メモ

「殺傷能力のある武装を警察がロボットに装備させようとしている」という主張

by Shai Barzilay

軍隊や警察の一部は、人命を危険にさらすことなく爆発物を処理する爆弾処理ロボットを導入しています。オークランド警察もノースロップグラマン製の「Andros Mark 5A-1」を運用していますが、このロボットに追加予定の新装備が対人使用時に殺傷能力を発揮しうるものであることを、ニュースサイトのThe Interceptが報じています。

Oakland Cops Hope to Arm Robots With Lethal Shotguns
https://theintercept.com/2022/10/17/police-robot-gun-oakland/

NEW: Oakland Police want to load live 12 gauge shotgun rounds into their bomb-defusing robots in order to kill people during certain circumstances. https://t.co/hjSQ0eQDaP

— Sam Biddle (@samfbiddle)


Oakland Police Want to Arm Robots With Shotguns, Because We Live in a Dystopian Nightmare
https://futurism.com/oakland-police-robots-shotgun

カリフォルニア州のオークランド警察署が殺傷能力を有するロボットの使用を検討しているのではないかとの議論は、2022年9月21日に開催されたオークランド市警察委員会の小委員会が発端です。カリフォルニア州法では、警察がスタングレネードやドローンなどを武器として使用する上での指針を定めるには市議会の承認を得なければならないことになっており、この会議でも当初は閃光(せんこう)手榴弾や催涙ガスが議論されていました。


しかし、会議が始まってから2時間が経過すると、論点はロボットとのその付属品へと移りました。そのうちの1つが、「PAN disruptor」という道具です。これは爆発物処理の現場でよく使われる装備で、金属パイプにショットガンの空包か加圧水を装塡(そうてん)し、打ち出した衝撃で爆発物を処理します。

以下のムービーでは実際にPAN disruptorを使うところを見ることができます。

2021 Cambridge Science Festival - Bomb Squad - YouTube


防護スーツに身を固めた男性の足元にある金属製の道具が、PAN disruptorです。


使用するには、爆発物にPAN disruptorを設置します。


そして遠隔でPAN disruptorを操作すると、中に詰められた水が噴出して爆発物を吹き飛ばします。


オークランド警察が求めたのはAndros Mark 5A-1用のPAN disruptorです。小委員会のJennifer Tu委員からは「実弾は物理的に装填できるのですか?実弾を使ったらどうなりますか?」との質問があり、責任者のOmar Daza-Quiroz警部補はショットガンの実弾が装填できることを認めた上で、本来は空包で使うものであり、実弾を発射すると3000ドル(約44万円)の部品が壊れるのでそんなことはしないと述べました。Tu委員は「誰でも道具を持てば使いたくなります。ハンマーを持てばみんなクギに見えるようなもので、警察が武器を持てば、その武器は使われることになるのです」と懸念を示しました。

実際に、ダラス警察では2016年、警察官5人を射殺した犯人のもとにAndros Mark 5A-1で爆発物を運び爆殺したことがあり、電子フロンティア財団が「警察に武装ドローンや武装ロボットを持たせてはいけない」と警告しています。

「警察に武装ドローンや武装ロボットを持たせてはいけない」と電子フロンティア財団が警告 - GIGAZINE


また、警察の裁量が大きいことも懸念されていて、2020年に発生した、ジョージ・フロイド氏の死に端を発した暴動では、本来は軍事用だった技術が鎮圧に使われたケースもあったとのこと。

AIによる差別を監視するスタートアップ・ParityのCEOであるリズ・オサリバン氏はThe Interceptの取材に対して、「こうしたツールをいかに安全に使うかについて議論したくないわけではありません。問題は、それを使った場合に民主主義にどのような影響が及ぶかという点です。このようなツールの用途は合理的に見えるかもしれませんが、ほんの少し改造したり弾薬の種類を変えたりするだけで簡単に民主的な反対意見に対する武器になるのは、容易に想像ができます」と話しました。

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