悪名高いChromeの拡張機能新仕様「Manifest V3」の移行スケジュール発表、広告ブロッカーや競合ブラウザの対応は？

by Thomas Hawk

Googleが、拡張機能の新しい仕様である「Manifest V3」の移行スケジュールを発表しました。

More details on the transition to Manifest V3 - Chrome Developers
https://developer.chrome.com/blog/more-mv2-transition/

Chrome’s new ad-blocker-limiting extension platform will launch in 2023 | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2022/09/chromes-new-ad-blocker-limiting-extension-platform-will-launch-in-2023/

GoogleのManifest V3は、拡張機能の安全性とパフォーマンスの向上を目的とした新しい拡張機能APIです。しかし、広告ブロッカーやトラッキングを防ぐ拡張機能の動作も大きく制限されることから、プライバシーに対して「非常に有害」と非難されることもあります。

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Googleでプロダクトマネージャーを務めるデビッド・リー氏は、2022年9月28日に公式ブログを更新し、ChromeがManifest V3へと移行するにあたってのタイムラインを公開しました。

具体的には、2023年1月のChrome 112から「Canary・Dev・BetaチャネルでManifest V2拡張機能のサポートをオフにする」実験が行われる可能性があるとのこと。また、同年6月のChrome 115ではStableチャネル、つまり安定版を含む全てのチャネルでManifest V2がオフになる実験が行われることが想定されています。

これに伴い、拡張機能を配布するChromeウェブストアでは2023年1月から信頼できる拡張機能を認定する「Featured(おすすめ)バッジ」取得にはManifest V3の使用が必須条件となります。また、6月にはManifest V2を使用したアイテムが公開できなくなり、Public(公開)に設定されている既存のManifest V2のアイテムは全てUnlisted(非掲載)になります。そして、2024年にはManifest V2のエンタープライズポリシーが廃止され、Manifest V2のアイテムがすべてChromeウェブストアから削除されるとのことです。

拡張機能の開発者らは、大規模な仕様変更への対応を進めています。大手広告ブロッカーのAdGuardは2022年9月にManifest V3に対応した「AdGuard Browser extension V3」を世界に先駆けてリリースしているほか、同じく人気広告ブロッカー「uBlock Origin」の開発者であるレイモンド・ヒル氏も、試験的にManifest V3に対応した「uBO Minus (MV3)」をリリースしました。

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また、2022年時点のシェア率でトップを独走するChromeの転換点に対し、競合ブラウザは異なる反応を見せています。Microsoft EdgeはManifest V3と同様に「広告ブロック無効化計画」を進める動きを見せていますが、Mozilla Firefoxは「広告ブロッカーを制限するような変更を加える予定はない」との立場を表明しました。

「Firefoxでは広告ブロッカーを制限するような変更を加える予定はない」とMozillaが明言 - GIGAZINE

by Doug Belshaw

Manifest V3への移行スケジュールを取り上げたIT系ニュースサイトのArs Technicaは、「Googleが既存の拡張機能プラットフォームを殺すまで、エンドユーザーが被る影響を知る方法はありませんが、ユーザーにとって不利益となる変更を鳴り物入りでロールアウトさせるのは、Chromeの市場シェアに打撃を与える可能性がある数少ない事柄の1つのように思えます」とコメントしました。