たった数万円で作れる激安人工衛星「$50SAT - Eagle2」
人工衛星の開発というと、巨額の国家予算が費やされる一大プロジェクトというイメージがある人も多いはず。しかし、これまで宇宙に送り込まれた人工衛星の中には、学生がたった数万円の材料費で作れることを目標に設計された「$50SAT」ことEagle2もあります。
$50SAT - Eagle2 - $50SAT - Eagle2
http://www.50dollarsat.info/
$50Sat Eagle2 PocketQube Operational | AMSAT-UK
https://amsat-uk.org/2013/11/22/50sat-eagle2-pocketqube-operational/
Russian Dnepr conducts record breaking 32 satellite haul - NASASpaceFlight.com
https://www.nasaspaceflight.com/2013/11/russian-dnepr-record-breaking-32-satellite-haul/
$50SATは、アメリカ・モアヘッド州立大学のボブ・ツイッグス教授らのチームがアマチュア無線家と共同で実施した教育プロジェクトで生み出された人工衛星です。主な目的は、工学や科学の分野の学生に実践的なスキルを身につけさせるためと、ツイッグス教授が提唱したPocketQube型人工衛星の費用対効果を評価することでした。
部品代だけなら250ドル(約3万4000円)もかからないという$50SATの心臓部は、40mm×40mmの回路基板2枚で構成されています。1枚目はプロセッサーとラジオ通信用の基板で、マイクロコントローラーや無線機などのデバイスを搭載しています。そして、2枚目は電源の制御と管理用の基板で、機体の側面にある太陽電池アレイや3.7Vのカメラ用リチウムイオンバッテリーのエネルギーをこれでモニタリングしています。
$50SATの打ち上げは2013年11月21日で、ロシアのドンバロフスキーにあるヤースヌイ宇宙基地からドニエプルロケットで打ち上げられました。以下は、その際の様子を収めたムービーです。
Successful Dnepr Launch on November 21, 2013 - YouTube
成功裏に打ち上げられたロケットには、合計で32個の人工衛星が搭載されていました。
その中でも、$50SATは9機のキューブサットを1機の小型衛星に詰めてまとめて打ち上げるイタリアの「UNISAT-5ミッション」によって、姉妹機のEagle1やペルー初の人工衛星であるPUCP-Sat-1とともに軌道上に送り届けられました。
打ち上げ後の$50SATは、ツイッグス教授らのチームの予想をはるかに超える長期間にわたって運用が続けられるという活躍を見せました。最後の通信は2015年7月19日で、バッテリーと太陽電池の劣化が限界に達したことから、誤作動を防ぐために電子機器がシャットダウンされました。
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