりできるようにすることも検討しています。


顧客がやろうと思えば広告展開することも可能ですが、Mastodonとしてホスティングサービスに広告を組み込む予定はありません。ロチコ氏は「Mastodonでも使っているActivityPubのプロトコルを使いつつ、全く別のソフトを使って異なる機能を持つ別のプラットフォームを開発するということは、誰にでもできます。理論的には、そこに広告を組み込むことも可能でしょう」と指摘します。

その上でロチコ氏は「問題は、広告を効果的にするためにそのサービスがユーザーの興味や位置情報を追跡するようなサービスになるのか、ということだけです。私たちMastodonは広告ビジネスや、コードに広告を実装することには興味がありません。繰り返しになりますが、Mastodonは無料かつオープンソースで、誰でも手を加えることができるわけですから、そうした人は自分でリスクを負いながら、私たちとは異なるビジネスモデルで広告を展開していくでしょう」と述べました。


そんなロチコ氏の元には、投資家からのオファーがいくつか舞い込んでいますが、多くの投資家はロチコ氏のビジョンを理解しておらず、Mastodonの商業化の話ばかりをするとのこと。「この数週間、ホスティングビジネスについて何社かのベンチャーキャピタルと話をしようとしましたが、彼らはどうにかしてMastodonのメイン製品に一枚かむことばかりに関心を持っていて、持続可能なホスティングビジネスにはあまり興味を示しません。しかし、私たちは彼らをメイン製品の中に入れるつもりはありませんので、ベンチャーキャピタルの出る幕はなさそうです。ですから、エンジェル投資家か、クラウドファンディングで資金を募るか、あるいは個人資金でも十分なのか、いまのところは分かりません」とロチコ氏はコメントしました。

Mastodonの従業員は、記事作成時点ではロチコ氏1人ですが、モデレーターとして働いているフリーランスのスタッフは5人います。また、まだ正式なCFOに任命されたわけではありませんが、財務を担当するFelix Hlatky氏もいます。

しかし、Patreonから得られる毎月3万1000ドルの収入はスタッフを養う上で十分ではなく、また不安定でもあります。ロチコ氏はMastodonの今後の体制について「現状では正社員は私1人で、残りの5人は契約社員です。フルタイムのチームメンバーを増やしたいとは思っていて、求人もかけていますが、少し手間取っています。6年間1人でやってきた会社にとっては新境地なのです。これまでは1人でもやっていけましたが、これからはもっと人手が必要になりますね」と話しました。

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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