サイエンス

ヘビにもクリトリスがあることが判明し研究者は大興奮、メスに関する研究が少なすぎるという指摘も


オスのヘビには半陰茎(ヘミペニス)と呼ばれる一対の生殖器が存在することが知られていますが、メスのヘビの生殖器に関する研究はあまり行われてきませんでした。新たにオーストラリアに位置するアデレード大学の研究チームが、メスのヘビに「ヘミクリトリス」が存在していることを発見しました。

First evidence of hemiclitores in snakes | Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences
https://doi.org/10.1098/rspb.2022.1702

Scientists finally discovered the snake clitoris, and they're 'very excited' | Live Science
https://www.livescience.com/snake-clitoris-found

ヘビのメスにヘミクリトリスが存在することを発見したのは、アデレード大学で生殖学について研究しているメーガン・フォルウェル氏が率いる研究チームです。フォルウェル氏によると、クリトリスは哺乳類だけでなく鳥やトカゲなどの生物にも存在する器官とのこと。しかし、ヘビに関してはクリトリスの存在を示す研究は行われてきませんでした。

フォルウェル氏が発見した「コモンデスアダー」と呼ばれるヘビのヘミクリトリスが以下。体の両側に位置する臭腺(SG)に挟まれて、一対のヘミクリトリス(HC)を確認できます。


以下の写真は、クサリヘビ科のメスに存在しているヘミクリトリスの写真です。フォルウェル氏は研究の結果、クサリヘビ科、コブラ科、ニシキヘビ科、ナミヘビ科のメスにヘミクリトリスが存在することが確認されました。


フォルウェル氏は、「ヘビのヘミクリトリスの発見について共有できることに非常に興奮しています!また、多くの人々が私たちと同じように興奮しているのを見て、非常にうれしく思います!」と述べています。また、フォルウェル氏は今後、ヘミクリトリスの進化の歴史や、交尾行動にどのように使われるのかなどを引き続き調査する予定とのことです。


上記のように、ヘビのメスにおけるヘミクリトリスの研究はこれまで行われてきませんでした。Live Scienceによると、この「メスに関する解剖学的知見の欠如」はヘビだけでなくヒトを含む生物全般に現れる傾向とのこと。例えば、1970年~2021年の間に学術誌「Nature」に掲載された「オスの精子競争に関する論文」は「メスの配偶者選択に関する論文」の7倍以上に及ぶことが報告されています。また、1989年~2013年の間に学術誌「PLOS Biology」に掲載された動物の生殖器に関する論文のうちオスのみに焦点を当てた研究は約50%だったのに対し、メスのみに焦点を当てた研究は約10%しか存在しなかったことも明らかになっています。

ストックホルム大学で進化生物学について研究するマリン・アーキンズ氏は、「もし進化生物学に関する研究がオスに対してしか行われなかったら、その研究結果は非常に偏ったものになります」と述べ、メスに関する科学的知見が足りない現状が科学的に誤った考え方を広めるリスクを指摘しています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1o_hf

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