バスケのプロチームのユニフォーム色が「デジタル広告」を理由に変更されてしまう珍事が発生
アメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーを拠点とするプロバスケットチームであるミルウォーキー・バックスが2022年11月11日に、新しいデザインのユニフォームを発表しました。ユニフォームのカラーが地元・ミルウォーキーにゆかりのあるクリーム色から青色に大きく変更された背景には、デジタルな広告が普及した現代ならではの理由があると、スポーツチームのユニフォームやロゴに関する情報を専門に扱うニュースサイトのUni Watchが報じています。
EXCLUSIVE: The Inside Story of Why the Bucks Can’t Wear Cream Uniforms Anymore
https://paullukas.substack.com/p/exclusive-the-inside-story-of-why
「バックス」ことミルウォーキー・バックスは今回の変更まで、「シティエディション」のユニフォームにクリーム色を使用していました。これは、19世紀のミルウォーキーではミシガン湖西岸でとれるクリーム色の粘土のレンガで建築物が建てられていたことに由来しており、ミルウォーキーには「クリームシティ」という愛称もあるそうです。
地元の歴史が込められたデザインが変更になったことから、バックスのファンからは「2017~2018年のシーズンや、2019~2020年のシーズンでチームが着用したようなクリーム色のデザインに戻るのはいつだろう?」と、早くも旧デザインを懐かしむ声が相次いだとのこと。
しかし、バックスの最高マーケティング責任者であるダスティン・ガットシー氏はファンの要望に対して、「今日だけでもこの話題を何回も目にしたので答えますが、もうクリーム色のユニフォームを着ることは許されません。理由がないわけではありませんが、説明しても誰も納得しないでしょうから、『戻せるものなら戻したい』と思っているとだけ言っておきます」と述べて、クリーム色のユニフォームの復刻は望めないことをほのめかしました。
Just because I’ve seen it a bunch today: we aren’t allowed to do cream colored jerseys anymore. There are reasons, but suffice it to say it won’t appease anyone to get into it, so I’ll just say: we would if we could.
— Dustin Godsey (@dgodz) November 11, 2022
Uni Watchの独占取材に応じたガットシー氏によると、バックスのクリーム色のユニフォームはファンから大変好評だったとのこと。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが本格化しつつあった2020年8月の試合でチームがクリーム色のユニフォームを着て試合に臨んだ結果、思わぬ問題が発生しました。それは、選手がクリーム色のユニフォームを着ていると、試合の映像に広告がうまく合成できないという問題です。
この時期は、全ての試合がホームでもアウェーでもない場所で行われるという異例の状況だったため、チームは試合が地元で放送される際にコート上に広告を合成することができました。この広告は、コート上でプレーする選手には重ならないよう配慮されますが、選手が床の色に近い色のユニフォームを着ていると、選手が広告で隠れてしまいました。
例えば、以下の画像では左下の選手のショートパンツにトヨタの広告が重なっています。
バスケットボール以外のスポーツでも、同様の問題が発生しています。例えば、以下のアイスホッケーの映像ではコートの壁にデジタル広告が使用されていますが、途中で映像が乱れて選手が壁の中から出現したようになっています。
Digital board ads are going great! pic.twitter.com/ZySd5Kb8Q4
— Charlie Roumeliotis (@CRoumeliotis) November 11, 2022
ガットシー氏は、ユニフォームメーカーのナイキと協力してユニフォームの色を調整しましたが、アリーナごとに床の色が違うため根本的な解決には至らず、最後には「技術的な回避策が見つかるまでクリーム色のユニフォームは禁止」という結論になったとのこと。
ガットシー氏はミルウォーキーの伝統的な色が使えないことについて「クリーム色は私たちのカラーであり、チームが築いてきたブランドの大きな部分を占めていたので、とてもがっかりしています。いつかまたクリーム色のユニフォームが着られるといいのですが」と話しました。
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