対話AI「ChatGPT」を使って未知の言語「スライム語」を発明するという試み
人間が書いたものと見分けがつかないくらいに高精度な文章を書ける言語モデル「GPT-3」などを開発するAI研究組織のOpenAIがリリースした、対話に最適化されたAI言語モデルが「ChatGPT」です。このChatGPTに新しい言語を発明させるという取り組みに、ディラン・ブラック氏が挑戦しています。
I Taught ChatGPT to Invent a Language - by Dylan Black
https://maximumeffort.substack.com/p/i-taught-chatgpt-to-invent-a-language
これまでChatGPTを使ってフィクションを書くなど、さまざまなことに挑戦してきたというブラック氏は、「ChatGPTが言語処理に最適化されているので、自己矛盾のない新しい言語を発明し、その言語を英語に翻訳するプログラムを作成することができるのでは?」と考えたそうです。
そこで、ブラック氏はChatGPTと対話しながら、「今日は独自の言語を生み出したいと思います。明示的に指示しない限り即興をしないでください」「今回作り出す言語はスライムが話す『Glorp(スライム語)』という言語にしましょう」「スライム語の一般名詞を10個作ってください。そして、それを英語に翻訳してください」と入力。
その結果、ChatGPTが生み出したスライム語の10単語が以下。
1:家(House)=Glom
2:木(Tree)=Trom
3:食べ物(Food)=Slop
4:水(Water)=Plop
5:太陽(Sun)=Glow
6:月(Moon)=Gloon
7:空(Sky)=Floom
8:大地(Earth)=Drom
9:火(Fire)=Splom
10:空気(Air)=Ploom
続いて、「スライム語の一般動詞を10個作ってください」とChatGPTに命令。その結果生まれた10個の動詞が以下。これに加えて、スライムもスライム語で定義しています。
1:食べる(Eat)=Splog
2:飲み(Drink)=Plog
3:見る(See)=Glog
4:聞く(Hear)=Flog
5:触れる(Touch)=Tlog
6:かぐ(Smell)=Slog
7:歩く(Walk)=Glom
8:話す(Talk)=Plom
9:書く(Write)=Trom
10:読む(Read)=Drom
11:スライム(slime)=Gloop
さらに、スライム語の文法を定義するために「対格・属格・具格という3つの語尾を持ったものにしたい」とChatGPTに提案したところ、ChatGPTは以下のように提案してきたそうです。
対格:~g
属格:~s
具格:~t
これにより、スライムにスライム語で格語尾を適用すると以下のようになります。
対格:Gloopg
属格:Gloops
具格:Gloopt
これだと読みづらかったため、「格語尾に追加するのは母音にしよう」とブラック氏が提案したところ、ChatGPTは格語尾を以下のように修正しました。
対格:~a
属格:~e
具格:~i
ここで、さっそく簡単なスライム語の文章を作成してみることに。「The slime sees the food.(スライムが食べ物を見ている)」をスライム語に翻訳するようChatGPTにお願いしてみたところ、出力されたのが以下の文章。
Gloop glog slopa
この要領でブラック氏はChatGPTと対話を続けながら、スライム語の文法システムの詳細を詰めています。ただし、「対格・属格・具格を文法に追加する」や「格語尾を母音にする」といった提案をブラック氏が行っていることからもわかるように、ChatGPTはあくまでブラック氏の提案に答える形で文法システムを構築していくので、スライム語を「ChatGPT単体に発明させた」というよりは、「ブラック氏とChatGPTの共同作業でスライム語が生み出された」といった印象。
なお、ブラック氏はChatGPTと対話しながら「主語と動詞の順序を逆にする」だったり「従属節の構造を定義する」だったりと、スライム語の文法がより高度なものになるよう複数の提案を繰り返し、最終的にChatGPTと発明したスライム語を英語に自動で翻訳するプログラム「GlorpGPT」を作成しています。
ただし、GlorpGPTは記事作成時点では公開されていません。
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